先住民族からの異議申し立て―植民地主義とグローバリゼーションに闘う左翼へ
- 2011年 10月 4日
- 交流の広場
- 先住民族左翼松元保昭異議申し立て
みなさまへ 松元
「ウォールストリートを占拠せよ」のスローガンが各地に広がっています。しかしそれが第二の既得権者だけのものであるなら、変革の幅は限られた狭いものになるでしょう。植民地主義が遺している問題は全世界で根が深いものです。日本におけるアイヌ、琉球(沖縄)の問題のように。
植民地主義とグローバリゼーションにたいして闘う左翼への、先住民族からの異議申し立てです。私たち自身の「共犯性と責任」を忘れることのないように…。
翻訳者の嶋田頼一さんに提供いただきましたので転送します。
=====以下転載=====
■「ウォールストリートを占拠せよ――植民地主義のゲームと左翼」
Occupy Wall Street: The game of colonialism and the left BY JESSICA YEE OCTOBER 1, 2011 http://rabble.ca/columnists/2011/10/occupy-wall-street-game-colonialism-and-left
「ウォールストリートを占拠せよ」(*1)というスローガンは、ウイルスのように広まり、国際的なものになっている。「資本主義を終わらせる」との掛け声のもとウォールストリートで行われている抗議行動によって、他のオーガナイザーや活動家も、強欲と権力を象徴する場所を新たに「占拠」するよう勇気づけられている。しかし、そこにはひとつ問題がある。アメリカ合衆国が、すでに占領地なのだ。ここは先住民の土地なのだ。そして、その占領は、かなり長い時間にわたるものである。もうひとつ言わなければならないのは、ニューヨークは、Haudenosaunee (イロコイ)族領であり、ほかのたくさんの先住民族の故郷なのだ。私は、そのことがどこかで言及されるのを待っているのである。
ウォールストリートに対する抗議運動であれ、あるいはほかのどのような運動であれ、「左翼」が「アメリカを民衆の手に取り戻せ」(どの民衆?!)と決意したときに犯す誤りについて、私に驚きはない。これは、より大きな問題の一部なのである。実際、この種の運動には愛国的な帝国主義的言辞が大量に含まれており、すべての人々が 親アメリカ的な方針に高揚し勢いを増しているときに、人々が、この土地において先住民の存在が抹消されていることに気付くことができずに、いまある現状への自分たち自身の共犯性と責任――大企業と国家だけではないのだ――を忘れてしまうことに不思議はない。
はっきりさせよう。私は資本主義を終わらせることに反対しているわけではないし、大企業に対して、それらがもたらした莫大な被害の責任を取らせるよう抗議行動を行っている人々に反対しているわけではない。たしかに、私たちはグローバリゼーションを終わらせる必要がある。私が言っているのは、「資本主義を終わらせる」ために、他人の権利を踏みにじるにすること――今回の場合は先住民の権利を腐食させること――にすべての問題があるということなのだ。私は、人々が故意にそのようなことを行なっていると言っているわけではないし、そんなことが問題なのではない。良い意図とはそれだけでは十分なものではないし、はっきりいってそれは反動的な役割を果たすこともあるのだ。
今回もそのような時代遅れが繰り返されている。他人の背中を踏みつけて神秘の、平等の大地へ進んでいるのであるが、しかし、そこへたどり着くために、特定の人々が抑圧され続けるのが、本当に正義であり公正だといえるのだろうか。そんなことはなされる必要はない! 私たちにもう占領は必要ない。私たちに必要なのは脱植民地化であり、すべての人々はそれに取り組む責任がある。なぜなら植民地主義はすべての人々に影響を及ぼすからである。すべての人々にである! 植民地主義もまた、資本主義をもたらし、グローバリゼーションと産業化をもたらす。植民地主義を終わらせずに、どうやって本当に資本主義を終わらせることができるというのか?階級、人種、能力、ジェンダー、セクシャリティのヒエラルキーの 押し付けによってつくられた「アメリカ」の名において行動することが、何の役に立つというのか?
私は、「アメリカ」(あるいは、最近では「カナダ」!)革命というナショナリズムには参加することはできない。できるわけがない。アメリカ合衆国とカナダが建国され、国家として存在し続けるために、考えられないくらいの大量虐殺と暴力が存在し続けてきた。 私は、Anishnaabe 族の作家である John Paul Montano の「ウォー ルストリート占拠活動家への公開状」(*2)が、そのことを明瞭に捉えていると思う。
「私は、あなたたちがいる土地が、あなたたちの土地ではなく、 盗まれた先住民の土地であるという点について、あなたたちから言ってもらえるよう望んでいます。あなたたちによって、その土地の所有者であるところの先住民について言ってもらえることを望みます。この大陸の先住民は、何世紀にも及んで、「より公正な社会」「よりよき世界」「自由の国」を建設すると言う理想に燃えた社会活動家の数えきれない「・・・主義」に服従させられることを耐え忍んできました。それは、先住民の社会、先住民の土地において、私たちの生活を破壊しながら、同時に/あるいは、無視しながら行われたのです。私は、先住民の土地への植民者であるあなたたちが、私たちの土地に何を建てるのであれ、私たち先住民の同意が必要であることを認識してほしいのです――社会全体のことは問題ではないのです。」
最後に、The Native Youth Sexual Health Network (*3)の素晴らしいインターン(研修生)である Erin Konsmo(*4)の芸術作品を紹介することで終わりにしたい。「占領――植民地主義のゲーム」。願わくばその絵をすぐ理解できればいいのだが。
*1 http://occupywallst.org/
*2 http://mzzainal-straten.blogspot.com/2011/09/open-letter-to-occupy-wall-street.html
*3 http://nativeyouthsexualhealth.com/
*4 http://erinkonsmo.blogspot.com/2011/09/occupy-game-of-colonialism.html
(訳:嶋田頼一)
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