先住民族の人びとと、オリンピック・ダム(ウラン)鉱山―抗議の声を
- 2011年 10月 26日
- 交流の広場
- ウラン鉱山先住民族松元保昭
みなさまへ 松元
アジア太平洋資料センター(PARC)の紅林進さんから紹介された、オーストラリア先住民族アボリジニーの訴えを収録したビデオ(日本語字幕)を紹介します。
「東京電力もウランを購入しているオーストラリアのオリンピック・ダム鉱山。福島第一原発で使われていたウラン燃料の一部も、この鉱山で採掘されたものでした。」
「2011年10月10日、南オーストラリア州政府は、地元の先住民族たちの反対の声を無視して、この鉱山を3倍に拡張する計画を承認しました。」
「この決定に抗議することを呼びかけるホームページを作りましたので、ぜひご覧いただき、抗議のメールを送ってください。(送り先や抗議文の見本なども掲載してあります)」とあります。
http://bit.Ly/roxstopj
「科学文明の最先端」と自称していた原子力(核)開発の罪深さが、歴史の深部から始まっていたことを教わります。先住民族は、われわれの歴史のはじまりからカナリヤであったのかもしれません。
=====以下、PARCブログより転載=====
http://www.parc-jp.org/teigen/2011/roxstop-action.html
●オリンピック・ダム鉱山とは
オーストラリア、南オーストラリア州の州都、アデレードから北に500kmに位置する鉱山。 BHP Billiton社が所有。 乾燥した赤土の下
に、金・銀・銅、そしてウラン鉱石が眠っている。
ウランの埋蔵量は世界最大。現在も、年間4,000トン、世界最大級のイエローケーキ生産量を誇る。 乾燥地帯にありながら、鉱山で使われ
る水の量は毎日3.5万トンにものぼり、製錬には毎日1,200トンの硫酸が使われている。
製錬によって排出されるテーリング(鉱さい)の量は年間1,000万トン。このテーリングにはトリウムなど長寿命の放射性核種が多く含まれている。
■先住民族の人びとと、オリンピック・ダム鉱山
動画 Out of Site, Out of Mine
デビッド・ブラッドベリ監督がキャンペーンのために作成したドキュメンタリー作品『Out of Site, Out of Mine』(日本語字幕制作:
アジア太平洋資料センター、日本語字幕監修:細川弘明)
豪州、オリンピック・ダム鉱山拡張計画
計画承認に抗議の声を
東京電力がウランを購入している、オーストラリアのオリンピック・ダム鉱山。 福島第一原発で使われていたウラン燃料の一部
も、この鉱山で採掘されたものでした。
2011年10月10日、南オーストラリア州政府は、地元の先住民族たちの反対の声を無視して、この鉱山を3倍に拡張する計画を承認しました。
ウラン鉱山は、核燃料サイクルの中で、「もっとも放射能汚染が激しい場所」と言われています。 鉱床からは放射性のラドンガスが放出さ
れ、採掘や製錬の過程で生まれるウラン残土やテーリング(鉱さい)といった放射性廃棄物が 露天に放置されるため、放射能が拡散してし
まうからです。
鉱山労働者や周辺住民の被曝、鉱さいを貯めるテーリング・ダムによる地下水の汚染などが懸念されます。
豪州ではその土地の先住民族の人びとの声や権利を無視して、ウラン鉱山開発が行なわれてきました。 そして、人びとは土地や、それまでの
暮らしを奪われ、放射能汚染の中で生きることを余儀なくされてきました。(ジャビルカ鉱山のように、先住民族の人びとが中心となり、開発を「凍結」させた鉱山もあります)
オリンピック・ダム鉱山の位置する土地で暮らしてきた先住民族の一人、イサベル・ディンガマンさんは、デビッド・ブラッドベリ監督による映像作品”Out of Site, Out of Mine”の中で次のように語っています。
「私たちの土地でこれ以上ウランを採掘しないで。そこから掘り出されたものが原因で誰にも死んでほしくない」
先住民族の権利や思いを無視して拡張される鉱山で、豪州の人びとの健康を蝕みながら採掘されるウラン。 それを、私たちの電気のために使い
たくはありません。
拡張の承認に抗議し、その実行を止めるために、ぜひ、ともに声を上げてください。
●拡張が行なわれるとどうなるの?
幅3キロ、深さ1キロにも及ぶ大きな穴を堀り、年間4,000万トン、100年間で40億トンのウラン採掘が行なわれる予定です。 これが実現すれば、世界最大級
の鉱山となります。
採掘時に発生するウラン残土も増大、製錬によって排出されるテーリングの量も年間4,000万トンに膨らみます。 広大なウラン残土置き場や、
テーリング・ダムも必要になります。
その穴、ウラン残土、テーリングのすべてから放射能が放出されます。
オリンピック・ダムが位置する地域は乾燥地帯であり、地元の人びとは水の使用量を制限されていますが、 鉱山が一日で使用する水の量は15~
20万トンを超えると予測されています。
さらに、大型の石炭火力発電所に匹敵する、毎年400~500万トンの二酸化炭素を排出します。
また、拡張予定地は、地元の先住民族たちにとって儀式を行なう重要な聖地で、儀礼の大切な儀礼の旅のルートの始点/終点として利用されてきました。その大地がいま、掘り返されようとしているのです。
●声をあげるためのアクション
1.下記政治家への抗議文をコピーして、拡張許可を出した政治家にメールで送ってください。
具体的な宛先は、以下の2つです。
南オーストラリア州新首相 ジェイ・ウェザリル
cheltenham@parliament.sa.gov.au
豪州環境大臣 トニー・バーク Tony.Burke.MP@aph.gov.au
※メール送信時、bccにoffice@parc-jp.orgを入れてください。アクション数を集計します。
2.下記BHP Billiton社への抗議文をコピーして、この会社にたとえ許可があっても採掘をしないようにとメールをおくってください。
下記BHP Billiton社ホームページからメッセージを送ることができます。
http://www.bhpbilliton.com/home/contact/Pages/default.aspx
(一番右の一番下、「Uranium」という項目にチェックを)
—————————————–
政治家への抗議文(英語)
タイトル:objection from Japan against the issued approval on the expansion of Olympic Dam mine
宛先:次のいずれかを
Dear Mr. Hon Jay Weatherill, Premier of South Australia, Dear Mr. Tony Burke, Minister for Sustainability, Environment, Water, Population and Communities,
I would like to convey my strongest objection from Japan against the issued approval on the expansion of Olympic Dam mine in South Australia.
Knowing TEPCO is one of the main client of this mine, I feel very much responsible to stop this expansion, because we might use the uranium that comes from this mine to generate our electricity in the future.
I hold that the risks to human health, safety, the environment and future generations are too great. The mine will add to the already massive radioactive and toxic tailings and waste, inject acid and toxic chemicals into the water table thereby risking the water supply and endangering the mound springs held sacred by the local Arabunna and Barngala peoples. The destination of the uranium mined is in no way assured.
I cannot guarantee that Australian uranium will not end up in nuclear weapons.
Indeed the only guarantee I can have is that this mine and it’s products will generate intractable, dangerous radioactive waste which there is no safe method of storage.
The small profit to be made by a private corporation by mining this uranium does not outweigh the risk to the public good.
I’m afraid this expansion has been approved in the ignorance of the rights and will of local aboriginal people. Also I’m afraid this expansion will harm the health of people in Australia.
I don’t want any people of yours to suffer for our electricity.
Please, leave the uranium mine under ground.
Please, revoke the approval on this expansion, as the world have enough harm already, caused by radiation.
Sincerely,
ここにお名前を入れてください
******(以下、抗議文の日本語訳/翻訳:津高絵美さん、小池菜採)
南オーストラリア州首相 ジェイ・ウェザリルさま/
持続的人口問題・地域社会・環境・水資源相 トニー・バークさま
南オーストラリア州の、オリンピック・ダム鉱山の拡張計画を承認されたことに対し、日本より強く抗議の意を表明します。
この拡張計画に、私は強い責任を感じています。東京電力は、オリンピック・ダム鉱山からウランを購入しており、この鉱山で生産されたウランが、私たちの電気のために使われる可能性があるからです。
私は、鉱山を拡張することによって、人体の健康・安全性・環境・将来の世代へのリスクが甚大に増加すると考えています。鉱山の拡張は、すでに存在する多大な放射能と有毒なテーリング(鉱さい)および廃棄物に加えて、酸や有毒な化学物質を地下水に加えることになり、安全な飲料水の供給を脅かすことにつながり、地元のArabunna、Barngalaの方々の神聖な湧水を汚すことにもつながります。
また、採掘されたウランの行き先はまったく保障されていません。オーストラリアで採掘されたウランが核兵器に使用されないという保証はできないのです。実際に保証できることは、この鉱山や採掘された鉱物が追跡不可能で危険な放射性廃棄物になること、そしてその廃棄物の安全な貯蔵方法がないということです。
このウラン採掘を民間企業が行って得られる少額の利益は、公共財へのリスクを上回ることはありません。
また、この拡張が、先住民族の権利と意志を無視して許可されたこと、さらにこの拡張によって、オーストラリアに暮らす人びとの健康が害されてしまうことを懸念し、私たちの電気のために、あなたの国の人びとが苦しむようなことがあってはならないと考えます。
放射能に、世界はもう十分苦しめられてきました。
どうかこれ以上ウランを採掘しないでください。
どうか、この拡張許可を撤回してください。
[署名]
(上記署名には、サイトからアクセスしてご協力ください。紹介者註)
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