テント前広場での数々の美しい表現から
- 2011年 11月 6日
- 交流の広場
- 9条改憲阻止の会
2011年11月5日 連帯・共同ニュース第182号
9条改憲阻止の会
■ 世相を拾い上げたものとしては『方丈記』が早いものだろうが、江戸時代の瓦版になるとそれはより明確になって庶民感情からの発言も強くなった。これは「世直し」の意識と結びつき、体制や権力への風刺も存在した。経産省前テント広場や座り込みの周辺では綺麗な布に書かれた言葉がある。小さな一片の布に書きつけられた「一言風」の文言が何枚か縫われて一枚となって、経産省の道路の植え込みなどに置かれている。このカラフルな布に込められた言葉は一人ひとりの思いがにじみ出ていて感動的だが、何よりも美しい。詳しく伝えられないのは残念だが、こんな表現が周辺を飾るのも「女たち」中心の集会のためであろうか。行動する人々の表現は行動自身にあり、それぞれの内に響きあう言葉にあるが、その断片がここに見られるということだろう。また、テントには美しいポスターとコピーが張り出されている。これは「脱原発ポスター展」の無料チラシから刷り出されたものと思われる。その一部を紹介する。「原子力とめて想像力」、「放射能はクヨクヨしている人にきます(?)家の仕事も失って二コニコできるかい!福島県立副学長殿」「いらないもの<放射能> 欲しいもの、<安心>」。「放射能流して、情報は流さない」「原子力は森羅万象の外の物」。これらには見事なデザインの絵や写真がついており、コピーだけではその力は伝わらない所がある。機会あればhttp://nonukeart.orgを開いてみて欲しい。
■ 10月27日「原発いらない福島の女たち」で開始され、10月30日「原発いらない全国の女たち」に引き継がれた経産省前の座り込み闘争は今日最終日になった。10日間はあっという間に過ぎたという印象であるが、それはとても充実した日々であったことを物語ると思う。この間には様々のことがあった。街宣車を連ねた右翼の妨害もあれば、霞ヶ関に現れる様々のデモもみた。いずれにせよ長期戦の様相を呈しはじめた原発問題ではあるが、僕らは粘り強く国民の意志を結集し、体制や権力の動きと対して行くしかない。歴史に加わる一人ひとりの声と力の具現にしか道はない。国家意志として原発再稼働→原発保持を戦略にして様々の戦術を駆使してくるのが体制や権力である。原発再稼働のためにエネルギーのベスト・ミックス論の宣伝、既成事実の積み上げなどいろいろの動きが出てくる。また、地域への様々の名目でのカネの投入、メディアの唱和などがある。だが経産省前の座り込みの経験が予想を超えて生きると思う。何時の日か全国でテント村や座り込みは風景となり、脱原発の道になって行くだろう。 (文責 三上治)
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