「玄海原発4号機再起動を巡る新聞報道を見る」など 地震と原発事故情報 その225
- 2011年 11月 8日
- 交流の広場
- たんぽぽ舎
5つの情報をお知らせします(11月8日)
◇ 残念ながら、玄海原発4号機が稼働したため、日本の原発・全54基の
うち、現在43基(80%)が停止、稼働しているのは11基(20%)。
今後、再稼働をみんなの活動で阻止できれば、2012年春頃には全原発
の停止が実現する。
原発なくとも電気はだいじょうぶ(天然ガス、火力、その他)。
今、運転中の11基も早く停めてほしい-地震・余震が心配。
★1.玄海原発4号機再起動を巡る新聞報道を見る
南日本新聞社説、東京新聞社説は立派。毎日は惜しい。
★2.「経産省前テントひろば日誌」-57日目 11月6日
右翼の嫌がらせ行動と東電前アクションのデモにぎやか
★3.経産省前テント村のホームページの紹介
★4.原発非常時のオフサイトセンター
原発非常時に縦割り対応は、大疑問
原発拠点施設が「商業炉と研究用で縄張り」―経産・文科省が所管
★5.槌田劭さん(使い捨て時代を考える会顧問)の講演記録が公刊さる
10月15日スペースたんぽぽ講演から
★1.玄海原発4号機再起動を巡る新聞報道を見る
南日本新聞社説、東京新聞社説は立派。毎日は惜しい。
たんぽぽ舎・山崎 久隆
●南日本新聞の社説は立派だ。
http://www.373news.com/_column/syasetu.php?ym=201111&storyid=36066
本当にまともな報道は地方紙から。東京にも東京新聞という立派な地方紙が
あるので、もう全国紙は止めて地方紙にしたほうがいい。
ただし、ひどい地方紙もあるから全部とはいかないが。
(末尾に全文引用)
●サンケイ新聞は「玄海4号機再稼働 国の判断の矛盾際立つ 佐賀」という
見出しで記事を出している。一見すると南日本新聞社説と同じことを言ってい
るのかと錯覚するが、真逆の論調だ。
サンケイの記事は冒頭
『「どうして車検済みの車を運転できないのか」。九電の松尾新吾会長は、定
検を終えた原発の再稼働が認められないいらだちをこう表現していた。今回の
再稼働を車に例えれば、車検済みの車はガレージに置き、ドライバーのミスで
事故を起こして修理工場から戻ってきた車にあえて乗るともいえる。』と始ま
る。
つまり、事故停止原発を動かせるならば定期検査を終えた原発を止めておく
理由は無いという趣旨だ。ストレステストなど論外という主張だ。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111102/sag11110202440000-n1.htm
●このような原子力産業界を代表する論調が全国紙に載る中、北海道新聞は
「玄海原発 住民を軽視した再稼働(11月3日)」と、真っ向から批判して
いる。「これでは、定期検査で停止中の原発の再稼働に向けた実績づくりと疑
われても仕方ない。まして、九電は玄海原発2、3号機の再稼働をめぐる「や
らせメール」問題で批判を浴びているさなかである。佐賀県の古川康知事の関
与疑惑や、経営陣の進退問題も決着していない。」「テストの目的が原発の安
全確保であるなら、トラブルを起こした原子炉を除外するのはおかしい。」こ
れが権力を監視する報道機関の正常な感覚では無いのか。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/329594.html
●サンケイの主張は社説(主張)にもはっきり出ている。
「原発と節電 再稼働で「暗い冬」回避を」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111104/biz11110403020000-n1.htm
電力が不足するから再稼働しろと言うだけの、事実にも反する内容の無い愚論
に過ぎない。
●朝日新聞は、というと、自分の言葉が無い。
「4号機再開 九電・県に抗議次々」は一見すると記事の内容は良いかのよう
に見えるが、市民団体や議員の抗議行動や抗議声明などを紹介しているだけ
で、朝日新聞としてどういう立場なのかが全く書かれていない。
http://mytown.asahi.com/saga/news.php?k_id=42000001111020005
というと多分朝日は「【解説】知事、政治家として無責任」という記事を出し
ていると反論するのだろう。
確かに。この記事は岩田正洋記者の署名記事で、枝野経産大臣と古川佐賀県知
事を玄海原発の運転容認を九電に丸投げした「無責任政治家」と批判してい
る。
http://mytown.asahi.com/saga/news.php?k_id=42000771111020002
しかしこの記事は佐賀県版だ。全国面では無い。全国紙で堂々と展開できない
(しない)朝日の姿勢は大いに問題だと言わざるを得ない。
冒頭にほめた東京新聞の社説は、やはり立派だった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011110202000056.html
「玄海原発再開 不信はまた深まった」(11月2日)
翌11月3日も社説に原発。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011110302000039.html
「原発輸出 二重基準でいいのか」(11月3日)
こちらの内容は野田政権の原発輸出批判だ。
他にも特報面で「九電玄海4号 ドタバタ再稼働 地元「唐突」波紋広が
る」と記事を載せている。東京の地方紙が現地取材をして問題点を洗い出して
いる。(ただし記事はネットでは有料です)。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011110402000054.html
●毎日新聞は良い記事は出しているのだが、多くは九州ないし佐賀県版だ。
どうしても全国版では書けないらしい。
http://mainichi.jp/seibu/news/20111102sog00m040012000c.html
http://mainichi.jp/seibu/shakai/news/20111102ddg041040008000c.html
そういう報道姿勢だから、原発現地と都市部の意識が乖離する。東京では玄
海原発4号機再起動などほとんど知られていない。いや東京だけで無く大阪も
京都も名古屋などでもそうであろう。
毎日の全国版で一番良かった記事は
「佐賀・玄海原発:4号機再開 トラブル停止『想定外』
ストレステスト課さず」
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111102ddm041040093000c.html
だった。
—–◇ 南日本新聞の社説 ◇——————————————
[玄海4号機] 運転再開は拙速すぎる
( 11/3 付 )
九州電力は、人為的ミスによるトラブルで停止した玄海原発(佐賀県玄海
町)4号機をおととい夜、再稼働した。定期検査やトラブルで停止した原発の
運転再開は東京電力の福島第1原発事故以降、全国で初めてである。
国は原発事故を受けて、定期検査中の原発の再稼働にストレステスト(安全
評価)の実施を義務付けている。巨大地震や津波など過酷な災害に耐えうる原
子炉にするためには当然の措置だ。
定検に入った原子炉が1基も再開できない状況で、玄海4号機だけがひと月
もせずに再稼働したのは、トラブルによる停止はストレステストの対象になら
ないとの国の基準があるからだ。九電も会見で「4号機はトラブルで停止した
ので、扱いは運転中の1号機と同様」と説明している。経済産業省原子力安
全・保安院のお墨付きを得たとの言い分だ。
だが、周辺住民からすれば正常運転していた原子炉の定検による停止より、
トラブルで止まった炉の方が不安は大きい。トラブル停止の炉の点検も同じく
らい厳格にするべきなのに、規制を緩くした国の対応は矛盾していると言わざ
るを得ない。
しかも九電は、発電再開を発表した翌日に原子炉を再稼働するという性急さ
である。周辺住民と自治体への十分な説明がないまま、一方的に進められた再
稼働の動きに「あまりにも強引だ」と批判が上がるのも当然だろう。
法的手続きや協定上は、再稼働するにあたって地元自治体の同意や住民の理
解は不要だという。だが、九電のやらせメールが問題化し、その後の九電のま
ずい対応に批判が集まっている事態を考慮すれば、拙速すぎるのではないか。
再稼働を急いだ4号機は、12月中旬には定検に入る。約1カ月半とはい
え、一日も早く再稼働にこぎ着けたい九電の姿勢には、火力発電の燃料費を縮
減し、収益悪化を抑えたい狙いが透けて見える。
4号機の停止で九電の火力発電の燃料費は1日当たり3~4億円増えている
という。定検入りまでに百数十億円節約できれば、大幅赤字が見込まれる収益
の改善につながる。こうした思惑から再稼働を強行したのならあしき前例を残
すことになる。
国は、トラブル停止の炉にもストレステストを課すよう安全規制を見直すべ
きだ。合わせて、地元への十分な説明と同意を必要とすることも教訓にしなけ
ればならない。
★2.「経産省前テントひろば日誌」-57日目 11月6日
右翼の嫌がらせ行動と東電前アクションのデモにぎやか
11月7日(月)~10日(木)は
東電前アクション・園さんらの座り込み(12:00~18:00)
○「テントから 視えるこの国 この時代」これはテント内に貼ってある乱鬼
龍さんの川柳である。霞ヶ関はこのところ騒然としている。TPP問題一つと
っても、10日あまり前に農業団体をはじめとする3000名以上の反TPP
デモがこのテントの前を通ったが、先日は全員が日の丸を掲げた1000名の
デモがあった。幟には「売国TPP反対」と書かれていた。 そして10日間
行動から明けた11/6である。この日は未明(午前4時前頃)の右翼のご到
来から始まった。街宣車3台で7~8人が降りてきたが、不寝番がすぐ気づい
て寝ていた者も飛び起き、7~8人テント前で対応。警察もやってきて1時間
半程押し問答となったが、何事もなく退散。11時過ぎには街宣車20数台で
例によっての大音量でのがなりたてを30分ほど。またまた午後5時頃の街宣
車10台程でテントに向かっての大音量の放列が1時間。どうもこの日は右翼
にとって特別な日であったのか・・・。 日比谷野音での恒例の3労組主催の
集会と公会堂での元航空幕僚長・田母神講演会で、関東の右翼の集結日だった
ようだ。そして霞ヶ関のど真ん中でのテントひろばの民衆的定着と発展に右翼
が危機感を抱いているということのようだ。右翼が騒げば公共の会場の使用が
拒否される、というのがお決まりのパターンだが、テントひろばは民衆の公共
のひろばとして自ら創造してきているのである。だから私たちの回答はテント
ひろばでの民衆の交流と様々なアクションの継続である。
○東電前アクションの若者達は、この日グループとしてははじめてのデモをお
こなった。常盤橋公園~銀座~東電前~経産省正門前がコースであった。主催
者の予測をこえて200名近い若者達が集まった。創意工夫して造ったグッズ
や幟で見た目も楽しいデモであった。警察の手が回らず規制は緩かったとのこ
と。その後テント内に30名近くがすし詰めで交流会をおこなった(グッズ
類は真ん中のテントに展示しています。)。
○11/7~10は東電前アクションの園さんたちが、午後2時~6時座り込
み行動をおこなう。都合のつく方は是非、応援に駆けつけて下さい、共に座り
込むなり、スピーチ、歌、演奏、踊りetc、それぞれの知恵と創意でやりた
いことを。
(テント前広場・八木)
★3.経産省前テント村のホームページの紹介
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃経産省前テント村のホームページの紹介 ┃
┗┳━━━━━━━━━━━━━━━━━┳┛
 ̄ ̄ ̄http://tentohiroba.tumblr.com/ ̄ ̄ ̄
これからの日程とか、どんな行動をしてきたかとか、元気な座り込みメンバー
の声とか、新聞テレビが伝えない、運動の現場を直接知ることが出来ます。
原発を止める力はこういうところから始まる。チェルノブイリ原発事故の後の
当時の通産省前行動を知っている、力及ばなかった私には、隔世の感です。
11日、みんなの手で経産省を取り囲みましょう。
★4.原発非常時のオフサイトセンター
原発非常時に縦割り対応は、大疑問
原発拠点施設が「商業炉と研究用で縄張り」―経産・文科省が所管
○原発事故が起きた時、国の対応拠点となるのがオフサイトセンターだ。福島
第一原発事故ではほとんど機能できず、経済産業省原子力安全・保安院は、全
国の施設設備や体制を見直している。だが、実は「管轄外」もある。同じオフ
サイトセンターでも、川崎市にある研究施設などのものは、文部科学省が所管
するという。緊急事態の備えが、なぜ縦割りなのか。
○オフサイトセンターは一九九九年九月に茨城県東海村で起きたJCO臨界事
故をきっかけに全国に整備された。原発や放射性物質を扱う核燃料加工会社な
どの事業者ごとに順次設けられ、現在全国に二十ニカ所ある。経産省が所管す
るのはニ十カ所。うち四カ所は文科省との同居で、ほかに文科省単独の施設が
川崎市と大阪府東大阪市にある。川崎オフサイトセンターは、実験炉などがあ
る東芝原子力技術研究所を対象とし、二キロ離れた場所に置かれている。原子
力災害対策特別措置法に基づき、それぞれのセンターにテレビ会議システムや
SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)などを準
備。原子力災害が起きたら、国や自治体、事業者や専門家が集まり、急いで住
民の被ばくを防ぐ手立てなどを打つことになっている。ややこしいのは同居の
ケース。例えば、それぞれの監視対象が約十キロ先にある茨城県原子力オフサ
イトセンター(ひたちなか市)では、同じ施設で両省の防災専門官が机を並べ
る。この場合、東海第二原発(東海村)で原子力災害が起こったら現場の指揮
を執るのは経産相。日本原子力研究開発機構の高速実験炉などが立ち並ぶ研究
施設で事故があったら、文科相が仕切るという。文科省原子力環境対策室の担
当者は「設備も役割も大きな違いはない」と説明する。ただ、原子力安全・保
安院は三次補正予算案にオフサイトセンターの補強費として十三億円を盛り込
んでいる。(略)
○反原発の市民団体「たんぽぽ舎」の柳田真代表は「商業炉を進める経産相
と、原子力研究を担う文科省の原子力ムラ内の縄張りを反映しているにすぎな
い。問題なのは、「安全」だと言い張って、どちらもオフサイトセンターが必
要になる事態に備えていなかったこと」と指摘する。原子力資料情報室の伴英
幸共同代表も「原子力施設から五キロ前後にある現在のオフサイトセンターで
は、原子力防災では機能しない。(略)」と話した。
(東京新聞11月7日付けより抜粋)
★5.槌田劭さん(使い捨て時代を考える会顧問)の講演記録が公刊さる
10月15日スペースたんぽぽ講演から
2011年10月15日(土)にスペースたんぽぽで槌田劭さんが示唆に富
む講演をしました。もともと京都大学の工学部で化学の助教授を務められてい
た槌田さんが、「科学」の無誤謬性に疑念を抱き、有機農業の道へと歩まれる
きっかけのひとつに、1973年に起った「伊方原発訴訟」があります。伊方
原発の誘致に反対した住民が訴訟を起こし、槌田さんは原告側の証人として参
加しました。1992年に最高裁で敗訴が確定したこの裁判のプロセスは、
「原子力村」と行政・司法の利権がらみの構造を象徴的に表わすものでした。
今回の講演では、この伊方原発訴訟のエピソードから、戦後の五五年体制と
共に確立された原発政策に対する批判、悪しき専門家主義と原発報道の問題性
など、多岐にわたって論じられています。本来「良心con・science」の学であ
ったはずの「科学science」が、なぜ罪「科(とが)」の学に堕落してしまった
のか。有機農業と共同購入運動を通じて「良心」の学を追求してきた槌田さん
が、生活の場で展開されるべき「共生の世界」への道筋について語っていま
す。最後に「東電・政府への強い怒りを持ちつつ、放射性被曝の感受性が低い
老人は福島県産の農産物を食べることで福島の人々に寄り添うことができる」
という主旨の提言がありましたが、槌田さんの強い決意が伝わる印象深い発言
でした。
講演記録は、11月8日全国発売の雑誌『atプラス』10号(太田出版)
に掲載されています。
太田出版・高瀬)
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[たんぽぽ舎 編集部より]
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