「毒物をまいて「無主物」という東電の主張のまちがい」など― 地震と原発事故情報 その275
- 2011年 12月 20日
- 交流の広場
- たんぽぽ舎地震と原発事故
◆ 地震と原発事故情報 その275 ◆
5つの情報をお知らせします(12月20日)
★1.毒物をまいて「無主物」という東電の主張のまちがい…続
汚染者負担の原則が大事(原稿)-公害裁判の基本 槌田 敦
★2.12月の学習会・デモ等の予定~5つ 参加歓迎
◯12/22『放射能と食の安全について』
◯12/23東電前「年末ジャンボアクション」~柏崎刈羽原発を廃炉に!
◯12/24優しく心と体を強くするヨーガ教室
◯12/24福島の子どもを守ろう!疎開裁判から考える
◯12/26ストレステストのインチキ・地震でこわれた福島第一原発
★3.子どもを守るだけでなく、放射能汚染の時代を生き抜く力を!
お母さんお父さんの為の保育付き講座に参加して 塚越 都
★4.<テント日誌 12/18(日)>
小熊英二氏のお子さんの絵と配管工のおじさん
― 経産省前テントひろば 99日目 ―
★5.内部被ばく軽視の源は放影研 原爆調査で米に追随し被害を隠した
琉球大名誉教授「医の安全神話」に対して警告
★1.毒物をまいて「無主物」という東電の主張のまちがい…続
汚染者負担の原則が大事(原稿)-公害裁判の基本 槌田 敦
そもそも、水俣第一訴訟の前年の1972年、OECD(経済協力開発機構)は、公害対策をして出費した企業と公害対策をしないで費用を節約した企業の不公平を解決するため、汚染者が汚染により生じる費用を支払うという原則(poluter‐pays principle PPP)を勧告した。
日本では、この原則を、企業と企業の関係だけではなくて、被害者と加害者の関係にも適用し、「汚染原因者の負担」という意味で多くの公害裁判で使われることになった。
汚染による損害の「支払い」の原則だけではなく、支払いを含む広義の「負担」の原則なのである。今回の福島第一原発事故による災害についても、この汚染者負担の原則により、解決が進められることになる。
「汚染者負担の原則」は、具体的には、刑法と民法の適応で実施される。刑法第211条1には、「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者」に対する罪が規定されている。元チッソ幹部2人に有罪判決が出たと同じように、多数の東電幹部の有罪判決となるであろう。
また民法第709条には、「故意または過失によりて他人の権利を侵害したる者はこれによりて生じたる損害を賠償する責めに任ず」とあり、また同法第710条には、「前条の規定によりて損害賠償の責めに任ずる者は財産以外の損害に対してもその賠償をなすことを要す」とある。この条項によって精神的苦痛に対する慰謝料の請求が可能となる。
この問題は次章で詳しく論ずることにして、まず、東電への賠償請求を整理するために、汚染日本で暮らすために必要なことを考えたい。(以下、略)
※編集部・注
(この原稿は、来春に槌田敦さんたちが出版される本の中の「原稿」の一部です。現在の状勢に合った内容なので、その部分をぬきがきして紹介します)
★2.12月の学習会・デモ等の予定~5つ 参加歓迎
◯『放射能と食の安全について』ヒバク=自然被曝+外部被曝+内部被曝
日 時:12月22日(木)18:45(開場18:30)~21:00
お 話:槌田博さん(放射能汚染食品測定室)
会 場:「スペースたんぽぽ」ダイナミックビル4F
参加費:1000円
◯東電前「年末ジャンボアクション」~柏崎刈羽原発を廃炉に!@12・23~
東電への責任追及の手を緩めない!
日 時:12月23日(金・休)18:00~20:00(予定)
東電本社前へ集合
◯優しく心と体を強くするヨーガ教室~毎週土曜日開催中~
日 時:12月24日(土)朝10:00~12:00
講 師:河野秀海先生(インド中央政府科学技術省公認療術師、
元浄土真宗寺院副住職etc)
会 場:「スペースたんぽぽ」ダイナミックビル4F
参加費:1500円
詳細・ご予約は『優しく心と体』で検索!
Eメール:kokorokaradayoga@gmail.com
◯福島の子どもを守ろう!疎開裁判から考える
日 時:12月24日(土)18:30(開場18:00)~21:00
お 話:柳原敏夫さん(ふくしま集団疎開裁判弁護士団)
会 場:「スペースたんぽぽ」ダイナミックビル4F
参加費:500円
◯ストレステストのインチキ・地震でこわれた福島第一原発
「津波対策で再稼働」は根拠を失った
日 時:12月26日(月)19:00(開場18:30)~21:00
お 話:プラント技術者の会、山崎久隆
会 場:「スペースたんぽぽ」ダイナミックビル4F
参加費:500円
★3.子どもを守るだけでなく、放射能汚染の時代を生き抜く力を!
お母さんお父さんのための保育付き講座に参加して 塚越 都
小児科医、山田真さんの講座に動画撮影のお手伝いで参加しました。
この講座の特徴はなんと言っても保育。当日はお母さんお父さんに連れられて22人の子どもたちが、保育士やボランティアの方と一緒に約3時間の長丁場でしたが静かに遊んでいました。
山田真先生は、能力主義や優生思想に対して積極的に反対しており、予防接種を進めないなど、とてもユニークな先生です。
そして、放射能への対応については、子どもの目線で考えていらっしゃることが良くわかり、子どもたちへの深い愛情を感じました。
子どもの目線というのは、子どもを守るだけでなく、これからの放射能汚染時代を生き抜いて行くための力を付けさせなければいけないという事です。
チェルノブイリ原発事故から25年経ったベラルーシの学校では、給食の放射線量を子どもたちに測らせて、食べてよいか判断させるそうです。
山田先生のお話から私が理解したことは、子供たちへの謝罪や申し訳ないという気持ちでは、彼らが楽になるわけではない、汚染を許した私たちが出来る事は、これからの時代を生き抜くためのすべを、子供たちへ伝えることだと思いました。
また、放射能の安全数値は人それぞれ個体差により違う。身体的影響が出る人もいればでない人もいるが、影響が出る人が過敏なのではなく、出ない人が不過敏なんだという意識をもつことにより、より被曝について問題意識を持つことが出来るというお話も伺いました。
放射能のしきい値は無く、自分が自分の体に責任を持って、自分で判断するしかないということ。その判断の基準を子供達が持てるよう、正しい情報を与え自分の信念を持って生きる生き方を見せることが、私たちがしなければいけないんだと思います。
最後に、更なる事故原発を防ぎ、未来の人の負担を少しでも軽くするために、私たちがすべきこと。全ての原発を廃炉にする事です。
無くせない放射能とは違い未来を守るために絶対にやらなければいけないことです。
今後も保育付き講座では、いろいろな企画をしているそうなので期待しております。
※編集部・注
(来年1月~2月にも、「お母さんお父さんのための保育付き講座」が企画 される予定、内容が決まり次第、メールマガジンでお知らせします)
★4.<テント日誌 12/18(日)>
小熊英二氏のお子さんの絵と配管工のおじさん
― 経産省前テントひろば 99日目 ―
ついに経産省前テントも99日目。間もなく大台に乗る。
今日は社会学者の小熊英二氏が来テント。お子さんが書いたという絵を見せていただいた。大きな段ボールに大きく「げんぱつやめろ!」と書かれたその絵には地球と自然と人間への愛が描かれていた。
小熊氏は6月11日の原発やめろデモ(素人の乱主催)でもスピーチを行っている。寒い日が続くがテントでは日々新しい出会いがある。
夜には、通りすがりの福島の男性と話をした。配管工をしていて霞ヶ関でも仕事をしているというその男性は寒い中、福島のこと(特に地下水の心配)、官庁の仕事ぶりのこと、公共事業のこと、有馬記念や生活のことなどを1時間以上も話した。
直接的に政治に訴えることが気性に合わない多くの人たちの分まで、訴えていかなければならないと強く感じる。(HH)
テントひろば100日目を迎える夜
日曜夜8時にテントに到着、6人程がテントの中で歓談中。つまみを回しながら焼酎やワインを片手に、兵庫県から来た男性がしばし芝居談義。テントにいるとたくさんの雑学が入ってくる、年寄りには通り過ぎるだけだけれど。
と、若いお嬢さんがテントを覗く、どうぞどうぞと一同大歓迎。ワインを勧めると、原発のことが心配で立ち寄ってくれたという。千葉の高線量のことなどしばし話したあと、「こういう話はなかなか身近でできない、お話できて良かった、木更津に戻ったら仲間を増やします」と笑顔で寒空を地下鉄駅に消えていく。23時の消灯時間。寝ずの番の当番を確認したあと夜の宴会はお開き。直ぐに寝袋にもぐる人、いそいそ帰途につく人、引き続きしゃべる人。
2時に起こされて外に出ると空っ風が吹いている。コンビニまで駆けつけてトイレを借りる。地下鉄駅もコンビニも親切だ。見上げるとビルの間に半月が明るい、少ないが星も見える。この時間でも金融庁ビルから出てくる官僚を待つタクシーが数台。平日は長蛇の列のタクシーがアイドリングしていて、放射線量だけでなく排気ガスも心配。
再び寝袋に潜って眠るが、朝方にはトラックの大エンジン音で起こされる。テントは空気も水も遮断するが車の音は遮断してくれない。次回からは耳栓を用意しよう。既に早起きさんがテント前の落ち葉を掃き集め、そこを早出のネクタイ男たちがいそいそと歩いてビルに吸い込まれて行く。また一週間が始まる。テント100日目の朝を迎えた。(KM)
★5.内部被ばく軽視の源は放影研
原爆調査で米に追随し被害を隠した
琉球大名誉教授「医の安全神話」に対して警告
福島第一原発の事故で、放射性物質を体内に取り込む被害が現実化し始めた。しかし政府は、この内部被ばくを軽視する傾向を崩していない。矢ケ崎克馬・琉球大名誉教授によると、広島・長崎の原爆被害の調査に当たった放射線影響研究所(放影研)の情報操作が、こうした偏向を生み出しという。同氏は警告する。「福島で広島・長崎の悲劇を繰り返してはならない」放影研は一九七五年、被爆者の健康を調査する日米共同の研究機関として発足した。前身は、米国が四七年に設けた原爆傷害調査委員会(ABCC)だ。(略)
米国は、原爆を残虐兵器とみなされないために犠牲者を隠し、原子力の平和利用名目で日本に商業原発を押し付けるため、内部被ばくを見えないようにした。この悪名高いABCCを丸ごと引き継いだのが放影研だ」この結果、五七年に施行された旧原爆医療法は、米国の内部被ばく隠しに追随する被ばく者認定基準を設けた。「初期放射線だけに被ばくを限定し、被ばく範囲を爆心地から二キロ以内にした。内部被ばくは一切無視した」(略)
先月末、放影研の隠蔽体質を象徴するような問題が発覚した。原爆投下後に高い残留放射線が見つかった長崎市西山地区の住民からセシウム検出など内部被ばくの影響を確認していたにもかかわらず、八九年で健康調を査打ち切っていたのだ。(略)
内部被ばく軽視の姿勢は、米国が主導する国際放射線防護委員会(ICRP)の手でグローバルスタンダード化した。原爆やチェルノブイリ事故の内部被ばくデータは公式記録から徹底的に排除され、犠牲者は切り捨てられた。(略)
「内部被ばくは、がんだけでなく、下痢や鼻血、のどの腫れなどさまざまな症状の原因になる。それなのに、医者たちの間で『福島事故での低線量被ばくで今ごろ、健康被害がでるはずがない』という医の安全神話が形成されてしまっている。病人の心配を笑い飛ばすのではなく、命を救うために原因を虚心坦懐に科学してほしい」(2011.12.16東京新聞『こちら特報部』より抜粋)
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[編集部より]
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