「運転再開の根拠は崩壊した ストレステスト一次評価に「意味は無い」の斑目春樹委員長発言」など―地震と原発事故情報 その340
- 2012年 2月 21日
- 交流の広場
- たんぽぽ舎地震と原発事故
4つの情報をお知らせします(2月21日)
2月20日、関西電力高浜原子力発電所3号機が定期検査で停止
残るは東電1基、北海道電1基の計2基、全原発停止へあと一歩
【東京電力:柏崎刈羽6号 2012年3月26日に 定検入】
【北海道電力:泊3号 2012年4月末までに 定検入】
★1.運転再開の根拠は崩壊した
ストレステスト一次評価に「意味は無い」の斑目春樹委員長発言
(山崎 久隆)
★2.首相の冷温停止の根拠は崩壊した
温度計不良で、よく「冷温停止状態」と言えたものだ
データ信頼性に疑問、東電・政府に疑問
(毎日新聞 2012年2月13日より抜粋)
★3.<テント日誌 2/18(土)>
「わがふるさとは 人類史における ひばくの原郷」
―― 経産省前テントひろば 161日目 ――
★4.イベントのおさそい
◇3・11地震と原発事故後にわかったいくつかのこと
(4年以内に東京直下地震発生70%)そのほかお話
講師 島村英紀さん(地震学者、地質学者)
2月27日 18:45から、資料代 1000円、
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★1.運転再開の根拠は崩壊した
ストレステスト一次評価に「意味は無い」の斑目春樹委員長発言
(山崎 久隆)
東京新聞社会面に載っていた記事を要約します。
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班目委員長 1次評価のレベル疑問「原発再稼働と関係ない」
東京新聞 2012年2月18日 朝刊
原子力安全委員会の班目春樹委員長は十七日、定期検査で停止中の原発を再稼働する条件とされている安全評価(ストレステスト)の一次評価について「再稼働とは関係ない。二次評価まで終わらなければ、安全性の判断はできない。一次評価は安全委が要求している(安全性の)レベルに達していない」との見解を示した。
安全委で一次評価結果が妥当か否かを審査中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題に影響を与えそうだ。
民主党の原発事故収束対策プロジェクトチーム事務局長の川内博史衆院議員との会談の中で述べた。
班目委員長が「一次評価は再稼働に関係ない」との認識を示したことで、安全委に再稼働の可否を判断する権限はないものの、福井県が一段と再稼働への慎重姿勢を強める可能性がある。
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さて、これはどういう意味なのかと言えば、そもそも今回のストレステストは、原発の究極の危機回避をどうするかということだったのですが、一次テストでは、どこまで揺れれば、またはどんな津波までは、原子炉の燃料損傷を免れるかを見ているだけ。そんなのは2006年の耐震設計審査指針改定後に、全ての原発を後追いで再評価する「耐震バックチェック」の延長でしか無く、
地震については結果はほとんど同じ、津波では、福島第一に到達した津波波高と、それまでの想定波高の差分である「9.5m」を一律全原発に加算して安全対策を強化した、保安院の「緊急安全対策」の評価をシミュレーションしているだけ。
ほとんど意味の無い一次評価では、到底安全性が確保されているなどと言えないとして、本来連続的に実施されるはずだった、二次評価がなければ運転再開の前提さえ満たさないとの見解を示したわけです。これはこれでまともな主張です。
原子力安全委員会の委員長が、ストレステストの一次評価は「再稼働と関係ない」と切り捨てたのです。逆立ちしても保安院は原発再稼働の「ご説明」になど、福井県やおおい町には行けないはずです。それでも行くならば、もはや行政の体をなしていないことになります。
私たちがどんなに「でたらめ委員会」と批判しようとも、国の原子力規制行政において安全委の役割は極めて重いはず。その委員長が、3月末で組織と共に消滅するとしても、まだ職責にある内に「関係ない」とした一次評価結果を元に、県に再稼働の説明をするなどということをしたら、その時点で行政機関としての整合性は崩壊します。
まず斑目委員長のところに行ってから出直せ。とだけ、県は言うべきです。
★2.首相の冷温停止の根拠は崩壊した
温度計不良で、よく「冷温停止状態」と言えたものだ
データ信頼性に疑問、東電・政府に疑問
(毎日新聞 2012年2月13日より抜粋)
東京電力福島第1原発2号機の原子炉圧力容器底部にある温度計の一つが保安規定の制限値80度を超えた。東電や政府は温度計事態の不良との見方を強めているが、原子炉の安定冷却の大きな目標となる温度データすら信頼性を欠き、炉内の状況を把握できないままの「冷温停止状態」の危うさを露呈した形となった。
東電によると、問題の温度計の表示が上昇し始めたのは1月末。この時点では実際に温度が上がっているのか、温度計の不良かは判断できず「念のため」(東電)注水量を増やしたという。だが、12日午後になり、短時間に75度~90度の間を乱高下するようになったことなどから不良の可能性が高いと判断した。
(中略)
しかし、そもそも野田佳彦首相が昨年12月に福島第1原発の冷温停止状態を宣言した最大の根拠は、1~3号機の圧力容器底部の温度が100度を切ったと判断されたことだった。当時から温度計には最大で20度もの誤差があるとされていたが、今になって故障の可能性に言及する糊塗は、これまでよりどころにしていたデータの信頼性に疑問を抱かせかねない。
工藤和彦・九州大特任教授(原子炉制御工学)は「炉内の燃料の分布を把握できていない以上、局所的に高温になっている可能性も完全に排除すべきではない。高線量のため、新たに温度計を設置することは不可能でも、もし残りの二つにも異常が出た場合には深刻な事態になる」と指摘している。
★3.<テント日誌 2/18(土)>
「わがふるさとは 人類史における ひばくの原郷」
―― 経産省前テントひろば 161日目 ――
2月18日(土) 晴れ。大変寒い。
テントを建てた方々は変わらない。心の奥の襞ひだを覗く趣味はない。どうせ誤解しかできない。第1回 経産省前テントひろば応援の集い(たんぽぽ・スペース)で、テントが建てられたときのDVDを視る。で。登場する方々は、本当に変わらない。ただ、半そでのTシャツが、重たそうな防寒コートになっているだけの印象的差異。
思想的活動家とのテント暮らしも160日を超えると、共に暮らす同僚という感覚もまた培養されている。犠牲的精神で、政治と権力と組織の悪を告発する恐ろしいばかりの求道者という出会ったころの印象は、ああ、兄貴たちよ! という親しみの感情を覚えるまでに軟化してしまった。同志といっては、小生などには、恐れ多い。
さらにしかし、今日の主賓、「希望の牧場~ふくしま~」有限会社エム牧場浪江農場の場長 吉沢正己さんのお話とディスプレイは、しみじみとテント暮らしが惰性的になろうかというころに、鋭い反省の楔をうがった。
これは、まだ伝聞体で表現するには、すさまじすぎて、無理な内容。吉沢さんの持っていらしたチラシから、ごくごく一部引用します。
「警戒区域にある私の牧場にはいまも300頭を超える牛が元気に生きています。原発事故からこれまで被ばく覚悟で家畜の世話を続けてきました。こうした家畜たちを、経済価値もなく、被爆した家畜かも知れませんが、必死に生きているその命を、活かす方法はないでしょうか。」こういう活動されている彼は、現地で2番目に高い被ばく線量を浴びているそうだ。世界の大都市・東京で、悪戦苦闘しているテントひろば「闘士」に、福島の限界状況を伝えてくれた。いきものをいかすために、「決死、救命を、団結!」という最後のメッセージを掲げながら、活かすことを戦っている彼に、「質問」する元気はみな起きなかった。
しかし、馬鹿の強みで、小生、聞いた。「酪農関係で、自殺された方は?」「5人になってしまいました」20世紀の脱構築思想家のJ・デリダだったろうか「自殺は、殺人です」。脱原発の極限的実践者は、まず、このひとを除いてはないだろう。さすがの、タッチーもテントに帰ってからも、蒼白のままだった。この企画と主催をした当人だ。 次回は、とつきとおかすわりこみでテントに生きる椎名さん、その次は、武藤さんだ。会場から、被爆2世と自己紹介した方が、テントでも熱弁をふるってくれた。もういちど、記す。わがふるさとは、人類史における、ひばくの原郷。
この日、枝野経済産業相大臣は、「再稼動は安全と安心が求められており、供給の確保と直接むすびつけるべきではない」と東京新聞のインタビューに答えていた。 (Q記)
★3.新聞・雑誌から
◇米国、原発優先度は低下 ─ 34年ぶり認可、安価な天然ガス台頭
(毎日新聞 2012年2月11日より抜粋)
(省略―「ちきゅう座」編集部)
★4.イベントのおさそい
◇3・11地震と原発事故後にわかったいくつかのこと
(4年以内に東京直下地震発生70%)そのほかお話
講師 島村英紀さん(地震学者、地質学者)
資料代 1000円
日時 2012年2月27日(月) 18:45~21:00(18:30開場)
場所 千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル4F「スペースたんぽぽ」
(サンデー毎日2012.2.26号掲載記事より)
──東日本大震災を受け、内閣府の中央防災会議専門部会が昨年9月、「現行の首都直下型地震の想定対処うにされていない相模トラフ沿いの規模の大きな地震、いわゆる関東大震災クラスの地震も想定地震として検討すべき」と定見したことがきっかけだ。地震学の関係者の間では、相模トラフ沿いで起こる巨大地震は「200年に1回起きる」とされている。
大正関東地震クラスの被害想定がなかったわけではない。実は、1987年12月6日、当時の国土庁が国として初めて首都直下型地震の被害想定を公表していたのだ。相模湾を震源とするM7.9の地震が発生するとの想定で、死者15万人、負傷者29万人、火災による焼失家屋260万棟という驚愕の推計だ。しかも地下街や高速道路、新幹線などの要素が入っておらず、「被害」がさらに膨らむ恐れもあった。
これは大正関東地震以降、300人以上の死者が出た1948年の福井地震までの死亡率などを基にした推計だった。内閣府の担当者は「火災想定の見積 もりや耐震性などの住宅事情が変わったため、阪神・淡路大震災以前の想定はもはや参考にならない」というが、「それでも死者が1万人規模というのは、いかにも過小評価だ」(武蔵野学院大、島村英紀特任教授)との批判が ある。
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[編集部より]
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