〝怒〟死票3,000万票 小選挙区制の害
- 2012年 3月 12日
- 評論・紹介・意見
- 加藤義郎小選挙区制
A= 図の下半分は公表された色々なデータをグラフにしたものだが、’05’年も’09年も「47%の得票で73%の議席」を取ってしまう。その反面、投票総数の約半数は死票として捨てられる。
B= ひどいね。何故そんなに多くが死票になるの?
A= 小選挙区選挙制度とはそういうシステムだ。つまり全国を300区に分け、1区に1人を当選とする。或る区で5人立候補したとすると、得票数1位の当選者の票だけが生きて、他の4人の得票は死票として無駄になる。
B= なるほど、すべての死票を集めると3,000万を超える訳だね。
A= 投票に込められた有権者の意思を議席に反映させないで、死票にしてしまうのは民主主義にもとる。細川首相とともにこの制度の導入を推進した河野洋平自民党総裁が最近反省の言葉を述べている。
B= 笑っちゃった。自民党が勢力を誇っていた’05年にはこの制度を喜んでいたのが、’09年に大敗北し、今になってその非を認めるなんて。
A= 笑うなよ。自分が被害を受けて初めて他人の痛みが分かるのが普通の人間なのだから。
B= これまでの政治が国民のためにならないことばかりやっている原因は多々あるが、その1つがこの小選挙区制だと思う。グラフで明らかなように、これじゃ民意が反映されないもんね。
A= それでも「悪方も法なり」で、議席さえ多く取れば「選挙民の支持を得た」と言って、自分たちのやることを正当化するツールとしても使う。
B= 民主主義として最善の方法はどうすればいいの?
A= 死票を極限まで減らし、民意を反映させるには「全国1区の比例代表制」にすればいい。
B= つまり、上のグラフで’09年なら「民主党は47%の得票で47議席」ってわけ?
A= そうは成らない。今の死票の中には自民、民主、あらゆる政党の票が混じっている筈だから、初めから各党の獲得票数を全て集計し、極力死票無しにして議席を配分することになる。
B= それって今ある比例区180議席と同じじゃないの?
A= 名前は「比例区」でも、ブロック別に複数議席を選ぶと、ブロック同士では1票の格差を生じる。また死票も出る。小選挙区よりはマシだが、大政党有利に変わりない。
B= 比例区選挙では票は無駄にならないと聞いたけどな…。
A= それではね、或るブロックで或る政党が50万票で1名当選、もし100万票取れば2名当選となるところだったが、80万票しか取れなかったとしよう。80万-50万=30万(票)、これは無駄か?
B= それが分らないから訊いてるのよ !
A= 無駄じゃないと思う。50万票の当選者と80万票の当選者とは〝格〟が違う、1票の格差が。
B= なんだ冗談か。さっきの比例区議席を100に減らすという案は、ますます少数政党を排除し、民主主義に逆行するね。衆院480議席すべてを「全国1区の比例代表制」にする案はベストだよ。
A= 分ってくれたらしいね。投票も1度で済むし…。それにしても悪のはびこる世の中だ。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0797 :120312〕
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