普天間飛行場の騒音被害は甚大
- 2012年 4月 6日
- 時代をみる
- 池田龍夫
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古(名護市)移設交渉は暗礁に乗り上げ、「普天間固定化」が懸念されている。米軍機離着陸時の騒音は物凄く、耐え切れぬ住民から「夜間・早朝の飛行禁止」を求める新たな訴訟が提起された。また同飛行場に隣接する普天間第2小学校の騒音被害調査が明るみに出るなど、新たな問題が持ち上がった。
騒音差し止めを求め、第2次訴訟
宜野湾市と浦添市、北中城村の住民3129人は3月30日、夜間・早朝の住宅地の米軍機飛行禁止と損害賠償を求める第2次普天間爆音訴訟を那覇地裁沖縄支部に提起した。原告数は、2002年に住民404人で提訴した1次訴訟の約8倍。県内では、嘉手納爆音訴訟団に続く大型訴訟団が「静かな日々を返せ」と訴えた。
2次訴訟は夜間だけでなく、日中も含めた騒音の差し止めを請求し、騒音発生源となる米軍機の実質的な飛行差し止めを求めている。訴状では、同飛行場から住宅地に、午後7時から午前7時は40デシベル、午前7時から午後7時までは65デシベルを超える一切の騒音を到達させてはならないことを要求。1年間の将来分請求などを含めて、損害賠償額は原告1人当たり1カ月3万4500、総額約51億円を請求している。
1次訴訟では、国と基地司令官を相手に騒音や飛行差し止めを求めて提訴。10年の福岡高裁那覇支部は、騒音を違法認定し国に損害賠償責任を認めたものの、飛行差し止め請求は棄却した。
普天間第2小学校の騒音は、電車高架下並みの105・7デシベル
一方、琉球大学の米軍機離着陸の騒音調査結果が明るみに出て、反響を呼んでいる。毎日新聞4月2日付朝刊が特報したもので、飛行場に隣接する普天間第2小で、米軍機離着陸時の教室内の騒音レベルが電車通過中の高架下に匹敵する100デシベル以上に達することが分かった。琉球大工学部が続けていた調査によると、米軍機が通過した3月20日12時45分ごろ、防音効果の高い窓を閉めた教室で66・9デシベル。3月23日13時7分ごろ、窓を開けた教室で99・5デシベル、同10分ごろには105・7ベクレルを確認した。
琉球新報4月3日付社説が、「琉球大の調査によると、教室の窓を開けると、105・7デシベルを計測した。児童生徒が集中して先生の話を聞ける学習環境について、文部科学省は、窓を閉じた状態で50デシベル以下、開けた場合でも55デシベル以下が『望ましい』と定めている。第二小では、窓開放時はほぼ倍の爆音が注いでいることになる。教諭の平均的な授業時の声の大きさは65デシベルという。世界保健機関の基準によると、教室内の騒音と教諭の声の差が15デシベル以上ないと、授業が聴き取れなくなる。授業寸断が裏付けられ、第二小の学びの環境が国際的にも許されない過酷な状況にあることは明白だ。米国内の航空基地設置基準に照らせば、普天間飛行場の滑走路の延長線約900㍍を中心とする『クリアゾーン』内は、建築物がない緩衝地帯にしなければならない。児童・住民の安全ため、米本国ならば、基地が出ていく側になる」と指摘している通りで、日本政府の積極的な対米折衝こそ急務である。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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