東海村・村上村長ら「脱原発」の訴え
- 2012年 6月 23日
- 時代をみる
- 池田龍夫
全国35都道府県の区市町村長は4月「脱原発をめざす首長会議」を結成して、原発再稼動阻止の姿勢を打ち出した。東海原発を抱える村上達也東海村村長ら現職首長3人は6月17日に緊急記者会見。大飯原発(福井県おおい町)再稼動ににつき、「最初から再稼動ありきの茶番劇」と、野田佳彦政権を痛烈に批判した。
大飯原発再稼動を痛烈に批判
東京新聞が6月18日付朝刊1面に報じた以外には見当たらず、市町村会議の動向を軽視している印象を受けた。
「デタラメなプロセス。避難している人をおいてけぼりにし、目先の実利を求めた再稼動に憤りを覚える」(村上村長)、「福島事故原因が究明されていなのにどうして再稼動するのか。首相が責任を負えるはずがない」(田島公子埼玉県越生町長)などの指摘は、身近に住民と接触している首長の深刻な言葉と捉えるべきだ。
東海村原発の30㌔圏には100万人が居住
中でも、東海村の村上村長は「福島の事故を繰り返してならない」と訴え続けている。週刊紙「東京民報」(4月29日・5月6日合併号)が、村上市長インタビュー記事を掲載していたので、その鋭い問題提起の要点を紹介したい。
▼東海第2原発は、5・4㍍の津波被害を受け、非常用電源3台のうち1台がダウンした。辛うじて持ちましたが、津波の高さがあと70㌢高ければ全電源を喪失したでしょう。この周辺には福島とは比較にならないくらい多くの人が住んでいます。福島の場合、30㌔圏内に15万人ですが、茨城は約100万人ですからね。東海村に原発があることの異常さに、私自身が気付いたということです。
▼(「廃炉の主張は、勇気のいることですね」との問いに)そんな大げさなものではな
い。駄目なものは駄目ですからね。論理的に合わないものはやるべきではない。屁理屈をつけて正当化するのは無駄なことです。例えば、太平洋戦争では300万人以上の国民が犠牲になり、国土を焼き尽くしました。A級戦犯たちは東京裁判で、個人的には戦争に反対だったが、立場上言えなと言いました。こんなことは、あってはいけないですよ。私は村長だからこそ言わなければならないと思っているのです。
「福島を『わが事』」と考え、政策転換を
▼先進諸国の中で、日本は自然エネルギーの利用率が遅れ、あきれた国です。自然エネルギー政策への転換は、姿勢を変えればいいことですから、できるのです。ドイツは福島事故後一夜にして原発7基の停止を決めました。2022年までには、全廃することを決断したのですからね。
▼福島事故から、日本人は価値観の転換を求められました。これまでの社会は、経済発展や経済効率に価値を置いてきたけれど、人や命のつながり、故郷などという大事なものがあることに気付きました。エネルギー多消費型のシステムに振り回されていることに気付いてもらいたいですね。そのためにも、福島を「わが事」として考えてもらいたいと思います。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1976:120623〕
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