本間宗究「ちきゅうブッタ斬り」(25)
- 2012年 9月 7日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究金融
大事件の背後には、必ず、大きな原因が存在する
「因果応報」という言葉のとおりに、世の中には、間違いのない因果関係が存在する。つまり、「大事件が起きた時には、それまでに、大きな原因が存在した」ということであり、「国家財政が破綻の危機に瀕している」という裏側には、「それまでに無駄使いをした人が、数多く存在した」ということである。そして、その時には、「借りたお金は、必ず返済しなければいけない」という「当たり前の事実」にも気づかされるのだが、「ギリシャの債務問題」や「日本国の借金」については、まったくの他人事であり、「自分には関わりのないことだ」と考える人が、日本には数多く存在するのである。
また、このことは、「現代人の人間関係」にも当てはまるのだが、「お金の魔力」に囚われた人々は「欲望の塊(かたまり)」となり、「他人に与えたり、奉仕したりする」ということを忘れているようである。そして、「自分が貰えないこと」や、「不幸な境遇」を嘆きがちになるのだが、実は、世の中には「鏡の法則」が存在し、昔の人は、このことを、良く熟知していたのである。つまり、「貰ったものは、見合う分だけ、お返しをする」ということであり、このことは、「現時点で、直接に、お返しをする」ということだけでなく、「より恵まれない人」や「後世の人々」に、時代を超えて、お返しをする場合も存在するのである。
このように、現在の「世界的な金融大混乱」を、正確に理解するためには、「何が、一体、本当の原因だったのか?」を検証する必要性があるとともに、「これほどまでの大混乱が起きた背景には、きわめて異常な要因が存在する」という考え方が必要とされているようだ。つまり、いまだに、ほとんどの人に知らされていない「デリバティブの大バブル」のことであり、また、「現在の通貨制度は、歴史上からも、きわめて異常なものである」ということである。
そして、今後は、長い間に積もり積もった「膿」を出し切った後に、「新たな通貨制度」などが構築されるものと考えている。しかし、現在は、ようやく、「膿の存在」に気付き始めるとともに、「少しだけ出血が始まった段階」とも言えるのである。つまり、これからが、本当の意味での大混乱期に突入し、「約一年」という期間で、膿を出し切るものと考えている。そして、この時には、世界中の人々が、「金融混乱の被災者」となり、「インフレの大津波」に飲み込まれることになるようだが、この時に役に立つのは、「貴金属」などの実物資産や「食料」などの他に、「今までの人生で、どれほど他人に奉仕したのか?」という「徳の貯金」でもあるようだ。(6月18日)
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不気味な静寂感
「消費税の増税」に関するドタバタ騒ぎが終了し、現在では、たいへん不気味な静寂感が市場を支配しているようだ。そして、このことが、今後の「嵐」を予見している可能性もあるようだが、現時点で注目すべき点は、「日米英独の国債価格」だと考えている。つまり、「6月の初め」に、先進国の国債価格が歴史的な大天井を付け、これから起きることは、「国債バブルの崩壊」により「世界の金融市場が、大激変に見舞われる」ものと考えているからである。
そして、このタイミングとしては、「日本株のバブル崩壊」が参考になるものと思わるが、「1990年の日本株」で起きたことは、「大天井を付けた後に、約2か月間の揉みあい期間が存在した」ということだった。つまり、転換期の特徴としては、「上昇エネルギー」と「下降エネルギー」とがぶつかり合い、その結果として、「上がったり、下がったりする相場が、しばらくの間、繰り返される」ということが多く見られるのである。
別の言葉では、「強気」と「弱気」とが、ほとんど同じ力となり、相撲で言う「がっぷり四つ」のような状態になるものと思われるが、問題は、その後に、「一挙に弱気が支配する状態が訪れる」ということである。つまり、「1990年の日本株」のように、「約2か月の揉み合い期間」を経たのちに、「その後の2か月で、日経平均が、約1万円も急落した」という激変が起きたのである。
そのために、今回も、同様の事態が起きることを想定しているのだが、今回の注意点としては、「株式」と「債券」との違いであり、また、世界的な規模で、同時的に起きるということである。つまり、「株式」の場合には、「いろいろな銘柄の集合体」であり、一方的な動きをすることは多くないのだが、「国債」などの「債券」の場合には、「金利」という単一商品が、基本的に取引されているのである。
しかも、今回は、先進国の全てで、国債価格が急落する可能性があり、そのために、「1990年の日本株とは、大きな違いがある」とも言えるのである。そのために、これらの違いを考慮しながら、「いつ、世界的な国債価格の暴落が始まるのか?」を考える必要性があるのだが、現在の「静寂感」というのは、単に「表面上の状況」とも言えるようである。つまり、水面下では、「国債」と「金」とを巡る「死に物狂いの攻防戦」が繰り広げられており、現在は、「単に、力が拮抗している」という状態にすぎないようだが、この点については、あと一か月程度で、結論が出るものと考えている。(6月27日)
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野田首相の自爆テロ!?
6月26日に行われた「消費税率法案の採決」は、今後、大きな影響を国民に与えるものと考えているが、その理由としては、実際に始まった「民主党の分裂」という事態だけでなく、同時に、「国民」や「市場」からの「反乱」が起きることが考えられるからである。つまり、国民が民主党に対する信頼感を喪失し、このことが、「国債価格の下落」にまで繋がる可能性のことである。
しかも、今回は、「震災からの復興」を後回しにしてまで、「2年後の増税法案」に猛進したわけだが、このことから思い出されるのが、「永田議員による偽メール事件」のことである。つまり、当時も、やはり、「野田首相」と「前原政調会長」のコンビで、「根拠のないメールを信じ込み、国会で暴走した」という状況だったのである。このように、「野田首相」は、「一つのアイデア」に囚われると、周りが見えなくなり、「猪突猛進」する傾向があるようだが、このことは、一種の「自爆テロ」とも考えられるようである。
つまり、「国民のことを考えず、自分の地位を守ろうとする行為」が、結果として、「首相の座」を危うくするだけでなく、「国家全体」を危機的状況に追い込む可能性があるからだ。そのために、東洋学においては、「大国を治めるには、小鮮(こざかな)を煮る時のように慎重な態度が必要だ」と言われているのだが、今回は、「小鮮の形を崩しただけでなく、料理全体を滅茶苦茶にした」とも言えるようである。
具体的には、「消費税率を引き上げようとも、国家債務の解決には繋がらない」ということであり、また、「国債価格が下落を始めると、一挙に、国家の資金繰りが厳しくなる」という状況が考えられるからである。そして、その時には、「日本のギリシャ化」と呼ばれるような状況となり、本当の意味での「金融大混乱」が始まるものと思われるが、同時に、「民主党の信頼感」も、より一層、激減することが想定されるのである。
つまり、「誰も、民主党政権を信用しない」というような状況が生まれ、次の選挙では、「民主党の大敗」ということが現実味を帯びてきたわけだが、その時には、すでに、「国家債務の借金爆弾が破裂している状況」も想定されるのである。しかも、その時には、「野田首相の責任」はうやむやにされ、「実際に困窮するのは、国民である」という状況も考えられるのである。ただし、このような状況を招いた責任は、確かに、「国民」にもあり、その観点からは、誰も責めることができないのだが、今後は、「口先だけで、行動力が伴わない政治家」に対しては、大きな非難の嵐が湧き上がることになるようだ。(6月2
8日)
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英銀のLIBOR操作
現在、英国で「金利の不正操作」が問題になっている。そして、この事件は、今後、より一層、大きな問題に発展するものと考えているが、実は、今回の「世界的な金融大混乱」の「元凶」が、「イギリスのデリバティブ(金融派生商品)」であり、今回は、「その一端が見えてきた事件」とも言えるのである。つまり、「6京円から8京円」とも言われる「世界のデリバティブ」に関して、ようやく、本当の正体が見え始めたようだが、このことは、先日の「ロンドンのクジラ」と同様に、最も巨大なデリバティブ市場である「イギリス」において、本当の大混乱が起き始めたものと考えている。
具体的には、「デリバティブの7割」が、いわゆる「金利デリバティブ」と呼ばれるものであり、この時に、指標的な役割をはたしていたのが、「LIBOR」と呼ばれる「ロンドン銀行間取引金利」だったのである。そして、この金利を操作することにより、「世界の金融市場がコントロールされていた」ということが、海外で指摘されているのだが、今後は、徹底的な捜査により、不正操作の全容が明らかになることが期待されるようである。
ただし、この点については、「日米欧の超低金利政策」とも、密接に関わった出来事であり、注意深く見守る必要性があるものと思われるが、基本的な点としては、「日米欧の先進国が、歴史的な超低金利政策を実行できた」という事実の裏側に、今回、問題となっている「金利デリバティブ」が存在するのである。つまり、この残高を大膨張させることにより、「国債の買い支え」が可能となり、結果として、「全体の金利を低く抑えることができた」ということである。
しかし、現在では、前述のとおりに、さまざまな問題点が噴出し始めており、今後は、今までに積み上がった矛盾が、一挙に解決される時機が到来するものと考えているが、このことは、「デリバティブバブルの完全崩壊」ということであり、また、「国債価格の暴落」のことである。しかも、このタイミングとしては、「2007年7月」から始まった「サブプライム問題」と同様に、「5年に一度の丁未の月」である「2012年の7月」になる可能性が高くなっているのである。
そのために、今回の不正操作事件に関しては、今後の進展が気にかかるのだが、このような「金融商品の価格操作」に関しては、数年前から、海外の専門家が、何度も指摘してきたことでもあったのだが、実際には、「知らぬは、日本人ばかりなり」とも言える状況だったようである。(7月7日)
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神様の言うとおり
私が小さかった頃、「10までの数」を数える時に、一本ずつ指を折りながら、「かみさまのいうとおり」という言葉を発したことを記憶している。しかし、それから50年以上も経過した現在では、「子供たちに、この言葉を教えることを忘れた自分が存在する」という事実に気付かされるとともに、「時代の変化」の大きさにも、大いに驚かされている。つまり、「神」や「天」ということを無視し、「自分の力だけで、人生を切り開いてきた」という「傲慢さ」が、「いつの間にか、世界中を支配していた」ということである。
そして、このことは、私を含めた現在の日本人に、共通することとも言えるようだが、結局のところは、日本人全体が、「お金」に支配され、「お金さえあれば、人生は安泰だ」という「誤った考え」を持ったことが、現在の混迷の根本的な原因とも言えるのである。別の言葉では、「受験戦争を勝ち抜き、有名大学を出て、大企業に就職すれば、生涯、高給が保証される」と考える人が増えたのだが、実際には、「東電」や「JAL」のように、「堕落した大企業ほど危険なものはない」という状況にもなっているのである。
しかも、今回は、「現代のお金」そのものが、極めて危機的な状況に陥っており、実際には、「預金が紙屑になる」という時期が近くなっているようだが、残念ながら、ほとんどの日本人は、この可能性を、まったく無視しているのである。そして、依然として、「お金が無ければ生きていけない」という不安を抱えながらも、「最後には、国家が、生活保護などの救済策により、我々を保護してくれる」と期待しているようにも思われるのである。
しかし、実際には、「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉のとおりに、「資金繰りに行き詰った政府は、国民から税金を搾り取る」という状況となり、最後には、「国民の反乱」が起きることも「歴史が教える真実」とも言えるのである。しかも、「究極の税金」としては、「インフレ税」という「紙幣の増刷により、全ての借金を棒引きにする」という状況も想定されるのだが、残念ながら、今になっても、この議論が無視されているのである。
そして、今後の展開としては、「お金」が頼りにならなくなった時に、「神様」に頼る人が増えることが考えられるようである。つまり、「昔の人々」は、「神や天に対する畏怖心」を抱いていたために、子供たちに「神様の言うとおり」という言葉を教えたようだが、現在、多くの人々が「パワースポット」や「神社仏閣」などに頼る心理状態は、まさに、人々の心が神や天に向かい始めていることを物語っているようだ。つまり、800年前や1600年前と同じように、文明の大転換が起きているということである。(7月7日)
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史上最大の金融スキャンダル
「イギリスの金利操作事件」については、「LIBORGATE(ライボーゲート)」と呼ばれ始めており、また、「史上最大の金融スキャンダル」とも報じられているが、実際のところは、単なる「キッカケの事件」にすぎず、これから、本格的な金融大混乱へと発展していくものと考えている。つまり、「なぜ、LIBOR金利を操作せざるを得なかったのか?」、あるいは、「誰が、このことにより、最大のメリットを受けたのか?」という点を考慮しながら、同時に、「デリバティブの歴史」を研究すると、実に、巨大な「世界的な金融操作の実態」が見えてくるからである。
具体的には、「1971年のニクソンショック」以降、史上最大規模の金融商品が誕生し、発展してきたのだが、現在では、この成長が限界点に達するとともに、さまざまな問題が起き始めているのである。別の言葉では、「増えすぎた債務問題」のことであり、実際には、「先進国の全てで、膨大な国家債務が存在する」ということだが、今回、「不正な操作を行ってまで、金利を低く抑えようとした」という事実の裏側には、「金利の負担」に耐え切れなくなった先進国の実情が存在するようである。
つまり、「日米がゼロ金利政策を実行し、また、イギリスやECBも、同様の超低金利政策を実行している」という状況のことだが、この理由としては、「膨大に膨れ上がった借金に対して正常な金利を支払うと、より一層、借金総額が膨れ上がる」という問題が存在するからである。具体的には、「約1000兆円もの日本の国債残高」に対して、「3%から5%の金利を支払うと、それだけで、30兆円から50兆円もの資金が必要になる」ということである。
そのために、「2007年」から、人為的な操作により、LIBORを始めとして、世界の金利が低く抑えられてきたようだが、同時に行われたことは、「その他の金融商品も価格が操作されていた」ということである。つまり、「金利のみならず、為替や株式、あるいは、商品などの価格が、デリバティブを使うことにより、世界的に価格操作が行われている」ということが、数年前から、海外で指摘されているのである。
そして、この点については、間もなく、全貌が明らかになるものと思われるが、今後の注目点としては、「金融の価格操作が行われなくなった時に、どのような相場になるのか?」ということだが、実際には、「プログラム売買の巻き戻し」により「金利高、株高、そして、商品価格の暴騰」が起きるものと考えている。(7月17日)
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行動を始めた日本人
現在の日本では、「数万人規模の抗議デモ」が、頻繁に行われるようになったが、このことは、きわめて大きな意味を持っているようだ。つまり、今までのような「物言わぬ日本人」が、いろいろな面で限界点に達し、実際の抗議行動を始めたからだが、この理由としては、「信用できない政治家や官僚に対して、国民が疑いの目を持つとともに、本当の意味での改革を実行しようとしている」という状況が考えられるからである。
そして、今後は、この動きが、より過激なものになる可能性があるようだが、基本的には、「世界で最も裕福である」と言われた「日本人」が、現在では、「日々の生活に困窮し始めるとともに、放射能汚染により、安全に暮らせないような環境に住まわされている」という点が指摘できるようである。つまり、「お上に任せておけば、間違いがなかった」というような「高度成長時代」とは違い、現在では、「黙っていたら、政府や官僚の勝手な行動により、自分たちの生活ができなくなってしまう」というような危機感を抱き始めた可能性が存在するのである。
また、この時に、最も重要な点は、「金の切れ目が、縁の切れ目」という言葉のとおりに、「政府や官僚が、国民の生活を犠牲にしてまで、国家財政問題に対処し始めた」ということが挙げられるようである。つまり、「消費税率を上げなければ、日本がダメになる」というような意見を述べて、消費税の増税法案に突っ走っているのだが、実際には、「消費税率を上げようとも、国家の財政問題は解決せず、単なる時間稼ぎにすぎない」ということが、多くの人に明らかになり始めているのである。
しかも、「約15年間」という、歴史上からも異例な「ゼロ金利政策」により、「国民には金利を支払わず、その資金で、国家や銀行などを救済してきた」という事実も、はっきりと理解され始めているのである。つまり、「何のために、ゼロ金利政策が実施されてきたのか?」ということや、あるいは、「誰のために、消費税率が引き上げられるのか?」という点を、多くの人が問題視し始めたということである。
そして、この時に気になるのが、やはり、「江戸時代の日本人」のことであり、実際には、「限界点に達した時に、思わぬほどの抗議行動に出る」ということである。具体的には、「おかげ参り」や「ええじゃないか」というような、「国民の一割が、お伊勢参りに出かけながら、破壊行動を行った」ということであり、しかも、「この動きは、突如として発生した」ということも、歴史からは、はっきりと読み取れるのである。(7月17日)
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二極分化を始めた世界の国債市場
依然として、「国債を守る陣営」と「金を信用する陣営」との間で、世界的な金融大戦争が継続しているが、現在では、徐々に変化が出始めている。具体的には、「極端な二極分化」という「日米英独」などの金利が急低下しながらも、一方で、「スペイン」や「イタリア」などでは、「金利の上昇」が起きているのである。そして、この理由として考えられることは、「信用崩壊の波が、弱い国から、徐々に広がりを見せている」ということだが、実際には、「ヨーロッパの防波堤」と言われる「スペイン」が破綻状態となり、次に、「イタリア」や「フランス」などへと伝播していく可能性のことである。
そのために、「日米英独」などの国々では、「必死になって、国債を買い支えている」という状況が想定されるようだが、このことは、以前に起きた「AIJ投資顧問事件」の時に、「犯罪の可能性が報道されながらも、依然として、新規資金を募集していた」という姿に重なって見えるようである。つまり、「LIBORの不正操作」が明らかになっていながらも「国債を買い支えることにより、低金利の状態を演出している」という可能性のことだが、「騙されたと気づけば、誰も国債を買う人がいなくなる」ということは「自明の理」とも言えるようだ。
そして、今後は、世界に存在する「目に見えない二つの金融ツインタワー」が崩壊するものと思われるが、一つは、「英米が保有する約4.6京円のデリバティブ」であり、もう一つは、「日米が保有する約2300兆円の国債」である。つまり、今までは、このツインタワーを守るために、「極端な低金利政策」や「異常なまでの国債の買い支え」が行われてきたのだが、現在では、「日米英の三国は、本当に大丈夫なのか?」という懸念が広がり始めたようである。そのために、これらの国々では、必死になって、国債を買い支えているようだが、このような二極分化は、往々にして、「相場の大転換」を意味する場合が多いとも言えるのである。
このように、今回の二極分化は、いよいよ、「日米英の国債が大暴落を始める」というサインのようにも感じられる次第である。つまり、「9・11事件」の時のように、「一機目のジェット機」に相当するのが「ギリシャ」であり、「二機目」が「スペイン」ではないかと考えているのだが、このことが意味することは、「世界の金融システムが完全崩壊を始める」ということである。そして、その後に、本格的な「大インフレ」が発生するものと思われるが、残念ながら、ほとんどの日本人は、いまだに、「今までに経験したことがないことは、決して起きない」と安易に考えているようである。(7月26日)
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智慧出でて大偽あり
老子の第18章に「智慧出でて大偽あり」という言葉があるが、現在の世の中は、まさに、この状態にあるようだ。具体的には、「良い大学を出れば大企業に就職ができ、一生、安泰な生活を送れる」というような誤った考えが広く信じられているために、「子供の情操教育が疎かになり、いじめ事件が横行している」という状態のことである。あるいは、「お金儲けのために、政府やメガバンクまでもが、平気で不正や詐欺などを行う」という状況でもあり、このことは、「多くの人々が、お金儲けのためなら、どのような嘘でも付く」という状態を意味しているようである。
しかし、その結果として起きたことは、「いじめ事件」や「LIBORの不正操作」からも明らかなように、「隠蔽」や「嘘」で塗り固められた「大偽の社会」が形成されたということであり、実際には、「誰も信用できない」という人間関係が生まれているのである。別の言葉では、「お金」の根本である「信用」が崩壊していながらも、依然として、「お金儲けに奔走する人類」が激増しているのだが、このような社会が行き着く先は、やはり、「通貨の価値が失われる」という状況しか考えられないようである。
また、本来は、「人」という文字が示すように、「人と人とが寄り添いながら助け合う」ということにより「絆」が生まれ、その後に、「信頼関係」が築かれ、その結果として、「お金」が生まれるのだが、現在では、反対に、「形だけで内容のないお金」を求めて、壮絶な「奪い合い」が起きているのである。別の言葉では、「人がどうなろうとも、自分さえよければいい」と考える人が増えたために、単なる「数字」にすぎない「現代のお金」の「奴隷」となっているのである。
そして、このような人々が集まる組織においては、「不祥事は隠蔽され、嘘で塗り固めた報告が行われる」という状況になるようだが、現在では、「原発」や「オスプレイ問題」、あるいは、「いじめ問題」などで起きているようである。つまり、われわれの生活を脅かすような重大事にまで、「大偽」が蔓延(はびこ)っているのだが、このことが、「文明法則史学」が示唆する「文明の大転換」が起きる原因とも言えるようである。
また、今後は、西洋が主導した「貨幣を中心にした物質文明」から、東洋主導の「精神文明」へと、大きな変化が起きるものと思われるが、この時の中心となるのが「祭り」であり「天地自然への感謝」になるようだ。そして、この観点からは、「2013年」に予定されている「伊勢神社の式年遷宮」が、大いに注目されるものと考えている。(7月26日)
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サメたちの饗宴
「LIBORの不正操作」については、現在、世界的な広がりを見せており、今後は、より大きな問題に発展することが予想されるが、その一つに、アメリカで始まった「サメたちの饗宴」と呼ばれるものがある。具体的には、「違法行為により、不正に低く金利が抑えられていた」という事実に対して「数多くの訴訟が起きている」ということだが、現在では、「ウォール街」の内部で「訴訟合戦の様相」を呈し始めているのである。
つまり、「お金の奪い合いが、業界の内部で起き始めている」ということであり、このことが、「サメたちが餌を奪い合っている姿」に重なって見えるのである。あるいは、「利益のためなら、不正行為も厭わない」と考える人たちが、数多く存在するといわれる「ウォール街」で「利益の奪い合いが起きている」という状況でもあり、実際には、「断末魔の叫び」とでも呼ぶべき状況になっているようだ。そして、結果としては、今後、急速に、「ウォール街の影響力が減少する」という状況も想定できるようである。
また、「本来、支払うべき金利」という点においては、「政府の金融政策」も問題視され始めているようだが、このことは、「日米の政策担当者が、実質上のゼロ金利政策を行ってきた」ということに対して「さまざまな疑問が出始めた」ということである。そして、「7月25日」に、「FRBの監査法案が、下院において、圧倒的多数で可決された」という状況にもなっているのだが、この法案の目的の一つとしては、「アメリカのゼロ金利政策が、一種の違法行為である可能性」を検証することでもあるようだ。
このように、現在の先進国では、歴史上、例がないほどの「超低金利政策」が実施されているのだが、この目的としては、「国債価格の暴落を防ぐ」という「一点」に絞られるのである。そして、この目的を達成するためには、「本来、払うべき金利」を支払わず、また、「国民を犠牲にしてまでも、強引に、デタラメな金融政策を実行する」ということが、国民の目に明らかになり始めているのである。
しかも、このような「ゼロ金利政策」については、「日本が、約15年間も継続してきた」という状況であり、実際には、「日本人が、最も強く、不当な低金利状態に対して問題を提起すべきである」とも言えるのである。ただし、より大きな問題としては、「これ以上、先進各国が低金利政策を実行できず、国債価格が暴落する」という事態に見舞われた時には、「既存の金融商品が価値を失い、その結果として、サメたちが狙う餌が無くなってしまう」という状況も考えられるようである。(8月6日)
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学術を以て天下を殺す
日本の政治情勢は、「風雲、急を告げるような状況」となってきたが、このような混乱を見るたびに、明治維新の時に、勝海舟が述べた「日本の四殺」が思い出されてならない。つまり、三番目の「政事を以て民を殺す」という言葉が、まさに、現在の民主党の姿を表しており、また、自民党も、「五十歩、百歩の状態」ということである。そして、この原因としては、「国民の生活よりも、自分たちの地位や給料の方が大切だ」という「政治家の態度」が考えられるようであり、結局は、「選挙に落ちれば普通の人」という言葉のとおりに、現在の政治家は、ほとんどが「国会議員」という「肩書」が欲しい人の集団になってしまったからである。
その結果として、現在では、「3・11大震災の被害者」や「放射能汚染に悩む人たち」のことは、ほとんど無視され、ご存じのとおりに、「消費税」や「オスプレイ」、あるいは、「原発の再稼働」などの問題だけに猛進しているのである。つまり、「国民のため」という言葉を使いながら、実際には、「官僚」や「政治家」が、「あまりにも自分勝手な政策」を実行しているようだが、現実を見ると、「勝海舟」の言葉のとおりに、「日本」の国力や体力はガタ落ちとなり、すでに、「瀕死の状態」とも言えるのである。
そして、最後の「四番目」が、「学術を以て天下を殺す」という言葉になるが、このことは、「原発事故」からも明らかなように、「机上の空論を重視する学者たちが、日本を放射能まみれの状態にした」というような状況のことである。また、今後は、最も重要な問題であり、かつ、「命の次に大切」と言われている「お金」に関して、重大な事件が起きようとしているわけだが、具体的には、「国債価格が暴落すると、現在の金融商品は、ほぼ瞬間的に価値を失う」ということである。
つまり、「預金」や「保険」、あるいは、「年金」などに、「大量の国債が組み込まれている」という事実の他に、「LIBOR金利」と同様に、「先進国の国債価格が、不正に操作されている可能性」が存在するのである。そして、これらの事実が明らかになると、「金融システム」や「通貨制度」までもが「あっという間に崩壊する」という点が、現在、海外で危惧されているのである。
このように、今までは、多くの学者たちが、「国債の残高が増えても、日本は破綻しない」と言い続け、現在のような混乱を招いたわけだが、このことが、「日本を殺すための、最も手早い方法」でもあったようである。(8月7日)
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日本人の預金神話
「1995年から2010年」という期間は「崩壊の時代」であり、この時には、戦後に形成された「さまざまな神話」が崩壊することを想定していた。そして、実際に、「銀行の不倒神話」や「終身雇用神話」、あるいは、「日本の安全神話」などは完全崩壊し、反対に、現在では、「このような神話が存在した」ということについて理解する若者が少なくなっている状況とも言えるようだ。
しかし、現状をよく分析すると、いまだに存在する神話が、一つだけあるようだが、それは、「日本人の預金神話」である。つまり、「預金さえ持っていれば、どのような事態になっても安全だ」という考えのことであり、結果として、多くの日本人は、「いまだに預金にしがみついている状況」とも言えるのである。そして、「なぜ、このような事態が、依然として、継続しているのか?」ということが、今後の投資においても、最も重要なポイントの一つだと考えているが、結局は、過去5年以上に亘って行われてきた、世界的な「金利の不正操作」や「国債の買い支え」などに、根本的な原因が存在するようだ。
具体的には、先進国が協調して、歴史上からも、きわめて異常な「超低金利政策」を実行したのだが、この結果として、現在では、「日米はゼロ金利」、そして、「イギリスやECBも、それぞれ、0.5%や0.75%」という、きわめて低い政策金利が継続しているのである。そして、「このような金融政策の目的は、いったい、何だったのか?」ということが、現在、世界的に解明されつつあるのだが、この点については、今までに申し上げたように、「約6京円もの残高があるデリバティブ」と「日米だけで、約2300兆円も存在する国家債務」の「延命」が主な目的だったとも考えられるのである。
つまり、「目に見えない、二つの金融ツインタワー」を守るために、違法な行為までもが行われてきたようだが、現在では、「先進国の国債価格が急落を始めている」という状況にもなっているのである。そして、間もなく、「2008年のリーマンショック」よりも、はるかに大きな事件が起きることが予想されるのだが、それは、「預金神話の崩壊」であり、実際には、「安全だと信じていた預金や紙幣が価値を失う」ということである。
別の言葉では、「1923年のドイツ」や「数年前のジンバブエ」のように、「預金」や「紙幣」を持っていても、「食料」などが買えなくなる事態のことだが、この点に気付いていないのは、現在の日本人だけであり、この時には、現在のような「パンとサーカス」の状況も、継続が難しくなることが想定できるようだ。(8月17日)
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世界的な株高
暦のとおりに、「2012年の6月から7月」は、歴史的な大転換期になったようだが、実際に起きたことは、「先進国の国債価格が大天井を付けた」ということであり、その結果として、「世界の資金が暴れ始めた」ということである。つまり、今まで人為的に抑え込まれていた「世界の株価」や「商品価格」などが「本来あるべき水準へと戻り始めた」ということにすぎないのだが、多くの人にとっては、この点が理解しづらいようである。そして、ほとんどの人が、「国債価格が暴落すれば、株価も同様に値下がりする」と考えているようだが、現在では、国家破綻の危機に瀕している「スペイン」においても、「過去1カ月間で、約30%も株価が上昇している」という状況になっているのである。
つまり、「国家が破綻状態に陥っても、個別の企業はたくましく生き延びる」ということであり、また、「それぞれの個人は、国家の盛衰に関わらず、力強く困難に対応する」ということが「歴史が教えること」とも言えるのである。具体的には、「戦後の日本人が、どのようにして、焼け野原の状態から復活したのか?」を考えてみれば明らかだと思われるが、この時には、「頼るべき国家」もないような状態であり、また、現在とは違い、ほとんどの人が「貧乏」でもあったのである。
しかし、当時の人々が行ったことは、「貧しさの中にありながらも、助け合いや信じ合いにより、力を合わせて日本を立て直した」ということである。つまり、「現在の日本人」とは正反対の状況でもあったようだが、実際には、「有り余るほどの『お金』がありながら、より一層、『お金』に執着している状態」とも言えるのである。そして、「他人のことなど考えていたら、自分が不幸になる」というような考えが広まり、結果としては、「助け合い」や「絆」などは、完全に失われた状態になっているようだが、このことは、「お金の根本である信用が、完全に消滅した段階」ということである。
つまり、現在の「お金」は、「根の無い切り花の状態」になっているのだが、「お金の性質」として言えることは、「ある商品から別の商品へと、次々に、お金が移行する」ということであり、実際には、「紙幣が紙屑になるまで、この動きが継続する」ということである。別の言葉では、「約6か月間のギャロッピング・インフレ」の後に「約6か月間のハイパーインフレが訪れる」ということが過去のパターンであり、現在の「世界的な株高、商品価格の上昇」はこの動きが始まったことを意味しているのである。しかも、「世界の資金が、急速に移動を始めた」という事実から予想されることは、「あと一年ほどで、我々の『預金』や『紙幣』が紙屑になる」ということである。(8月18日)
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実体経済とマネー経済
現在、「世界のGDP」は「約5000兆円」の規模であり、一方で、「世界のマネー」は「約10京円」も存在すると言われている。つまり、本来ならば、「犬のしっぽ」であるはずの「マネー」が、「犬の身体」であるはずの「実体経済」よりも、約20倍の規模という異常な事態になっている。そのために、「なぜ、このような状況が生み出されたのか?」、そして、「どのようなプロセスで、正常な状態に戻るのか?」について、今までに考察するとともに、これから想定される「本当の金融大混乱」について警告を発してきた。
しかし、現時点においても、多くの人は、この「異常さ」に気付かず、いつの間にか、「ゼロ金利が当たり前の状態だ」と錯覚しつつあるようだが、最近、身を以て、「1:20」という規模の違いを体験させられたことがあった。それは、先日、「伊勢神宮」を訪れ、「外宮正殿」の「20分の1の模型」と「実物大の再現模型」を比較した時に感じたことだが、実際には、「この規模の違いが、私の想像以上のものだった」ということである。
そのために、改めて、現在の「実体経済」と「マネー経済」との「規模の違い」を考えさせられたのだが、結局は、このことが、「一握りのメガバンクが、世界の金融を牛耳ることができた理由」でもあったようだ。具体的には、「デリバティブ」という「現代版の錬金術」を使うことにより、「過去30年間」で「ゼロから約6京円にまで、デリバティブを大膨張させた」ということだが、現在では、この「マネー」が、「株式」や「国債」、あるいは「為替」や「商品」などの価格を支配していると言われているのである。
そして、その象徴的な事件が、先日の、「LIBORの不正操作」でもあったのだが、残念ながら、ほとんどの人は、この事件の重大さに気づいていないようだ。つまり、「史上最大のバブル」である「デリバティブ」が崩壊した時に、「どのような激変に見舞われるのか?」ということだが、すでに起き始めた変化としては、暦のとおりに、「金の価格」が、持ち合いを離れて、上昇を始めたということである。
また、今後は、誰もが予想もしなかったほどの「金価格の暴騰」が起きることを想定しているが、このことは、典型的な、「ギャロッピング・インフレ」から「ハイパーインフレ」へと移行していく過程での動きだと考えている。そして、時間的な観点から言えることは、「あと一年ほどで、二つのインフレが終了する」という状況を想定しているのだが、この予想が正しいかどうかは、今後、「金の価格が、何時、2000ドルを突破するのか?」という時期を見れば明らかになってくるものと考えている。(8月27日)
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戦争と統制経済
60年ほど前の世界を振り返ると、「第二次世界大戦」の前後に起きたことは、世界的な「統制経済」と言われる状況だった。具体的には、「戦費の調達」や「戦後の混乱」を避けるために、さまざまな商品の価格が統制され、また、超低金利政策が実施されたのだが、このことは、1952年頃まで続いていたようである。つまり、「戦争」という非常事態に際しては、「全体主義」の勃興により国家の力が強くなり、実際には、「約10年」という長い間、国民は我慢の生活を強いられていたのである。
そして、60年後の現在を考えると、「武力による戦争」と「目に見えない金融戦争」の違いはあるものの、実際には、一種の「統制経済」とも言えるような情勢になっているようだ。つまり、「超低金利政策」を継続するために「LIBORの不正操作」が行われたり、あるいは、「デリバティブの決算」に関して「恣意的な価格で計上してもよい」というような変更が行われたりしている状況は、まさに、「国家の力が強くなり、権力の暴走が起きている状況」とも言えるからである。
あるいは、長年にわたり「ゼロ金利政策」が継続され、「預金を保有していても、ほとんど金利が付かない状態」や、「国債の買い支え」が世界的に行われ、また、「商品や為替などの市場が、プログラム売買によりコントロールされている」というような状況についても「現代版の統制経済」とも言えるようだ。そして、この「目的」としては、「国債価格の下落」や「デリバティブ・バブルの崩壊」を防ぐためであり、結果としては、「ありとあらゆる政策や手段が行使された」という状況でもあったのだが、いよいよ、「2012年の7月」に、大きな転換が起きたようである。
つまり、「先進国の国債価格」が値下がりを始め、同時に、「金(ゴールド)を始めとした商品価格」や「世界の株式」が上昇を始めたからだが、今後の展開を考えると、実に凄まじい状況が想定できるようだ。具体的には、「先進国の国債が借金爆弾となって破裂し、世界中の中央銀行が、紙幣の増刷に走らざるを得なくなる状況」が想定されるからだが、今回の「目に見えない金融戦争」においては、世界中の人々が、「戦争の存在」そのものに気付かず、また、「約6京円から8京円ものデリバティブが、一握りのメガバンクによって保有されていた」という事実も知らされていないような状況だったのである。
しかし、現在では、多くの人が「デリバティブが史上最大のバブルである」と気付き始めており、いよいよ、「歴史的なバブルの崩壊」が起きることになるようだ。(8月27日)
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