IPPNWの福島視察ー福島の人々の健康が何よりもプライオリティー
- 2012年 9月 18日
- 時代をみる
- IPPNWドイツ支部グローガー理恵健康被害福島
「経済界などの厳しい反発にもかかわらず、政府が14日に決定した「30年代原発ゼロ」の戦略。その背景には全国に広がった金曜日恒例の反原発行動など世 論の高まりがある。ただ、そうした市民の政府への評価は甘くない。東京・首相官邸前などで感想を尋ねると、「だまされるな」「今すぐ原発をなくせ」という 答えが返ってきた。」というのが9月14日付け毎日jpに掲載された「30年代原発ゼロ 評価厳しく...」という記事に述べられてありました。: http://mainichi.jp/select/news/20120915k0000m040093000c.html
政府が決定した「2030年代原発ゼロ」に謳われた「原発ゼロ」という言葉に惑わされず、「今すぐ原発をなくせ」と断固と言い切る日本の反原発アクティヴィストは実に頼もしい限りです。「今すぐ原発をなくせ。再稼働は絶対に許さない。」という彼等の揺るぎない決意、態度に私は感動し、心から皆さんにエールを送りたい気持ちで一杯です。
ご紹介させて戴きますIPPNW(核戦争防止国際医師会議)のドイツ支部サイトに掲載されていました「福島の人々の健康が何よりのプライオリティー」と題されましたプレス・インフォメーションにも、「日本国内で盛り上がってきている草の根運動、反原 発への動き」について 述べられてあり、もちろん、核戦争・核兵器・原子力反対のバナーを掲げるIPPNWは、この日本の反原発運動を大いに歓迎しています。
また、福島を視察訪問したIPPNW医師団は、放射能汚染区域に住む人々の健康を深く憂慮していることも事実です。
原文へのリンクです。:
http://www.ippnw.de/startseite/artikel/6fd92cf685/gesundheit-der-menschen-in-fukushima.html
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概説: 福島の人々の健康が何よりもプライオリティー
IPPNWプレス・インフォメーション-2012年9月14日
(写真:Reuters-Photographers Blogより)
医師団体IPPNWはドイツ連邦政府に、政府は、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)とWHO(世界保健機関)に対して、フクシマ原子力災害後の健康的影響についての医学的研究調査をもっと拡張すべきだと要請することに尽力してほしいと訴えた。
UNSCEARによって立案された研究調査は、日本や万国からの様々な専門家によって為された大まかな査定評価だけを考慮し、それを基に、予測される健康上の影響を理論的に導きだす調査であると謂う。緊急に必要なことは、独立した疫学の研究調査であり、フクシマ原発事故によりあらゆる形で
1ミリシーベルト以上の被曝をしたであろうとされる人々全員の包括的な登録制度を直ぐに確立することである。
これらの研究調査は、子供の甲状腺スクリーニング(これまで定期的に発行された「フクシマ健康報告」にあるように)だけに限ることなく、チェルノブイリ事故後に観察されたような他の罹病可能性ある疾病に関しての包括的な診察データも含めなくてはならない。これが、IPPNWのアンゲリカ・クラウセン(Angelika Claußen)女医と ドゥルテ・ジーデントップフ(Dörte Siedentopf)女医が引き出した結論である。
2012年8月28日、ドイツのアンゲリカ・クラウセン医師と ドゥルテ・ジーデントプフ医師を含めた30人の国際的専門家グループが福島県を訪れた。彼等は、避難者や母親のグループと個人的な会話を交わしたり、独立した日本の専門家達と話をすることによって、如何に当局や一部の医者達が、ずっと続いている高放射能の危険性を組織的に軽視しているかという事を把握することができた。例えば、除染作業が終了した後、広い区域が「危険なし」との宣言を受けることになるのだが、その放射線量測定が為された場所から10メートル離れた所で、新たに、被曝基準量1ミリシーベルト/年を超える高レベルの放射線量が測定されるのである。「母親は、どこで自分の子供を遊ばせるべきなのですか?」と、ジーデントプフ医師は問う。
2012年の夏、日本政府は福島県の11の市町村で、汚染された土の除染作業を始めた。これらの市町村は、20キロ区域内もしくは立ち入り禁止区域に接した北西の地域に位置する。しかし、これらの区域以外にも、国際放射線防護委員会が勧告する民間人の年間被曝基準量ー「1ミリシーベルト/年」ーを超える放射能汚染量が測定されている104の市町村が8つの県にあるのである。
そして、高レベルの放射能汚染にも拘らず、日本政府と地方当局は、子供も含め避難者達に近々帰還するように勧めている。
フクシマ原発からおよそ40キロほどの北西にある、高レベル汚染区域、飯舘村で、クラウセン医師は1時間あたり1.9マイクロシーベルトから43.85マイクロシーベルトまでの放射線量を測定した。
飯舘村の住民が避難したのは余りにも遅過ぎた。それは、飯舘村の村長が自分の村を放そうとせず、長い間、村民を避難させる事に抵抗したからである。そして、何千人もの津波被災者が飯舘村に避難してきていた。しかし、4月はじめ東京で、批判的な科学者達が飯舘村で測定した高レベルの放射能汚染量を提示し飯舘村の住民が被曝危険に曝せれていることを明らかにした為に、日本政府はやっと4月12日になってから、人々は飯舘村から避難しなければならないと公表した。
ヨウ素剤は飯舘においても他の被曝区域でも分配されなかった。原発から60キロ離れた、多くの避難者の受け入れ地でもあった福島市においては、現下の放射線測定値が1時間あたり0.25マイクロシーベルトから2マイクロシーベルトへと揺れ動いた。これから推計すれば、福島市の年間*追加積算放射線量は、2.25ミリシーベルトから18ミリシーベルトとなる。「福島市のある病院はホットスポット・ゾーンに位置しているのです。どうして病院を閉院しないのかと質問したのですが、それに対して、当局からは何の返答も貰えませんでした。」とクラウセン医師は憤る。
比較ケース: チェルノブイリ原発事故の後、ドイツのバイエルン南部は、1ミリシーベルトの年間追加積算放射線量で汚染され、それより汚染度が明らかに低かったバイエルン北部とは対照的に、バイエルン南部では先天性奇形や死産のケースが著しく増えた。
福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーおよび福島県立医科大学副学長である山下俊一教授にとって、100ミリシーベルトまでの放射能量は危険ではないと謂う。山下教授の調査グループは、福島地域の子供たちを対象にエコー機器(超音波機器)で甲状腺検査を行った。その結果、検査された子供たちの内、35%に甲状腺の結節や嚢胞があることが明らかになったのだが、これは山下教授にとってはノーマルなことだと謂う。子供たちは、まず2年半内に再び、定期的検診に来ればよいと謂う。福島県のお母さん達は他の地域の医者達に願ってセコンドオピニオンを求めたのだが、山下教授の命令によって、医者等は例外なくみな追い返されてしまった。
ポジティヴなニュース: 日本国内の至るところで、反原発グループが形成され、原発の解明と即時脱原発のために闘っている。彼等を支持しているのは、フリーランス・ジャーナリストやアルタナティブ・ネットメディア関係者である。これは、「アマチュアの蜂起-素人の乱」なのである。毎週金曜日、**彼等は日本の様々な都市でデモを行い、日本の完全原子力廃止を要求している。
以上
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*年間追加積算放射線量: 年間積算放射線量から自然放射線の影響を除いた、年間の人口の放射線量。
**「反原発デモは全国30を超える都道府県にも飛び火している。」と毎日新聞の記事です。:
http://mainichi.jp/select/news/20120915k0000m040093000c.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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