「原子力防災対策批判(その1)」など-地震と原発事故情報
- 2012年 11月 3日
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たんぽぽ舎です。【TMM:No1636】
2012年11月2日(金) 地震と原発事故情報-4つの情報をお知らせします
転送歓迎
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★1.原子力防災対策批判(その1)
いま読み返す『原発事故 その時あなたは!』瀬尾健氏が伝えた本物の恐怖
(山崎久隆)
★2.<連載-2>『原発真近への米軍へリコプター墜落事故』
当時の伊方原発所長の発言は、根拠がない真っ赤なウソ
航空機などの墜落について、安全審査など全くされていなかった
(斉間満 南海日日新聞社)
★3.(福島原発告訴団から)
【速報】11月1日現在で、告訴人が1万人を突破しました!
★4.新聞・雑誌から
◇原発停止で生態系戻る。 高浜周辺の海、温排水なくなり
(10月8日 静岡新聞より)
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◇本日11/2、大飯原発の破砕帯調査が現地で実施されました。関西電力は、
この本格的な調査を待たずに、「従来の評価(活断層はない)を覆すデータ
なし」という中間報告書を規制委員会に提出。規制委員会調査団は、この報告
書を鵜呑みにせず、専門家の見解を無視することなく、評価を進めるべきだ。
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┗■1.原子力防災対策批判(その1)
│ いま読み返す『原発事故 その時あなたは!』
│ 瀬尾健氏が伝えた本物の恐怖
└────(山崎久隆)
原子力防災は、原発を止める大きなきっかけになり得る。しかし一方では
誤った方針に基づき「現実的に可能な範囲で」などとする防災体制作りがされ
れば、さらに住民を危険にさらす結果になる。福島第一原発震災で経験したと
おりだ。そのためにも、住民の視点から厳しく検証・批判を加える必要がある。
さっそく、規制庁の拡散予測図がいくつも誤っていたことが明らかになった。
それを北陸電力(すなわち規制される側)から指摘されていたというから、原
子力安全・保安院時代から何も変わっていない規制側の程度の低さが露わに
なった。
この種のシミュレーションは、何度も何度も繰り返し検証をしてはじめて
「一定の信頼性」が出る。通り一遍で「ハイできました」にはならない。やっ
てみると「あれおかしいな」という点がいくつも出るはずだ。プログラム上の
バグもあるだろうし投入したデータが誤っている場合もあるだろう。バグ取り
やデータの修正を繰り返してはじめて「一定の確からしさ」を見つけるのは簡
単ではない。
ところが今回のシミュレーションはとんでもない計算をしている。特にひど
いのは「地形を考慮しない」ことだ。理由は「計算が大変だから」では小学生
の試験問題かと言いたくなる。(計算が大変だからと円周率を3で計算させる
ようなものという含意)。
福島原発震災を見れば、地形が最も重大な影響を与えたことなど既に福島の
人々にとって周知のこと。今では世界中が認識していることだろう。
特に背後に山を持つ地形が多い原発の場合、上空の風向とは全く異なる方角
に高濃度のプルームが出現することなど当たり前に起きる。距離が離れている
からと、止まっていれば大変な被曝を引き起こす可能性がある場所もある。そ
のような場所は、実際に事故が起きる前に地形データであらかじめ絞り込む必
要がある。それこそが防災の基本ではないか。
大雨が降ると深層崩壊が起きるという「定性的」条件で川添い集落全部を避
難地域にしてしまったら却って避難場所さえなくなる。深層崩壊を起こす「地
形的特徴」こそが最重要な情報であることを知らない防災関係者はいない。
もともと原発事故のシミュレーションは「起こる可能性がある」事故ではな
く「実際には起こるとは考えられない事故」を想定していた。
それですら8~10kmが対策範囲であった。如何に事故想定が甘かったか
が分かる。
しかし、それ以上の範囲の事故が起きる想定をしている人はいた。
京都大学の瀬尾健氏が1994年に行ったシミュレーションがそうだ。この場合
の想定はチェルノブイリ原発事故。なぜならば既往最大の事故はチェルノブイ
リ原発事故だからだ。既往最大を想定しなければシミュレーションの意味は無
い。
その結果は恐るべきものだった。例えば最も人口密集地帯に建つ東海第二原
発の場合、99%の致死範囲に20万人が住む。90%致死量の範囲は30キ
ロ圏を遙かに超えてしまう。
もう一度、瀬尾健氏のシミュレーションを見直すことが重要だ。それによれ
ば東海第二の風下は緩い基準をもってしても東京を遙かに超えて静岡まで居住
不能となってしまうのだから。
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この記事で紹介した本【原発事故 その時あなたは!】
著者:瀬尾健 出版社:風媒社(1995年6月刊行)
A5版・210頁 価格¥2,609-
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┗■2.『原発真近への米軍へリコプター墜落事故』<連載-2>
│ 当時の伊方原発所長の発言は、根拠がない真っ赤なウソ
│ 航空機などの墜落について、安全審査など全くされていなかった
└────(斉間満 南海日日新聞社)
●推進派の知事も衝撃受ける
原発近くにヘリが墜落したことに震え上がったのは、大沢さんや地元伊方町
民ばかりではなかった。
マスコミは「ミサイルを積んでいたらと思うと背筋が寒くなる」(七月四日
付け毎日新聞)と、恐怖を隠さずに書いた。それは原発推進に力してきた当時
の伊賀貞雪愛媛県知事も例外ではなかった。
事故直後の二七日の記者会見で「県民に大きな衝撃と不安をあたえ、遺憾千
万だ」と、強い口調で語った。事故直後「原発は飛行機が墜落しても安全だ。
今後特に対策を取るようなことはない」と言下に言い放った四国電力に対し、
飛行機の墜落の対策や防止策を求めた質問状を提出、さらに墜落事故の確立は
「二〇〇〇万年に一回だ」という電力会社や国の説明に対しても「それだから
といって安心できない」と反論した。
伊賀知事のこの言葉は、県内の原発推進派が、この事故でいかに大きな衝撃
を受けたかの証だった。
しかし、住民の受けたショックは知事の比ではなかった。伊方原発立地周辺
の住民で組織する伊方原発反対八西連絡協議会、伊方原発から直線で一〇キロ
の町、八幡浜市の主婦らが集まっている「八幡浜・原発から子供を守る女の
会」、さらには原発から五〇キロ以上離れる「宇摩原子力発電を考える会」、
「原発なくするまでガンバロウ会」「原発さよならえひめネットワーク」など、
県下の一〇以上にのぼる民主団体が、四電や伊方町・県に対して、「不安の原
因である原発をすぐ廃止の方向へ持っていくべきだ」と、抗議文や抗議行動要
請文の提出など相次いで行った。
こうした行動は、原発反対を日頃から言っている人たちばかりでなかった。
三〇日には、原発建設問題が起こってからのこの二〇年間、ただひたすら沈黙
を守ってきた伊方原発立地の九町地区にあるただ一つの農協、町見農協にまで
口火を切らせた。町見農協理事一二人連名の福田直吉伊方町長への要請文は
「ここは原子力発電所の立地場所であり、報道されているように墜落現場は原
子炉に大変近い位置で、一つ間違えると大惨事になっていたと考えられ、精神
的な面で住民の不安は一般に高まっており、誰もが痛烈な憤りを感じておりま
す」と記していた。
身近にある「危険物」への恐怖は、時間がたつにつれ、怒りへと変わって
いったのだ。恐怖感を逆なでした四国電力の対応 ところが「危険物」を設置
した四国電力のこの事故に対する対応は、こうした住民感情とかけ離れたもの
であるどころか、住民の恐怖感を逆なでするものだった。
事故直後の記者会見で、山下一彦伊方原発所長は「原発の近くで事故が起き
たのは残念だ。しかし上空に航空機は飛んでおらず、国の安全審査も通ってい
る」(六月二六日付け愛媛新聞)「原発に航空機が落ちる場合も考え、安全審
査している。落ちても原子炉は頑丈な幾重もの壁にさえぎられているから大丈
夫だ」(同日付け毎日新開)と発言したのを皮切りに、「原子炉は五重の格納
容器で保護されているので、ヘリコプターがぶつかった程度なら、放射性物質
が外に出るような事故にはならないだろう」(中尾邦之・伊方原発機械補修課
長・同日付け読売新聞)と相次いで原発の安全性を強調した。ところが、これ
らの言葉は何の根拠もない真っ赤なウソだった。
伊方原発周辺住民が松山地方裁判所で起こしている伊方原発二号炉許可取り
消し訴訟で、住民側が一九八四年に提出した「二号炉への航空機等の落下につ
いての安全性について、どう審査したか」との求釈明に村して、国は「航空機
などの落下は想定しておらず、審査していない」と釈明しているのである。
詳しい記録は後で記すが、さらに九二年一〇月に行われた同裁判の口頭弁論
で、国側証人の石川廸夫北海道大学教授(当時)は、原子力委員会の安全審査
は「飛行機などの専門家はいなかった」と証言。さらに審査委員の本人自身も
「日米地位協定の言葉さえ知らない」「(大分県にある自衝隊基地)新田原は
何処にあるのかもしらない」と、ズサンな安全審査の姿勢をバクロした。
ちなみに、日米地位協定は日米安保条約下で締結されている協定で、この協
定に米軍機は日本列島の上空を何処でも、どのような方法で飛行してもいいこ
とが約束されているものだ。日本の全国に墜落を繰り返す米軍機の低空飛行訓
練は、この協定で守られている。
安全審査員の石川教授はそれさえも知らず「飛行機の墜落の危険性も審査し
た」と、証言してはばからなかったのだ。これが、国側が証人として出廷させ
た科学者の姿だった。
また、原発上空の佐田岬半島沿いは、七二年三月から四国(松山)-九州
(福岡)間の民間航空機の定期航路となっていた。これに対して安全審査は
「墜落の確率は少ない」としていた事実も明るみに出た。そして安全審査後、
さらに四国ー九州間の空路は増設されていた。
「上空に航空機は飛んでおらず、国の安全審査も通っている」とする山下所
長の発言は明らかに口から出まかせだったのである。
さらにもう一つ、「厚さ八〇センチのコンクリート壁の下に、鋼板の格納容
器が炉心を包む」(二六日付け愛媛新聞)とした山下所長の言い分も、四国電
力が国に提出した二号炉の設置許可申請書によれば、航空機が落下してきた時、
一番当たる可能性の大きい原発の天井部分は、厚さが二〇センチのコンクリー
トでしかないこともわかった。山下所長が強調した「厚さ八〇センチ」は横面
の壁の厚さで、その厚さも発電機のタービン翼が、壊れて飛んできた時に備え
たものでしかない。
四電役員たちは、平然とウソを並べていたのである。(つづく)
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┗■3.(福島原発告訴団の速報をお伝えします)
│ 【速報】1万人突破!
│ 11月1日現在で、告訴人が1万人を突破しました!
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現在10849人です!
各地の事務局にはまだ続々と委任状が届いているそうなので、人数はまだまだ
増えると思われます。
告訴人のみなさま、全国告訴団事務局のみなさま、支援者のみなさま、本当に
ありがとうございました。
1万人というこの数をバネに、さらに適正な捜査を福島地検にお願いしたいと
思います。
11月15日の第二次告訴に、みなさま、ぜひお集まりください。
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★第二次告訴のお知らせ★
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2012/10/blog-post_23.html
日程 11月15日(木)
12:00 福島市保健福祉センター前「森合町緑地」に集合、主催者あいさつ
12:15 デモ出発(福島地検へむけて)
13:00 福島地検へ第二次告訴
14:00 福島市音楽堂・小ホールにて、報告集会(記者会見)
オープニングコンサート、あいさつ(弁護団より)、全国各地の事務局
から「陳述書の紹介と報告」
16:00 終了
福島原発告訴団 問合せ先
メール 1fkokuso@gmail.com
電話080-5739-7279 FAX0242-85-8006
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┗■4.新聞・雑誌から
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◇原発停止で生態系戻る。 高浜周辺の海、温排水なくなり
(10月8日 静岡新聞より)
東京電力福島第1原発事故の影響で関西電力高浜原発(福井県高浜町)の4
基が2月に全て停止し、原発で発生した熱を受け取って温まった水が海に放出
されなくなり、付近にすみついていた南方系の生物が姿を消したことが京都大
舞鶴水産実験所の調査で分かった。もともといた魚は生息しており、本来の生
態系が戻ったとみられる。放射性物質の危険とは別に、原発は通常運転中も環
境に大きな影響を与えていることが裏付けられた形だ。(後略)
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【編集部より】
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