指揮命令系統が破綻した沖縄米軍の乱行
- 2012年 11月 21日
- 時代をみる
- 池田龍夫
那覇市議会は11月20日、臨時会を開き、沖縄県内で相次ぐ米兵事件について、日米両政府に抗議し、綱紀粛正の徹底を求める決議と意見書を全会一致で可決した。19日、海兵隊中尉が{夜間外出禁止令}を無視して飲み続け、挙句の果てに、知り合いの日本人女性宅に侵入して寝込んでしまった事件がまたまた発覚。県民の怒りは頂点に達している。
那覇市議会が、怒りの決議
那覇市議会の決議は「沖縄は米軍の占領下だという意識が根底にあり、日米地位協定に守られている特権意識が事件を誘発している。放置すれば、島ぐるみ逃走に発展しかねない」と警告している。
海兵隊中尉の犯行に驚く
琉球新報11月20日付社説は「組織としての指揮命令系統が破綻しているということだろう。2万数千人の米兵を狭い沖縄に居座らせ続けることには無理がある。在沖米兵による事件が後を絶たない中、今度は指導的立場にある将校が捕まった。事は重大である。米軍の再発防止策、綱紀粛正には一片の信頼も置けない。捕まったのは、瑞慶覧基地所属の海兵隊中尉。前日の午後8時半ごろから翌日の午前6時半ごろまで3軒の飲食店で実に14時間も酒を飲み、泥酔状態で住宅に侵入したという。外出禁止時刻より早く基地外に出て一晩中酒を飲み、禁止令解除後の早朝に事件を起こす将校がいるようでは、何をかいわんやだ。……『2万数千人の兵士が沖縄にいて、バカなことをしでかす奴をゼロにするのは無理だ』と、米国防総省幹部が嘆くのを聞いたことがあるが、無責任な響きに映る。沖縄に米兵が駐留し続ける限り、事件は続発する。その被害はもう甘受できない。米兵と基地を大幅に削減し、ゼロに近づけることしか有効な再発防止策はなかろう」と、厳しく批判しているのは当然だ。
米国に抗議もしない防衛当局の弱腰
森本敏防衛相は「米軍全体の士気を疑わざるを得ない。中長期的にこの種の事故を防止するためにどうすべきか、トータルな政策を考える」と評論家のような論評をしていたが、まことに生ぬるい。沖縄防衛局など日本政府は那覇市議会決議と同様な姿勢で、米側に厳重抗議しなければならなかった。「暴行事件に至らなかったのでよかった」とでも思っているのだろうか。
沖縄県紙の指摘に共感したが、これに比べ本土紙の余りにも冷淡な扱いは一体何だろうか。問題意識の欠如を感じた読者は、少なくあるまい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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