選挙制度のおかしさ
- 2012年 12月 10日
- 時代をみる
- 関 千枝子
選挙の公示が始まったばかりというのに、もう当落予想で、自民党が単独で過半数をとりそうな勢いという。自民党は「改憲」を選挙公約に掲げている。「国防軍」を声高に叫び、そればかりが話題となっているが、自民党の憲法改定案を見ると、ほかのところも大幅に書き換えている。ほかに選挙公約で改憲を高らかに言っているのは、「維新」「みんな」などがある。これらの党は自民党をいろいろ批判しているが、憲法に関しては考えが一致しており、改憲に執念を持っている人たちだ、維新の石原代表などは、日本国憲法を認めない、廃棄してしまえ、など言っている。この問題に関しては異議なく一致し、素早くことを進めるだろう。
私は戦後日本の国家的枠組みを形づくってきたものは、「日本国憲法」であると思い、その理念こそ「戦後民主主義」であると思っている。さんざん解釈改憲され、痛めつけられたが、この憲法があったからこそ、ともかく平和で人らしく生きてこられたと思っている。憲法は誇りであり、絶対に守るべきものと思っているが、今まさに憲法は最大の危機である。何とかしたいと思うのだが、改憲派たちは、それこそ「民意だ」とうそぶくだろう。総選挙で多数派をとった。文句あるかと。
だが、この圧倒的勝利、絶対多数というのが本当だろうか。まったくおかしなことが、起こっているのだが、これが、今、あまり言われていない。
選挙前、一票の格差、不平等や、定数減などが盛んに言われた。結局小選挙区で5減だけが何とかまとまったが、時間がなくて、これも直さないまま総選挙に突入した。最高裁が不平等の見解を示したが、具体的に論議もされないまま選挙である。 定数を減らすことだけが言われるのも問題だが、小選挙区制度のことが何も言われないのはおかしなことだと思っていた。小選挙区制度は死票が多く、まことに不公平な選挙なのである。
今回の選挙の予想を見てみよう。どのメディアの予想うも自民党の圧勝とみる。12月5日の朝日新聞の調査で、自民の議席は272、民主81、維新49と出た。(同日共同通信の調査では、293,69,46ともっと自民の圧勝度が高い)。自民と維新と合わせると、軽く300を越し、ほかの改憲派とあわせると、軽く3分の2を超えてしまう。やすやす改憲となる。
だが、これは小選挙区の勝ちが大きいからだ。数字で説明すると、朝日数字で自民は小選挙区で213(共同293)比例59(63)。民主小選挙区47(36)、比例34((33)。つまり自民は比例でも第一党には違いないが、小選挙区でなければ、これほど恐ろしい差にはならない。比例だと2倍にもならない差なのが、小選挙区を入れると4倍ということに鳴ってしまう。
小選挙区制には、これはつきものの現象で、かつて小泉劇場を生み出し、前の選挙では民主党の圧勝をもたらした。政権交代がやりやすいなどいわれるが、これだけの格差が出、死票が山と出、小政党はほとんど当選ができないこの制度は、どう考えても問題である。これで圧勝だ、民意だと、国の形まで変えてしまいそうな改革(改憲)までやられたら、まことに怖い。私は選挙の無効を言いたいと思うほどだが、早い時期に、抜本的な選挙制度変更について話し合うべきではないだろうか。これは今までの通り、国会内でやっていたら,党の思惑で話がつかない。これは国会銀でなく、しかるべき外部識者を入れるべきだろう。
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