世界が憂慮する新政権、この夏が正念場、虹色の非核・非戦ネットワークを!
- 2013年 1月 2日
- 時代をみる
- 加藤哲郎安倍政権
◆2013.1.1 新年ですが、門松も松飾りもやめました。12月総選挙の国民の選択の結果は、たった2週間ですが、厳しく重苦しい新年を予感させます。4割の得票で8割の議席を独占した安倍晋三・自公新政権は、「景気回復」をうたって、財界の支持と円高緩和・株価1万円大台のご祝儀相場を得ました。とはいえ内閣支持率は59%、あの民主党菅内閣発足時にも及びません。真っ先にすべきは、違憲の疑い濃厚な選挙制度の改革、一票の格差是正なはずなのに、勝てば官軍でまた先送り。民主党政権から唯一引き継いだ消費税増税の条件作りに、日銀の独立性などどこ吹く風、2%インフレターゲットにひた走ります。復興予算の見直しと称して、いったん削られた大型公共事業の復活、仮設住宅で2度目の正月を迎えた震災被災者への生活支援は、二の次です。消費税増税は社会保障改革と一体だったはずなのに、貧困層を直撃する生活保護費の1割カットは4月にも実施とか。9条改憲「国防軍」創設は、公明党との連立でトーンダウンしても、集団的自衛権見直しと96条の改憲条件緩和の環境作りには早々と手をつけ、夏の参院選の結果次第で本番突入のかまえです。沖縄県民の感情を逆撫でするように、防衛省は、なんとあのオスプレイの自衛隊配備を計画、いったいこの国は、どこに向かうのでしょう。
◆3・11福島原発事故について、もともと安倍首相はA級戦犯の一人です。2006年の総理答弁書で、「地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全性については経済産業省が審査し、その審査の妥当性について原子力安全委員会が確認しているもの」「原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期している」と明言していたのですから。それが政権に復帰したら、「原子力ムラ」の熱い期待を受けて、「新規原発もありうる」「核燃サイクルも続ける」と再稼働一直線です。なにしろ安倍首相は、「福島第一原発は津波を受けて電源を確保できなかったが、福島第二原発は対応した。(宮城県の東北電力)女川原発もそうだ」と、選挙前なら電力会社でさえ裏声でしかいえなかった本音を公言する始末ですから。故郷を失った福島県民の痛み、こどもたちの放射能被害をおそれるおかあさんたちの心配は、この首相の視界にはないようです。むしろ原発を「潜在的核抑止力」と位置づける石破自民党幹事長、核武装そのものを主張する石原・日本維新の会代表と共に、参院選後の改憲で目論む「国防軍」創設がいかなるものであるかを、暗示しています。
◆もっとも安倍首相の夢見る「美しい国ニッポン」は、世界から警戒され、監視されています。昨年はアメリカでオバマ大統領が再選されたばかりでなく、中国に習近平体制が生まれ、フランス、ロシア、韓国、メキシコ等でも政権交代がありました。世襲の北朝鮮も新体制です。東アジアでは、日米関係よりも米中関係が、日韓関係よりも中韓関係が、いまや重みを増しています。そうした世界から、安倍内閣は「タカ派」「右翼」はもとより、「極右」「ファシスト」とさえ評されています。ドイツの新聞は「原子力推進派が再び権力の座に」とも。民主党への失望と日本経済の閉塞から自公政権を許してしまった国民の中でも、脱原発の希望や「国防軍」の拒否は、なお多数派です。夏の参院選で、改憲勢力に3分の2の議席を与えることは、国際社会から孤立し、核武装徴兵国家に近づくことを意味します。この夏が、正念場です。3.1ビキニデー、3.11フクシマ2周年には間に合わないかもしれませんが、8.6ヒロシマと8.9ナガサキは、過去の原水禁と原水協、反原爆と反原発・脱原発のいきがかりとわだかまりを捨てて、日本語で文字通りの「非核・非戦」勢力を総結集した、虹色のネットワーク連合で迎えたいものです。虹色というのは、赤と緑にとどまらない、非核と非戦の差異を尊重した多色という意味です。それが、8月15日の丸山真男の命日「復初の集い」につながれば、その時3・11後の日本にふさわしい「おめでとう」を語りうるでしょう。これが、ある社会科学者の初夢です。1945年1月8日付『朝日新聞』掲載の湯川秀樹博士等自然科学者たちがみた初夢を見ないで済むように。2013年も、本サイトをよろしく。
「加藤哲郎のネチズンカレッジ」から許可を得て転載 http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/Home.shtml
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