沖縄の声にもっと耳を傾け
- 2013年 2月 5日
- 時代をみる
- 池田龍夫
安部晋三首相は2月2日、沖縄を訪問し仲井真弘多知事と約1時間会談した。5日前の1月27日には、東京・日比谷野外音楽堂で、米新型輸送機オスプレイの配備撤回と普天間飛行場(宜野湾市)の県外移設を求める 「NO OSPREY 東京集会」 が開かれた。
41市長村長らが上京、首相に「建白書」
沖縄県38市町村長(代理を含む)・県議、商工会・沖縄弁護士会会長ら各種団体代表約150人を含む、約4000人が全国から集まった。集会後は、「NO OSPREY」 の横断幕を持って銀座をパレード、沿道の人々へ支持をアピールした。翁長雄志那覇市長、稲嶺進名護市長らは翌28日、「建白書」を首相に提出した。
政府の冷ややかな対応
普天間飛行場の名護市辺野古移設を県に申請する時期が迫っているだけに、2月1日の参院本会議の首相答弁が注目された。ところが「(2月下旬の訪米前は)考えていない。まずは現実的、具体的な運用の改善を積み重ねることが重要だ。オスプレイ配備も、日米合同委員会合意などにより安全性が十分に確認されていることを認識しており、配備が沖縄に対する差別だとは考えていない」と、冷ややかな答弁だった。
琉球新報2月2日付朝刊社説は「沖縄は『質草』ではない」と、訪米の手土産にするようなことはお断りだと批判していた。この社説に関連したブログでは「日本は他県には反対があるので配備せず、岩国市長にはオスプレイを陸揚げして2カ月間置いたことに対して謝罪までしている。これが差別でなくて何なのか」とも書かれていた。
本土への基地移設など具体策を急げ
毎日新聞2月3日付社説も、「日米両政府が合意している嘉手納基地以南の施設・区域返還を早急に具体化すると同時に、本土への基地・訓練の移設・移転が必要だ。本土の自治体、国民にはこれを引き受ける覚悟が求められる。また普天間問題で沖縄が当事者として参加する協議機関を設けることが必要である。日米両政府が沖縄に強いるやり方はもう通用しない。経済支援と引き換えに基地負担を押し付ける古い手法から脱却することだ。沖縄の負担は限界を超えている。沖縄の『叫び』に真摯に耳を傾け普天間問題に取り組んでもらいたい」と主張していたが、その通りである。
安倍内閣は、キャッチフレーズが一人歩きするだけで、具体的施策に乏しい。「米国に相談して…」の政治手法からの脱却を切に望みたい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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