本間宗究「ちきゅうブッタ斬り」(41)
- 2013年 3月 12日
- 評論・紹介・意見
- インフレ本間宗究
北朝鮮の核実験
2月12日に、北朝鮮が「三度目の核実験」を行ったが、このことは、時代に逆行する動きであるとともに、アメリカや中国の「虎の尾」を踏んだ可能性があるようだ。つまり、「1991年のソ連崩壊」以降、世界各国が目指していることは、「核兵器の廃絶」であり、同時に、「3・11の大震災」により、「放射能汚染の恐ろしさを、世界中の人々が、改めて認識した」という状況でもあるからだ。
別の言葉では、「第三次世界大戦」が起きた場合には、「戦闘機」や「戦艦」などでの「戦い」ではなく、「核ミサイル攻撃」により「地球上に、人類が住めなくなる可能性」も存在するのである。そのために、今後は、「国連が、どのような制裁を北朝鮮に行うのか?」ということや、あるいは、「中国が、どのような態度に変化するのか?」を、よく見る必要性があるのだが、基本的には、「北朝鮮が望んでいることは、金一族の存続である」とも言えるようである。
つまり、「イラクのフセイン大統領」や「リビアのカダフィ大佐」などが、「どのような運命をたどったのか?」を参考にしながら、「核兵器を保有すれば、自分の地位や生命が保証されるのではないか?」と考えているようにも思われるのである。しかし、「仏の顔も三度まで」、あるいは、「三度目の正直」という言葉のとおりに、今回は、「アメリカに到達する核兵器」を保有した可能性も存在するために、「1962年のキューバ危機」の時と同様に、「アメリカが、何らかの行動に出る」という事態も想定する必要性があるようだ。
あるいは、「中国が、北朝鮮に対して、食料やエネルギーの供給を絞る」というような状況も考えておく必要性があるようだが、このような状況になれば、「金一族の支配体制」も、きわめて短期間の内に、崩壊する可能性があるものと考えている。このように、現在では、「軍事的、かつ、地政学的な危機」が存在するという点には間違いはないのだが、「世の中」や「相場」で起きることは、往々にして、「多くの人が予想していなかったこと」とも言えるのである。
つまり、誰もが、「そのようなことが起きるはずがない」と考えることが、過去20年間にも起き続けてきたのだが、具体的には、「銀行の不倒神話」や「終身雇用神話」などの崩壊のことである。そして、現在では、「預金さえ持っていれば安全だ」という、歴史上からは、まったく根拠のない神話が日本人を支配しているのだが、このことは、「金一族」が、「核兵器を保有すれば安全だ」と考えていることと似たような状況でもあるようだ。(2013.2.18)
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「サイバー空間」から「現実」へ
「2月に起きる出来事は、その年を象徴するような事件になることが多い」ということが過去の経験則なのだが、今年も例外ではないようだ。具体的には、「PCの遠隔操作事件」であり、また、「ロシアの隕石落下事件」のことだが、これらの事件に共通する言葉は、「サイバー空間から現実の世界へ」ということだと考えている。つまり、「映画における仮想現実が、今回は、ロシアで実際に起きた」ということであり、しかも、「G20の直前に、誰もが驚くほどの隕石が、ロシア国内に落下した」ということは、大きな「天の警告」とも言えるようである。
また、「PCの遠隔操作事件」についても、「自分のコンピューターが、他人によって操作されていた」という状況でもあり、「サイバー空間」の中では犯罪が可能だったようだが、「現実の世界」に現れた途端に犯人が特定されたようである。そして、この時に気付かされたことは、「金融の世界でも、ほとんど同じような状況になっているのではないか?」ということだったが、実際には、現在の「お金」は「単なる数字」となっており、「サイバー空間の中でしか、力を発揮できない状況」とも言えるのである。
そして、このことは、「今年の8月から9月頃に、実際の大事件として起きる可能性」が高くなっているようだが、基本的には、「コンピューターマネー」や「デジタルマネー」と呼ばれる「現代の通貨」に関して、大きな変化が起きるものと考えている。つまり、「国債価格の暴落」が世界的に始まると、中央銀行による「大量の紙幣増刷」が行われることが予想されるのだが、このことは、「サイバー空間内のデジタルマネー」が「現実世界の紙幣」へと大きく形を変えることである。
つまり、「コンピューターネットワーク」の中では、「デジタルマネー」が力を発揮することができるのだが、現実世界の「紙幣」は、このネットワークの中を流れることができず、さまざまな金融商品の決済に、問題が起きることが予想されるのである。そして、この時に起きることは、最初に、「ギャロッピング・インフレ」であり、その後に、「ハイパーインフレ」へと変化するものと考えているが、現在のような「円安、株高」は、すでに、「ギャロッピング・インフレ」の初期段階とも考えられ、今後は、「国債価格の暴落」とともに、インフレが加速する状況が想定されるのである。
また、このような状況下では、「資産価値の保全」が重要であり、「貴金属」や「株式」、そして、「土地」や「食料」などへと資産を移すことが求められるようである。(2013.2.18)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/ja/column.html を許可を得て転載。
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