本間宗究の「ちきゅうブッタ斬り」(43)
- 2013年 4月 1日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究金金融
ソドムとゴモラ
2月15日に起きた「ロシアの隕石落下事件」については、私の想定以上の意味を持っていたようだ。つまり、このことは、旧約聖書の創世記に出てくる「ソドムとゴモラ」を髣髴とさせるような出来事であり、また、「これから、どのような事が起きるのか?」を示唆している可能性があるからだ。具体的には、「精神的な堕落」と「性的退廃」とに陥っていた「ソドム」と「ゴモラ」という商業都市に、「紀元前3123年」に隕石が落下し、「空中爆発を起こしたことにより、二つの都市が滅んだ」と伝えられているのである。
そして、このことは、西洋では、「神の審判が下った」とも考えられているようだが、結局のところは、「お金の奴隷」となった人々が、「自らの欲望」を追求し、「その極限にまで至った時に、世の中が崩壊した」という状況だったようである。ただし、今回は、「隕石の落下」や「大地震」などの「自然災害」ではなく、「金融のメルトダウン」という「人災」が起きることにより、世の中が大きく変化するものと考えているが、このことは、今年の8月から9月にかけて、はっきりと見えてくるものと考えている。
つまり、すでに始まったと思われる「ギャロッピング・インフレ」が、今後は、「ハイパーインフレ」へと移行することにより、現在の「金融資産」が、ほとんど価値を失ってしまう可能性のことである。別の言葉では、現在の「お金」が、単に、「絵に描いた餅」にすぎないという事実に気付かされ、世界中の人々が大慌てするような状況が想定されるのだが、残念ながら、現在の日本人は、まったく、この点を危惧していないようにも思われるのである。
しかし、海外では、「世界各国の中央銀行が、大量に金(ゴールド)を買い付けている」という状況でもあり、この理由としては、現在の通貨制度が、「信用」や「錯覚」だけを本位とした「信用本位制」になっているからだ。換言すると、「現在の通貨は、裸の王様の状態になっている」ということだが、今後は、この事実に気付かされるような大事件が、間もなく、発生することが予想されるのである。
具体的には、「国債」と「金」とを巡る「世界的な金融戦争」が、いよいよ、最後の決着を付ける時が訪れるということだが、具体的には、「国債価格の暴落」とともに、「金価格が暴騰する」という事態だと考えている。つまり、本当の意味での「金融敗戦」が、たいへん近い将来に起きることが想定されるのだが、このことに気付いている人は、現在の日本では、ほとんど存在しないようである。
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金融戦争における戦線縮小
過去10年間は、「先進国」と「新興国」との間で、「世界的な金融戦争」が起きていたものと考えている。具体的には、「日米欧」の国々が、「デリバティブの大膨張」と「国債の買い支え」により、いわゆる「デフレの状態」を作り出しながら、一方で、「中国」や「ロシア」、あるいは、「インド」などの国々が、「大量に金(ゴールド)を買い付けていた」という状況のことである。そして、現在では、「金を買う国々」が世界中に広がっているのだが、一方で、「金価格の上昇は、国債価格の暴落に繋がる」という危機感を抱いた先進国が、「必死になって、金価格を抑え込んでいる」ということが、海外の専門家が主張し続けてきたことである。
つまり、「国債」と「金」とを巡る「金融大戦争」において、すでに、「戦線の縮小」が始まっているとともに、間もなく、「終結の時期」を迎える可能性が高くなってきたとも考えられるのである。このように、「2007年の7月」以降、「世界の金融は、先進国の政府と一部のメガバンクによりコントロールされていた」ということが、徐々に明らかになっているのだが、このことは、「LIBORの不正操作」や「国債の買い支え」などのことである。
別の言葉では、「国債」のみならず、「株式」や「為替」、そして、「商品価格」の全てが、世界的にコントロールされていた可能性が存在するのである。しかも、この間に起きたことは、「先進国の国家債務」が大膨張しながらも、「デフレの時代だから、超低金利は当然の事だ」というような意見が出ることにより、「誰も、現在の異常な低金利に疑問を呈しなかった」という状況でもあったのである。しかし、現在では、「世界的な株価の上昇」が始まるとともに、多くの人々が、「超低金利から、どのようにして脱出するのか?」を考え始めているようにも思われるのである。
つまり、現在では、「金融のコントロール」において、「株式」や「為替」は、すでに、コントロール不能の状態となっている状況が考えられるようである。別の言葉では、「国債」と「金」との「戦い」に焦点が絞られてきたようだが、具体的な数字から考えると、どちらが勝利するのかは、明らかなようである。つまり、「時価総額が約800兆円」とも言われる「金」と、「時価総額が約8京円とも推定されるデリバティブや国債」とを比較すると、「これから、どちらの方向へ、世界の資金が流れるのか?」は、誰の目にも、はっきりと見えてくるものと思われるのだが、「どのようなバブルも、弾けなければ、その存在に気付かない」ということが「歴史の真実」とも言えるのである。
(2013年3月7日)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/ja/column.html を許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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