株屋さんと詐欺商法と投資の素人と。
- 2010年 9月 19日
- 交流の広場
- とら猫イーチ
最近のことですが、私が証券投資をしているところから、知人・友人より相次いで投資に関わる相談を受けました。 その内、一つ目は、定年退職を控えた友人からで、日本株の低迷を観て投資のチャンスと考えたようでした。 彼は、一般の経済知識程度で株式市場を観測しているようでしたので、現在のグローバルになった資本主義経済の現状の下で、日本経済の将来を予測することの困難さを説明した上で、日本経済が低迷期を脱するかどうかが不透明な現状で初心者が株式投資を始めることは危険であるので思い止まるように説得しました。 勿論、投資をするなら自己責任で、銘柄選定から売買の時期判定まで自分でやるように言いました。 私は、投資のアドバイス等は、後日に憾みを買うことになるのが怖いので絶対にしないことにしていますから。
もうひとつの相談は、知人の縁者による証券投資の失敗についてでありました。 証券の売買記録等を見せてもらうと、明らかな「回転売買」でした。 証券会社の外交が、客に対して、頻繁な株式の売買を勧めて取引の手数料を稼ぐのが「回転売買」です。 昔からある「株屋」の手口です。 詐欺商法と言って良いでしょう。 時代の先端を行くような金融工学を駆使した(振りをした)投資信託をデッチあげて(言い過ぎかな)、素人を欺き、「お客さん。 これ良いですよ。」、と投信の乗り換えを勧める手もありますが、どちらも古典的な詐欺商法です。 私の父親の親戚が全て金融業に従事していましたので、これらの詐欺商法には通暁しております(手形詐欺も。)。 等と、説明し、問題は訴訟に訴えた折に立証出来るかどうかである旨を言い添えたのですが、法的説明をもしたところ提訴を考えるとのことでした。 近日中には、裁判所への手続をとることになるそうです。
いやはや、株屋さんも二十一世紀になった現在でも、まだこんなことをやっているのですね。 これでは、政府がいくら「貯蓄から投資へ」と言っても、株は怖い、となりますね。 個人の金融資産が預金に張り付いているのも理由があると言えましょう。
金融庁は、証券市場を健全に保つために、更には、規制を今日的に適正なものにするために金融関連の法令を改正した筈ですが、肝心の証券業者の規制は笊になっているのでしょうか。 国民には、「自己責任で投資をしろ」と言いながら、初心者でも騙されずに投資が出来る環境を整えることもせずに、株式投資が出来るものでしょうか。
欧米の先進国では、資産形成の方法として認知されている投資信託も、日本では、数千本もある内、まともなものがどれだけあるのでしょうか? 悪しき事例では、株屋さんの系列のものなどは、「回転売買」の口実にするつもりなのか知れませんが、これでもかと言うほど次々と出ますね。 本当に、その需要があるのでしょうか。 別に「Stock for the long run」を引き合いに出すまでも無く、資産形成のための長期投資を目的にした、経費の低い消費者本位の金融商品を市場に出そうとする真の金融企業が、日本に少ない(零ではありません。)のは何故なのでしょうか?
私は、これからの日本では、経済・金融の知識が必須であり、学校教育でもその基本を遍く教育するべきであると信じています。 一時、株式投資(それも短期の)の真似事を、社会教育で導入しようとする動きもありましたが、経済や金融の知識も無い者に、株式投資を教える意味が分かりませんでした。 馬鹿げたことです。 しかし、社会に出てから実際に役立つ経済・金融の知識は、絶対に学校で授けるべきです。 大学教育でも、経済学は重要です。 それも、マルクス・エンゲルスの古典の訓詁学では無くて、現代の躍動する生きた経済を教えなければならないでしょう。
失礼ながら、国政に携わる政治家にも経済・金融の基本的知識に欠ける方々がおられるようで、マスコミの見当外れの論調とともに困惑してしまいます。 これらの方々は、株屋さんの口車に乗ってしまったのでは無くて、進んで国民の財を空中に放擲されるようであり、罪深いことではあります。 何でも「円高対策」と言うのだそうです。
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