テント日誌 4月10日(水) 経産省前テントひろば 578日目 テントで迎えた誕生日
- 2013年 4月 12日
- 交流の広場
- 経産省前テントひろば
これは私事なのだが前日は私の誕生日だった。様々なところで誕生日を迎えたがテントの中でというのも不思議なものだ。一番遅くまでテントに残っていたみなさんと泊りの面々でお祝いをしてもらった。思えば、テントはよく持ってきたし、見知らぬ多くの人に出会えたことに感謝しているが、今はこのテントが一日でも長くあることを願っている。機会あれば祝って頂いた皆さんのお返しの誕生祝いをさせてもらいたいと思っている。
今、テントでは3月14日の占有譲渡禁止の仮処分や損害賠償請求から、土地明け渡し請求の訴訟がなされた段階にある。経産省側との土地明け渡し訴訟をめぐる裁判がはじまろうとしている。5月23日が第一回目の口頭裁判である。これに対して私たちはこちらから相手側を告訴することも含めて裁判問題に立ち向かうつもりである。4月10日の午後からは弁護士も参加しての記者会見でその立場を表明した。私たちは裁判を裁判として闘うが、それはあくまで、脱原発の運動《表現》という立場を基本にして闘う。経産省側は自己の管理下にある国有地の不法占拠として明け渡しを要求している。経産省前テントひろばという形態での使用が不法占拠であるということだが、我々の行為は1)原発政策の転換《是非を含む討論も含めた》の要求、2)国民的な意思表示と場の形成、3)土地使用の請求ということでなされている。この中で、私たには1)と2)とが重要であり、3)はそのための土地《国有地》使用請求であり、これはテント設立以来経産省側と交渉継続中のものである。経産省側は3)のところを不法占拠としてきたが、私たちは1)と2)とを含めこれに対抗するつもりである。
裁判になれば裁判という土俵《枠組み》が設定され、3)の法律的な争いに絞られていく傾向を持つ。どんな政治表現も道路交通法や威力業務妨害などの法的な争いにされて、政治表現は疎外されてしまう。ここでは1)や2)は土俵の外に置かれてしまう。こういう困難さを裁判は持つが裁判のこの枠組みを乗り越えて1)や2)が登場し、裁判の争点になるように闘う。これが裁判の中で追求する道である。
しかし、不法占拠→明け渡し請求という訴訟そのものが、1)と2)を疎外する形でのそれに対する経産省側の権力行使(政治的意思の行使)であることは誰もが知っている。経産省側は私たちの1)や2)の要求を疎外することで、それに対抗するという道をとっているのだ。こういう形態は現在の国家権力と国民の関係であるが、私たちはだからこそ、1)や2)を直接に表現し続けなければならないのだ。直接民主主義やその行為はこれをさしている。記者会見の席上で大口弁護士はこれを憲法の国民主権ということで説明していたが、国民主権は権力によっては法律で疎外される。つまり、3)でもって1)や2)が疎外されるように。国民主権は法律を超えた直接民主主義的な行為のなかにしかない。今の場合ならテント保持の大衆的運動そのものである。
裁判という提起自身がもつこうした政治的疎外(政治的対抗)に対して私たちは1)や2)を表現し続けることで対抗しなければならない。多くの人たちが国民的運動としてテント保持の展開をということにほかならない。1)と2)のためにテントがあり、テントの保持はそのためだという闘いをしっかりやって行くことで、大きな枠組みで裁判に対抗していくことやらねばならない。現在の継続している官邸前抗議行動と連携し、脱原発運動の持続がそれである。そんなことが記者会見でも主張されていた。(M/O)
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