沖縄海兵隊グアム移転は、早くても5年後に…
- 2013年 6月 18日
- 時代をみる
- 池田龍夫
在沖米海兵隊約9000人のグアムなどへの移転に関し、米国防総省が具体的な費用や工程の見積もりを示す「基本計画」の策定時期を「2018年かそれ以降」と想定していることが分かった。
普天間飛行場移設の遅れが響く
琉球新報6月13日付朝刊(ワシントン特派員電)が報じたもので、米国政府監査院(GAO)は、移転に関する日米間の費用負担を定めた2012年の日米合意に関する積算額は「現実的でない」として、さらに増えると指摘した。国防総省は基本計画について「環境影響評価(アセスメント)と米軍受け入れ国との交渉が終わるまで作成できない」と説明し、関係国との交渉は「数年を要する」としている。
また、GAOは「老朽化が進んでいる」との理由で、再編後の在沖米軍基地の維持費に関する具体的な見積もりを示すことも国防総省に求めたという。
また、米上院軍事委員会は13日、2014会計年度(13年10月~14年9月)の大枠を定める国防権限法案を可決した。グアム移転事業関連予算の扱いについて、同委員会のレビン委員長(民主党)は、日本政府が米側に拠出した資金の執行凍結の継続を明言。移転事業の完了は当初14年度をメドに指定ていたが、先行きはさらに不透明である。日米両政府が4月に発表した嘉手納より南の基地の返還・統合計画への影響は避けられない。
普天間老朽化対策の費用も要求
上院軍事委員会は、14会計年度に米政府が要求したグアム移転費約8600万㌦(約82億円)の計上についても、厳しい判断をしたもようだ。下院軍事委は既に米政府による8600万㌦の支出を認め、日本政府が拠出した資金の凍結も全面解除する法案を可決している。
これより先、朝日新聞4月19日朝刊も米上院の予算凍結問題について、「昨年の日米合意による普天間飛行場の名護市辺野古移設が進展せず、辺野古沖埋め立て工事が頓挫していることが尾を引いている。その間に進む普天間の老朽化対策を米側が要求してきており、全く見通しが立たない状況だ」と伝えていた。
米国務省で対日政策に携わったカーネギー国際平和財団のジム・ショフ上級研究員は、朝日新聞の取材に対し「普天間移設問題が解決しない限り、グアム移転の詳細な計画は進まない。このままでは、議会がより詳しい情報を求めて米政府と対決する構図が続く」と指摘していた。
手詰まり状態の普天間移設がカギを握っていることは明らかで、このままでは〝普天間飛行場恒久化〟の恐れが濃厚。どう打開するか、日米とも苦境に立たされている。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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