「福島原発被害者を泣かせる」政府のズサンな対応
- 2013年 7月 6日
- 時代をみる
- 池田龍夫
参院選挙は7月4日公示、21日の投票へ向け舌戦が始まった。安倍晋三首相(自民党総裁)は4日朝福島市へ飛び、「福島の再生なくして日本の再生はない」と第一声を挙げた。福島第1原発事故から2年4カ月あまり。この常套句を聞かされた福島県民の多くは「フザケルな、復興は遅々として進まず、15~6万人もの住民が帰郷できない現状を、全く認識していない発言だ」と、腹を立てているに違いない。「自民党は原発の安全神話に寄りかかり、政策を推進したことを深刻に反省しなければならない」と陳謝したものの、原発再稼働には触れず、セールスマンのように〝原発輸出〟精を出す姿勢は矛盾だらけだ。
除染を地元自治体に押しつける傲慢さ
政府は6月23日、福島県田村市での非公開説明会で、「空気中の放射線量を毎時0・23シーベルト(年1㍉シーベルト)以下に達成できなくても一人ひとりが線量計をつけ、実際に浴びる『個人線量』が年1㍉を超えないよう自己管理しながら自宅で暮らす提案をしていたことが分かった」と、朝日新聞6月29日付朝刊が大きく報じていた。環境省は「説明会での同省の発言を否定しているが、録音記録を入手しており、住民の証言もあるので、信憑性は高い。除染は端政府・東電の責任で行うと言っていた約束を反故にするもので、許し難い
復興予算の流用が1兆円とは……。
政府は2011~12年度に約17兆円の復興予算を付けたが、昨年秋に被災地以外への流用が2兆円ほど判明し、今年度から被災地でしか使えないようにした。ところが、自治体などが管理する23基金に配られた1兆1570億円が『抜け道』になって流用されていたことが分かった。これも朝日新聞7月3日付朝刊が報じたもので、「流用された基金の9割近い1兆142億円分が5月末までに使われたり、自治体がすでに関連予算を決めてしまったりして返還が難しくなっていた。復興庁や財務省は残りの1412億円のうち412億円は『被災地に絞って使える』として1917億円分の返還を自治体などに求めることにした。……そもそも復興庁は各省庁からの寄せ集めで作られ、予算作りの権限も財務省に握られたままで、『復興の司令塔』の機能を果たし切れていない」と指摘。その悪例として、「鹿児島県いちき串木野市で今月1日、男性らが水田で、ジャンボタニシの駆除作業を行っていた。稲を食べる害虫で、同市は復興予算で進める『震災等緊急雇用事業費』を流用しており、7月までの5ヶ月間で約700万円も使っていた。さらに被災地の人の雇用対策ではなく、地元の人を雇っての作業だった。既に1兆円規模の予算が被災地以外で使われ、返還請求で戻ってきた額はたった1000億円という」と記していた。被災地のための復興予算ムダ遣いを見逃していた復興庁の責任は大きい。
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