テント日誌9月12日特別版… テント裁判第三回口頭弁論傍聴記
- 2013年 9月 16日
- 交流の広場
- 経産省前テント日誌特別版
2013年9月12日(木曜)第3回裁判傍聴
蒸し暑い9月の昼前、経産省テントひろばには、裁判傍聴のための支援者が30名ほど集まっていました。 13時少し前になって、裁判所前の道路では抗議集会が始まり、15分過ぎに裁判所構内に移動するころには、200名を超える支援者となりました。この日、傍聴者抽選のための番号カードは250枚を超えて発行されたとのこと、13時30分ころに当選番号が掲示されました。私の抽選カードは外れ番号、第1回、第2回に続いて3回の落選となりましたが、幸いに知人から当たり番号のカードを譲っていただき、初めての傍聴に臨みました。
103号法廷には、傍聴席が14席×7列あって、合計98席。私が入室した14時10分前には、書記官の女性(田中あゆみさん)一人が、裁判官席の前の書記席に座っています。傍聴席が埋まってまもなく、入廷した国側代理人11名(うち、女性2名)が着席すると、開廷3分前になって被告の淵上、正清の両氏も12名の弁護団とともに入廷すしました。14時丁度に、年の頃40代後半と思われる裁判長の村上正敏さんが、30歳前後の若手判事2名(橋爪信、伊藤健太郎)をともなって奥の扉から入ってきました。
冒頭、大口弁護士からこの日の法廷の進行提起がなされました。提起された2つのテーマは、その一つが福島原発からの放射能汚染水の流出事故における国の責任問題、第2が原告による被告取り違い問題です。
まず、被告とされた淵上さんから、汚染水問題に関連して補充的な意見陳述がなされました。先日の安倍首相の、汚染水は管理されているという、海外メディアに対する発言が「虚偽発言」であることから、原告・国の事故対応の問題点を追及しました。いまはテント撤去のために明け渡し訴訟などをやっている場合ではなく、国はただちに訴訟を取り下げるように、との意見を展開しました。つづいて青木弁護士は、本日裁判所に提出した準備書面(3)に沿って汚染水漏えいの事故の重大さを技術的に子細に指摘したうえで、その被害の深刻さを強調しつつ、裁判所が土地明渡の裁判提起自体を職権濫用として却下するべきと主張しました。
第2の被告取り違い問題については、河合弁護士から準備書面(2)により以下の点が主張され、訴訟の取り下げを求めました。すなわち、第一に、国は当初の証拠(甲第14号証の写真等)で占有の「主役」(=被告)と特定したAさん(=江田さん)に対して訴訟を提起すべきであったこと、第二に、国は証拠を差し替えるだけで、訴訟上では「雑魚」でしかない正清さんを、主役の江田さんと取り違えた自らの誤認を糊塗できるかに考えているようだが、こうした証拠の差し替えは訴訟当事者の一方的な転換を合理化するものではなく、新たな証拠で正清さんの写真を積み上げること自体が無意味であること、したがって、経産省に土地使用許可を求めたことだけをもって、その書面上の代表に過ぎない正清さんを被告とした裁判は、そもそも成立しえないと主張しました。
つぎに、大口弁護士は原告の訴状に対する「答弁書」を読み上げました。国の「請求の原因」に対して、土地の所有者が国であることについては「不知」、土地の占有及び被告の占有の権限がないとする点については「否認」、その他の国の主張事実については「争う」と答弁したうえで、この答弁は原告からの釈明を受けた後に補充するとしています。
つぎに、浅野弁護士からは国の新たな証拠等について、特に取り違え事件について提出された膨大な写真に関して釈明を求め、その背景資料としての「監視カメラの映像」を開示するように要求しました。続いて一瀬弁護士は、被告正清が「9条改憲阻止の会」の代表として、個人を被告としたのか、それとも「会」自体を被告とする意図なのかを質しました。いずれの釈明要求についても、原告・国の代理人は、「現時点では釈明不要」と答えています。しかし、裁判官からは証拠開示請求に対する答弁と合わせて、次回期日までに書面で回答するように指摘されています。
原告代理人は、最後に「弁論を打ち切って早く結審するように」と裁判官に述べた点を捉えて、河合弁護士は「訴訟を引き延ばしているのは、被告を取り違えた原告に責任がある」として、裁判所に対して公正な審理を求めました。終了は予定時間の15時でした。(O.E)
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裁判を傍聴して-テント裁判は楽しいですよ!
「さよなら原発千葉」(N.1)
私は、7月22日の第2回口頭弁論と9月12日の第3回口頭弁論を傍聴することができました。事前ではなく裁判傍聴を終えてから傍聴記を書いて欲しいと依頼があり、従って何の用意もしていなかったのでどんな傍聴記になることやら、ともかく裁判の専門的な知識はありませんので思いつくままに書くことにしました。
第3回口頭弁論だけでなく第2回口頭弁論のことも少し触れたいと思います。
第2回口頭弁論は、皆さんもご存知の通り、国が被告を間違えていたことをテント側代理人が指摘した裁判でした。だからこのときは、傍聴人は5回くらい自然に笑ったり歓声をあげたり。だって考えられないお粗末なことなのでこうなりますよ。そこで裁判長は机を叩いて制止する場面もありとっても楽しかったですね。最後にテント側代理人が、裁判長が机を叩いたことに対しやり過ぎではないかと執拗に食い下がる場面もあり、裁判長もそれを承っておきますとのこと。そのせいか、第3回口頭弁論では2回裁判長から笑ったり声を上げないよう、注意がありましたが今回は穏やかな態度でした。
第3回口頭弁論で感じたことは以下の通りです。(大事なことは沢山あったと思いますが)最初に被告の淵上太郎さんより本件の訴訟却下を求める意見として、9月7日の東京オリンピック招致のプレゼンテーションで、安倍総理が「汚染水は、港湾内に閉じこめている」「完全にブロックされている」と国際舞台で大うそをついた事に言及し、このような安倍総理を中心とする国が私たちを訴えているが全く筋近いであるとして請求却下の補充理由に挙げましたが、全くその通りだと思いました。
国は、被告の人違いをしたことに対しては、単純な証拠写真のミスでしたという主張。これに対しテント側代理人は、単純なミスではなく訴訟の根幹に係わる問題であり、少なくとも正清氏については訴訟を取り下げるべきであると反論。
テント側代理人が、国の考え方の矛盾点や分からない点について求釈明を求める準備書面を出したが国は応じないと主張。さすがの裁判長も国に文書回答するよう促した。そしてこともあろうに、国は迅速な判決を求めると主張。これに対しテント側代理人は、被告の人違いで裁判を引き伸ばしておきながら、迅速な判決を求めるということに対しては納得が出来ないということを明確に主張。以上の通りであり、テント裁判は表現がまずいかもしれませんが、傍聴していて結構楽しいし元気が出ます。それはテント側代理人が自分たちの正しい主張を正々堂々と出しているからだと思います。その結果として裁判の時間も長くなっています。(2回目が1時間位、3回目が45分位)
上関の方が自分たちの裁判は、5分位で終わってしますのでテント裁判はいいな~といっていました。私たちは、再稼働に反対しテントを守る運動の大きなうねりをつくらなければならないという思いを強くしました。
それと同時に、民主党政権は曲がりなりにも、多くの国民のコンセンサスを得て「脱原発路線」を決めましたが、その脱原発路線を真っ向から否定し原発推進路線の先頭に立ったのが安倍総理です。原発推進路線を敷き、再稼働の頂点にいる「安倍総理の退陣」を求める声を大きくしていかなくては、再稼働を停めることは出来ないという思いを強くしました。
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裁判傍聴記 とりあえずの感想ってとこですか
前略。ある種、文壇の方に、書けよ、と言われると、あれこれ考え込んでしまいます。基本的に、アドルノ・テーゼ:詩美に淫することは、ナチスの犯罪に加担することだということは、知っています。このナチスをヒトラー・ナチスとするか、グローバル・スタンダードを標榜するUSA/ナチス(超国家主義国家)とするか、議論のあるところです。USAナチスの親衛隊か宣伝省かなにかに編成されてしまった日本軍は悲しいばかりです。
シモーヌ・ヴェィユは、宗主国が同在しない植民地の文化は、根こそぎにされると言っています(「根をもつこと」)。ナチス占領下のパリと米軍占領下の東京は、もちろん違いますが、あえて、被占領状態という位相で考えてみているのです。テントは、剥き出しになった、反ナチ(軍事全体主義)抵抗集団のようです。ヴィクトール・ユゴーの「パリのノートルダム」の鐘付き男も「自由の別天地」もいわば、屋根裏であり、地下の隠れた場所ですが、経産省前テントひろばは、白昼堂々です。それも、コンピュートピア帝国(新世界教会)のお膝下です。こうした時代的空間的文脈を考えることに沈湎できる情況ではありませんが、ヨーロッパ・アメリカの反ナチス運動と比べてみる誘惑にかてません。イスラエル・パレスチナ・中東・アフリカの葛藤の時代はより複雑ですね。ナチを打倒するナチという転回には唖然とするばかりです。
第3回公判は、検事の本音が剥き出しになりました。「裁判長、さっさとかたづけてくれませんか!」という検事の一言で、法廷が法廷でないことが明白になったのでした。ここは、ひたすら加刑裁量処分する場所で、弁護団や被告の言い分は、ちゃんちゃらおかしいという武断的問答無用のファシストの態度がむきだしになりました。こちらからは、法廷侮辱罪だと直観しましたが、検察権力は、なにぐずぐずしてやがるという旧日本軍なみの暴力的気配がみなぎっていました。小生の父は、なによりも、旧日帝軍の暴力主義が嫌いでした。尊敬できない上官に、スリッパやベルトで打ちのめされる兵隊制度が骨の随までいやでした。それで、就職先は、お菓子会社と酒会社にしたのでした。裁判長は辛うじて、「文書で求釈明などに応ずるように!」と暴力的検事を諭していました。
ナチ(国家全体主義)対ナチ、これは、テロ・カウンター・テロとあいまって、病膏肓。敵を殺せぬものは味方に処刑される。味方に暴力を行使できぬものは、敵とは戦えまい。こうした修羅場へ自民党は国民を誘導しようと必死です。権力が必死なのですから、庶民はひとたまりもないでしょう。抵抗する人民の日々の決戦が非暴力のシリーズである限り、広島の少女のような姿にはされないと想いたい。ドイツとソヴィエトに挟まって悲惨な歴史を持つポーランドのアンジェィ・ワイダ監督は、「玉三郎」を称揚し、ロシアの前衛は、能舞台に注目しました。
水俣の薪能から、そして、東電の放射能。あえてカミユの「異邦人」や武田の「ひかりごけ」を持ち出すまでもなく、戦後のリベラリズムの前哨として、テントは各地方に拡散すべきでしょうし、たたまれるようなことがあれば、世界は、軍事ファシズム国家集団として、日本をみなし、先制攻撃をかけてくる時局と判断されるでしょう。国民皆兵であれば、無差別テロとならざるをえないわけでした。どうぞ一日も早く、東京が核開発国際シンジケート(プルトニウム・ギャング集団)から解放されますように、関西でも、テント応援団を結成しました。草草 (なにはのくまより)
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