五輪会場の放射能汚染(『アエラ 2013.10.14』 記事より)
- 2013年 10月 8日
- 交流の広場
- 田中一郎
今週号の『アエラ』(2013.10.14)に「五輪会場の放射能汚染」と題して,「オリン
ピック候補会場の放射線を測る会」の測定結果に関する記事が掲載されました。(下
記に一部抜粋引用)
『アエラ』(2013.10.14)より
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● 都は「判断しかねる」
この結果を東京都はどう受け止めるのか。除染の必要はないのか。都環境局環境改
善部計画課の担当課長は,こう述べた。「これだけで,おかしいじゃないかと言われ
ても判断しかねる」
前述したように都の除染基準から,「面」で毎時0.23マイクロシーベルト,「点」
で毎時1マイクロシーベルトで対応するという考えだ。
11年6月に実施した都内100か所の空間放射線量測定,同年9月の航空機モニタリ
ングのいずれでも除染基準に達しなかった。年間放射線量が1ミリシーベルトを超え
るおそれのある地点があると国から汚染状況重点調査地域に指定されるが,この指定
もない。さらに,都内8か所のモニタリングポストで空間線量を測り続けているが,
高い状況ではない。つまり,「面」でも「点」でも東京は除染基準を上回っていな
い。だから,「除染の必要性はない」という見解だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)
まったく,どこをどうやって調べているのやら,オリンピック会場のみならず,東京
の各地が23区内も含めて「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」による放射
能汚染だらけだというのに,「「面」でも「点」でも東京は除染基準を上回っていな
い。だから,「除染の必要性はない」」などと豪語し,居直っている。乳幼児や胎児
や子ども達,あるいは若者も含め,放射線被曝の感受性が高い世代のことも念頭に置
かず,オリンピックのためなら,放射線汚染も放射線被曝も「ない,ない,ない,
まったくない」ということにしてしまう東京都,だから「除染なんぞ,やってられっ
か」と,「危ないよ」の注告も耳に入らず,都民を突き放して「利権・土建の祭典:
オリンピック」に邁進してしまっているのだ。
思い起こせば,1979年に美濃部都政が鈴木俊一都政に転換して以降,東京都では,唯
一回として都民のための,都民による,都民に尽くす都政が一度たりとも実現したこ
とのない街になってしまった。原発事故によって放射能が空から何度も降り,今もま
た降り続けているにもかかわらず,都知事自らが(原発事故被害を被っていない)N
Y,LDN,パリと東京は同じだ,とうそぶく。その東京都政のあり様は,オリン
ピックと並行して進む利権・土建の都市再開発がもたらすであろう悲惨な都民生活破
壊やコミュニティ破壊や環境破壊などと相まって,東京都をますます厄介で時代錯誤
な状況に追い込んで行くだろう。
現在の東京は,空間線量の値からみても,各地の土壌検査の結果からみても,あるい
は福島第1原発からの放射能雲の影響から見ても,チェルノブイリ原発事故後のウク
ライナの首都キエフとよく似た状況下にあるのではないか。放射能汚染のないLDN,
パリ,NYなどとは決定的に違う。そのキエフでは,かつて子どもたちは避難させられ
ているが,東京では子ども達や妊婦や若者らの放射線感受性の高い世代を守ろうとい
う動きはなく,その延長線上に今般のオリンピック招致と猪瀬直樹知事の発言があ
る。
東京都の知事や役所がかようなことであるのなら,我々都民・市民は,これからもオ
リンピック会場を含む東京都全域での放射能汚染状況や放射線被曝の危険性を厳しく
チェックしていかざるを得ないだろう。ただ単純に,オリンピックで浮かれているわ
けにはいかないのだ(下記の「オリンピック候補会場の放射線を測る会」HPも併せ
てご覧下さい)。
*2020年「オリンピック候補会場の放射線を測る会」市民グループのHP
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