3つあります (1)日本で「解剖」はどこまで可能か、(2)放射線リスコミという原子力翼賛政策(東京新聞)、(3)飲食品の残留放射能規制値を緩めるって、冗談でしょ
- 2014年 3月 8日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
1.日本で「解剖」はどこまで可能か
先般、私のメールで、放射線被曝に関係しての不審死の原因を明らかにするため、逝去されたご本人と遺族が遺体の「解剖」検査を望む場合には、それができる状態(法的に問題が起こらないような仕組み+「解剖」検査ができる医療・医師・病院側の体制の確立という意味)にしておかなければいけないのではないかと申し上げたことがありますが、それに関連したタイムリーな記事が2014年3月4日付毎日新聞朝刊に掲載されましたのでご紹介申し上げます。
●新法解剖実施率上がらず 昨年4月導入 – 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20140304k0000m040153000c.html
(一部抜粋)
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「犯罪死見逃し防止などを目的に昨年4月から始まった遺族の承諾なしに警察署長の判断でできる解剖(新法解剖)を巡り、都道府県ごとで実施数や予算額に大きな格差が生じていることが警察庁のまとめや毎日新聞の調査で分かった。新法解剖導入で解剖率の底上げが期待されていたが、昨年1年間に全国の警察が扱った遺体の解剖率は前年比0.2ポイント増の11.3%で、死因究明態勢の向上が思惑通り進んでいない実態が明らかになった。」
【ことば】新法解剖
2013年4月に施行された死因・身元調査法に基づく解剖。法医学者らによる警察庁の有識者研究会が解剖態勢の充実に新たな制度を求めたことを受け、導入された。犯罪性が明確にはうかがえない遺体でも、警察署長や海上保安部長らが死因を明らかにする必要があると判断した場合、遺族の承諾なしで実施できる。費用は公費負担で、国がおおむね半分を拠出し残りを各都道府県が賄う。
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記事の主旨は、死因がはっきりしないままに葬られていく人が少なくない中で、死因の明確化のため、死体「解剖」(司法解剖)をもっとできるような体制を法的に担保するという主旨で、2012年に「死因究明推進法」が制定されたが、新しい法律ができた後も、死体解剖の数は増える様子がない、その大きな原因の一つが、解剖医の数が限られていることに加え、いわゆる「新法解剖」を含めて「解剖」を拡大するための予算措置や体制づくりが十分でないためであることを報じています。
簡単にいえば、(司法解剖のような)儲からない医療は、あまり顧みられることはない、解剖医を含む医師養成の数を制限するというようなおかしな政策も、既存の開業医たちが医師や病院の過剰供給で儲からないようにならないための布石のような政策で、それを改めることなく今日に至ったために、今では、市場原理主義的「構造改革」の一環としての医療政策見直しと相まって、全国各地で医師不足と医療難民が出始めている、その一つが、解剖医の不足・解剖対応体制のぜい弱、そしてその結果として、死因が不明のまま葬られてしまう例が続出ということになってしまっている、ということではないかと思います。人間の命の尊厳と、まさに基本的人権の基礎の基礎である人の命が、医療の世界・司法解剖の世界では、かくも軽々しく扱われていることに驚きを隠せない思いです。
しかし、さしあたり私の関心事は司法解剖ではありません。私が注目をしましたのは、この記事の右下にある「なるほどり:解剖、どんな時にする?」の記載です。この内容には興味深いものがあります。下記に簡単にご紹介いたしますと、
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「Q:解剖って、その2種類だけなの? (その2種類とは、司法解剖と新法解剖のこと:田中一郎)
A: いいえ。警察が扱う解剖については他に二つあり、地域で運用が異なります。東京23区と大阪市などの4都市では、死因がはっきりしない遺体に関し「監察医」と呼ばれる医師の判断で、「監察医解剖」が行われます。司法解剖や新法解剖と同様に法的には遺族の承諾は不要です。ただ、この制度の本来の目的は病気の予防や感染症の拡大防止といった公衆衛生の向上です。もうひとつが、監察医制度のない地域で、遺族の承諾を得て行われる「承諾解剖」です。この他に、事件性の有無という観点ではないものとして、病院内で亡くなった人について治療の効果などを調べる病理解剖、医学実習のための系統解剖などがあります。」
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私が注目したのは、ここに書かれている「病理解剖」です。この「病理解剖」によって、たとえば心不全で急死した方が望んだ場合(遺族も同意した場合)に、その心不全が放射性物質(特に放射性セシウム)の影響によるものであるか、そうでないかを解剖検査する、というようなことができないのかどうか(もちろん心不全だけではなくて、その他のガンや骨肉腫などによる死亡の場合も同様ですが)、ご存知の方がおられたらお聞きしたいと思います。
新たに法律を作って、体制を整えて、となると容易ではありませんが、しかし、「病理解剖」という既存の仕組みを使ってやれるということであれば話は違ってきます。実際のところ、どうなのでしょうか? もし、やれる、ということなら、後は「やる気の問題」になってきますから。
私の関心事は上記のようなことです。
2.「放射線リスクコミュニケーション(りスコミ)」という原子力翼賛政策(東京新聞):「安全神話」から「安心神話」へ
●帰還ありきの施策集、疑問だらけの「放射線リスコミ」(東京 2014.3.6)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014030602000153.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/
(一部抜粋)
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東京電力福島第一原発から二十キロ圏内の旧警戒区域の一部が今春、避難指示を解除される。復興庁は先月、帰還を考える住民たちの不安を軽くする「放射線リスクコミュニケーション(りスコミ)に関する施策パッケージ」を発表した。十一省庁、委員会の合作だが、内容は安全神話ならぬ「安心神話」。リスコミというより、スリコミではないのか。
「政府がやろうとしているリスクコミュニケーションは本来あるべき姿とは程遠い。早期帰還を進めるため、『健康影響なし』という考え方を押しつけようとしているだけだ」。倫理を扱う宗教学者の立場から原発問題に向き合う上智大島薗進教授はそう述べた。・・・・・
島薗教授は「相談員らと意見交換するといっても、『この数値なら大丈夫』『健康影響はない』という答えがもう出されている」と語る。島薗教授は、この相談員の配置自体にも疑問を呈す。「地域にいる保健師や看護師らを動員し、『健康影響なし』という考え方をすみずみまで行き渡らせようとしていないか。相談員というより、思想指導員だ。これではリスコミではなく、スリコミとやゆされても仕方ない」
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●安全神話の押し付けか?…放射線リスク、国が初の冊子 避難住民の不安軽減へ 「避難の権利」ブログ
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-12a9.html
3.飲食品の残留放射能規制値を緩めるって、冗談でしょ
原子力「寄生」委員会の田中俊一が、またぞろ、ろくでもないことを言い始めている。IAEAから何か言われているのではないか。「「(事故収束後に地元に)帰る基準は国際的にも明確じゃない」とし、日本が主導して、新基準を検討する必要があるとの考えを示した」なんぞは、まさにそれクサイ。
●食品の放射性物質基準、緩和検討 国内外ニュース 福島民報
http://www.minpo.jp/globalnews/detail/2014030501002264
(一部抜粋)
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<食品の放射性物質基準、緩和検討、規制委員長「厳格さ疑問」>
原子力規制委員会の田中俊一委員長は5日の記者会見で、一般の食品に含まれる放射性物質濃度を1キログラム当たり100ベクレルとした国の基準について「欧州の10分の1以下(の厳しさ)で非常に疑問だ」と述べ、近く設置する放射線審議会で、基準の緩和も含めた見直し議論が必要との認識を示した。
放射線審議会は、被ばく線量評価や放射線医学などの専門家10人前後で構成する予定。
また田中委員長は、原発事故の発生時に避難を始める放射線量の基準はあるが「(事故収束後に地元に)帰る基準は国際的にも明確じゃない」とし、日本が主導して、新基準を検討する必要があるとの考えを示した。
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●東京新聞食品の放射性物質基準、緩和検討 規制委員長「厳格さ疑問」社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014030501002264.html
●セシウム検査で判明した子どもの体内被曝の深刻度〈週刊朝日〉(dot.) – エキサイトニュース(1-2)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20130926/asahi_20130926_0003.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion4780:140308〕
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