日中戦争時の強制連行、中国人被害者が日本企業に賠償請求訴訟
- 2014年 3月 23日
- 時代をみる
- 池田龍夫
日中戦争時に強制連行され、過酷な労働を強いられた中国人元労働者と遺族らが北京市第1中級人民法院(地裁)に損害賠償などを求めた訴状に関し、同法院は3月18日これを受理した。
中国人37人が2月下旬、日本コークス工業(旧三井鉱山)三菱マテリアルを訴えたもので、弁護団は「訴えは中国の法律にも符合するもので、重大な意義がある」と述べた。提訴時の原告は37人だったが、現在は40人。
1人当たり100万元(約1700万円)の賠償と謝罪広告の掲載を求めており、中国全土に波及する法廷闘争になりそうだ。
毎日新聞3月19日付朝刊は、「強制連行を巡っての訴訟は、1990年代以降日本裁判所への提訴が相次いだ。地裁段階では勝訴判決も出たが、最高裁は2007年4月『72年の日中共同声明により、中国国民は裁判で賠償請求できなくなった』との初判断を示し、原告敗訴が確定した。しかし、中国側は『共同声明で放棄したのは国家間の賠償であり個人の賠償請求は含まれていない』との立場を示していた」と複雑な経緯をコメントしていた。
先の人民代表大会で李克強首相は「第2次世界大戦の勝利の成果と戦後の国際秩序を守り抜き、歴史の流れを逆行させることは決して許さない」と強調している。原告側の説明によると、「2社による被害者は9415人。強制連行に関わった企業は35社で、被害者総計は3万8953人という。
歴史認識、尖閣諸島領有権など難問が山積している折、今回の強制連行問題が、日中間のあつれきを一層深める要因になりそうな気配を感じる。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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