【御用通訳に注意】オバマ発言誤訳は日米共同記者会見の同時通訳によるものだった。官邸HPの動画でも誤訳。
- 2014年 4月 29日
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4月24日日米共同記者会見におけるオバマ大統領の発言誤訳問題については、4月25日、26日の投稿を見てください。
この問題を『琉球新報』が27日の3面で大きく扱いました。
その後、共同記者会見の現場にいた記者からの情報によると、このときの同時通訳が profound mistake を「正しくない」と誤訳していたようです。これをそのまま書き写して報道したメディアが多かったため、「正しくない」と報道されたところが多かったのでしょう。たしかに複数の社が同時に全く同じ誤訳をするとは考えにくいので、大元は通訳だったのです。福島第一原発事故のあとは政府に都合の悪いことを隠す御用学者、御用メディアが注目を浴びましたが、御用通訳というのもいるのですね。前にも書きましたが、この共同会見の全記録の英語版はホワイトハウスのウェブサイトには載っていますし私もブログに全文転載しましたが、官邸や外務省のページには見当たりません。官邸のページからリンクされる政府インターネットテレビには動画のみがあります。
日米共同記者会見-平成26年4月24日
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg9734.html?t=57&a=1
ここでも、オバマ大統領の発言の音声は消してあって、同時通訳が入っています。23分40秒ぐらいから問題の尖閣問題についての個所になります。
「同時に総理に言いました。引き続きエスカレーションになってしまうということは・・非常に・・・好ましくない過ち になる・・・ということ(語尾不明)日中の間で対話や信頼醸成措置が継続すべきということで我々としてもこれを外交的に奨励したいと思います。」と通訳は言っています。profound mistake を、「非常に好ましくない過ち」と訳しています。profound (深刻な、重大な)という言葉をどうしてわざわざ「好ましくない」といった抑えた表現に変えるのでしょうか。日本メディアに広く出回った「正しくない」と同じような誤訳を、わざわざ異なる言葉を使ってしているのです。
このダブル誤訳から、どちらのケースも政府による意図的な情報操作であったのではないかと思っています。また、オバマ氏は、対話による信頼醸成措置を外交的に促進するために「我々はできることはなんでもする we are goig to do everything we can と言っているのに、この通訳は「奨励したいと思います」と、随分トーンダウンして訳しているように思えます。「安保が日本の施政範囲に適用するので尖閣に適用するが、領有権には立ち入らない」との歴代米国政権の立場を繰り返しただけの発言を大騒ぎしておきながら、エスカレートをたしなめ、外交的に「できることは何でもやる」と言っていることを隠したがるのだとしたら、日本政府は尖閣をめぐる戦争をさせまいとする米国の動きを抑えようとする、すなわち戦争を奨励しようとしているのではないでしょうか。そう危惧せざるを得ません。日本は大変危険な政府を抱えてしまっているのです。
最後に、このブログによく福島第一原発事故の被曝影響についての論文を掲載してもらっている北海道深川病院の松崎道幸医師から来た、この件についてのメールを、許可を得て転載します。
誤訳問題のフォローです。
週刊東洋経済
http://news.livedoor.com/article/detail/8781161/
、「安倍首相に直接述べたが、この問題について、対話をせずに、事態がエスカレー
トし続けることは重大な間違いだということだ。日本と中国は信頼醸成措置を取るべ
きだ。そして、できる限りのことを外交的に、私たちも協力していきたいと思ってい
る」と述べた。
レコードチャイナ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140425-00000018-rcdc-cn
オバマ大統領は会見で「安倍首相に直接こう言った」と切り出し、「尖閣問題に関し
て対話で中国の信頼を醸成できないまま事態がエスカレートするのを見続けるなら大
きな過ちとなる」と警告。
フジテレビ
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20140424-00000322-fnn-pol
オバマ大統領は会談後の会見で、日中両国の対立に関連して、「エスカレートし続け
るのは正しくない。信頼醸成措置を講じるべきだ」と、安倍首相に注文をつけたこと
も明らかにした。
TBS
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20140424-00000050-jnn-pol
「安倍総理に申し上げましたが、この(尖閣)問題について事態がエスカレートし続
けるのは正しくないということです。日本と中国は信頼醸成措置を取るべきでしょ
う。私たちも外交的にできるかぎりのことを協力していきたいと思います」(アメリ
カ オバマ大統領)
時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140424-00000070-jij-pol
会談後、両首脳は共同記者会見に臨んだ。首相は「日本の積極的平和主義と米国のア
ジア太平洋重視政策は、地域の平和と安定に貢献する」と述べた。また、「日米同盟
はかつてないほど盤石だ」と強調した。大統領は尖閣問題について「事態がエスカ
レートし続けるのは正しくない」と述べた。
テレビ系・通信社系も同じ穴のむじなと言うところです。
松崎
日本政府やメディアによる、言葉のギャップを利用しての外国高官の発言の歪曲、操作、無視 は私は今までずっと追ってきています。このブログのインデックスの「メディア批評」をクリックしてもらえれば、2009年末までさかのぼって見ることができます。集めれば本が書けるぐらいになるかもしれません。マスコミの報道よりも原文をあたってください。翻訳よりも元の言語の原文にあたってください。政府というのは必ず国民に嘘をつく、外国語の勉強とは政府の嘘を見破るためだ、と、故・加藤周一氏は言っていました。その通りだと思います。私は英語しかできないので、ウクライナ報道などでも随分ロシア語からの歪曲翻訳があるのではないかと想像しています。語学力はそれだけでは何の役にも立ちません。語学力と批判精神が組み合わさってこそ、自らを守り公正な社会、戦争のない世界を作っていけるのではないかと信じています。御用通訳さんに言いたいです。「御用」と言われて腹が立つのなら連絡をください。反論してください。あなたのプロ意識を見せてください。
最後に、会見当日の晩の報道で、オバマ氏が尖閣のエスカレートは「大きな過ち」と言ったと、適切な訳の字幕を出していたテレビ朝日の『報道ステーション』を評価したいと思います。当たり前のことをしていただけなので褒めるのはおかしいですが、横並びでおかしな訳を流していた各社の中で、正確な仕事をしていた、ということです。
@PeacePhilosophy 乗松聡子
初出:「ピースフィロソフィー」2014.4.28より許可を得て転載しました
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2014/04/blog-post_28.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2602:140429〕
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