集団的自衛権行使は認められない-平和憲法を護り抜こう
- 2014年 6月 15日
- 時代をみる
- 「リベラル21」同人一同憲法集団的自衛権
読者のみなさんに訴える
「リベラル21」同人一同
日本を戦争の出来る国に造り変えようとする安倍晋三首相によって、「国の交戦権はこれを認めない」という、われらの平和憲法の核心部分が危機に瀕している。安倍首相はこの22日に終わる国会の会期内に、集団自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更の閣議決定を行うとして、公明党の合意を取り付けようと躍起になっている。
われわれ「リベラル21」同人一同は、平和憲法を無効化しようとする安倍首相の暴挙を絶対に認めない。今こそ読者のみなさんに、日本国中に「憲法9条」を護る闘いに参加下さるよう訴える。
安倍首相は、元外交官や御用学者などお友達グループをそろえた「安保法制懇」(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会=柳井俊二座長)の「集団的自衛権行使を容認すべきだ」との答申を受けて5月15日、これまでの歴代政府が「集団自衛権は持っているが、交戦権を認めない憲法がある以上、その行使は認められない」としてきた憲法解釈の変更を打ち出した。これは吉田茂内閣以来半世紀以上にわたって政権を維持してきた保守党=自民党の憲法解釈からの逸脱である。
8年前に亡くなった作家司馬遼太郎さんは晩年、昭和の日本が国を誤った原点として「統帥権」を論じた。司馬さんによると、明治憲法は今の日本国憲法と同じく立法、司法、行政の3権分立の憲法だった。ところが昭和に入って軍部(大本営)が、統帥権(天皇だけが軍隊を統率できる)を簒奪し、閣議決定より大本営が日本の進路を決定する権限を持つようになった。それこそが、第2次世界大戦への積極的参加と惨めな敗北という、日本にとって20世紀最大の悲劇を招いた原因である。
昭和史研究者の保阪正康氏は、昭和の日本軍部が「統帥権干犯を許さない」という独善論に立って、独伊日の3国枢軸ファッショ体制に加わり、第2次世界大戦を戦った歴史を回顧、結果として日本が連合国に敗れたのは軍部の独善論の過ちの結果だと論ずる。安倍首相が「閣議決定」で従来の憲法解釈を変えようとするのは、閣議決定が政治を縛るべき憲法より上位にあるという、いわば「統帥権至上主義」に匹敵する「とんでもない」憲法解釈を押し通すことを意味する。これこそが憲法学者たちがこぞって、安倍首相の立憲主義無視の「集団自衛権」論を批判する論拠である。
統帥権を利用した昭和の軍閥が起こした「大東亜戦争」の過ちを反省したわれわれ日本人は、時代錯誤かつ歴史修正主義の安倍晋三首相が唱える「集団的自衛論」で、われらが世界に誇るべき平和憲法を否定することを許すことはできない。「リベラル21」をクリックして下さる広範な読者のみなさまとともに、憲法9条を護り抜く闘いを続ける決意をあらためて確認する次第です。(2014年6月15日)
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