電力システム改革の課題
- 2014年 6月 27日
- 交流の広場
- 田中一郎
日本経済新聞が「経済教室」の紙面に特集して掲載した「電力システム改革の課題」(日経 2014年6月16日~20日)というシリーズ記事です。この問題について、日経にしては珍しくコンパクトによくまとまっていますので、ご参考までにお送り申しあげます。
ご承知の通り、我が国の電力自由化については、記事にもある通り、昨年2013年11月に第一次の改正電気事業法が、2014年6月には第二次の改正電気事業法が国会で可決成立しています。もともと我が国の電力自由化は、1990年代半ばから、大手地域独占電力会社9社の強い反対を受けて右往左往しながらも、経済産業省主導で進められてきましたが、とうとう2000年代前半の自民党政権の時代に、家庭向け及び零細企業等小口ユーザー向け電力の自由化が実現しないまま、電力自由化政策自体がとん挫してしまいました。状況を転換させたのが福島第1原発事故で、大手地域独占電力会社の筆頭格の東京電力が事実上経営破たんして発言力を失ったほか、全国の原発が運転停止を余儀なくされる中で、電力供給の不安定性や電力料金の理不尽な値上げなど、電力の地域独占市場の欠陥が露呈し、電力自由化の再着手を余儀なくされました。
しかし、ことはそう簡単にスムーズに運びそうにはありません。依然として大手地域独占電力会社9社の電力自由化に対する反対の姿勢は根強く、また、原子力発電部門への執拗なまでのしがみつきも目に余るものがあります。また、大手地域独占電力会社9社は、日本最大の「抵抗勢力」ということもあって、地域及び中央・東京での政治力や社会的影響力も大きなものがあり、今後の自由化のプロセスについては、再びの紆余曲折が予想されています。
自由化のステップは報道されている通りです。
【第1段階】広域系統運用機関(仮称)の設立
【第2段階】電気の小売業への参入の全面自由化
【第3段階】法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保、電気の小売料金の全面自由化
(参考)電力システム改革、専門委報告書の要旨
http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS0803D_Y3A200C1EE8000/
(参考)電力自由化の解説(経済産業省、NHK、日経)
(1)
ro%2Flaw%2Fpdf%2F20131015002%2F20131015002-2.pdf&ei=pmCrU57FAY7GkQXQtoG4CQ&usg=AFQjCNGoNFDw9Euojz7WIGMh_0-g8e_Xxw&sig2=5VhFn-XAOhBgK
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(2)http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/151277.html
(3)http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0200R_S3A400C1MM0000/
(参考)ウィキペディア 電力自由化
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E8%87%AA%E7%94%B1%E5%8C%96
(参考)電力自由化FAQ
http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_d6/9_info/top/e-faq.htm
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