風向きが変わった
- 2014年 8月 10日
- 交流の広場
- 熊王信之
閣議決定で実質上の改憲を試みる安倍政権の驕り昂ぶりに地方選挙結果が冷水を浴びせた格好になったのが滋賀県知事選ですが、高級紙ではなかなか書けない程に切り込んだのが日刊ゲンダイでした。
その書き出しです。
「自分の地位や権利をカサに着る者は必ず凋落する。驕りたかぶる安倍政権の終わりが見えてきたのではないか。
13日投開票が行われた滋賀県知事選は与党の完敗だった。当初は与党候補の圧勝ムードだったが、自公が推薦した元経産官僚の小鑓隆史氏(47)はみるみる失速。事実上の一騎打ちは、元民主党衆院議員の三日月大造氏(43)が約1万3000票差で制した。この結果には安倍首相も真っ青になったはずだ。普通の首長選とは重みがまるで違うからだ。」
琵琶湖のある土地で従来から環境保護には熱心な政治家を擁していた滋賀県では、安倍政権の進める原発推進に拒否感もあったのでしょうが、影響が大きかったのは、解釈改憲の策動であるのに間違いは無いでしょう。
ともあれ、これで日刊ゲンダイ曰くの「首の皮一枚残ったこの国の民主主義」であるのは間違いが無いと思われます。 風が吹いたのです。 しかもその風向きが変わったのです。
今回の選挙は、安倍政権に反対する広範な国民に多くの教訓を与えてくれましたが、第一番には、あの無様な無能を曝け出した民主党の政治家であっても、支持基盤を確りと作り、安倍政権の政策に正面から対することが出来れば戦えるし、勝てる、と言うことです。
滋賀知事選 自民敗北…首の皮一枚残ったこの国の民主主義 日刊ゲンダイ 2014年7月14日
年内には沖縄県知事選と福島県知事選があり、来年には統一地方選挙です。 地方では、地方に固有の難題を抱え、バブル崩壊後の地方経済疲弊の中で財政難の自治体が超高齢化社会への対応を始めとした難問に呻吟しています。 中でも、基地問題と原発事故を含めた災害復旧の課題を抱えた前記の自治体首長選挙は地方自治の今後が掛かっていると思われます。 安倍政権が進める宗主国への忠誠と財界の要求実現を取るのか、それとも日本人の大多数が暮らす地方の今後を取るのかが問われる選挙になるでしょう。
勿論、憲法を憲法が定めた正規の手続で改正し、改正後の憲法の規定に基づいて法律を制定するのが本来の道を踏み外し、閣議決定に依り解釈を変更する等と云う法治国家にあるまじき姑息な手法を取った安倍政権を野放しにするようなことがあっては国家の未来はありません。
ことは、防衛問題に止まるものでは無いのです。 法により国家統治を行う定めの法治国家の基礎を揺るがした罪責が問われるのです。 このような行いは、嘗ての日本に於いても存在しました。
大日本帝国憲法の時代に、憲法学者の憲法理論が難に会ったのです。 所謂、天皇機関説事件です。 そもそも憲法学の理論では当然の理屈ですが、国家を法人と見做して、天皇を国家機関とする見解です。 法律理論では当然で、如何に当時であってもこの見解は行政庁の事務にあたっても当然とされ、言わば公定の見解であったのですが、軍部を始めとした軍国主義・神国主義の利権拡張のために排斥されたのです。 その主張によれば、国家は天皇の私物になり、税金は天皇の収入になるのですが、そんな理論が通じる相手では無かったのです。
「歴史は繰り返す、一度目は悲劇で、二度目は喜劇で」、と云いますが、国民の選挙における選択で、今回の安倍政権の行いが喜劇になるかも知れません。 少なくとも、地方選挙でその幕開けをしなくては、大団円とはなりません。
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