国際アピール「日印原子力協定を放棄せよ」
- 2014年 8月 16日
- 交流の広場
- SATO Daisuke
インドのナレンドラ・モディ首相が8月31日から来日し、
9月1日に日印原子力協定締結について会談を行う予定です。
福島原発事故を引き起こした日本が海外に原発を輸出すること自体が
容認しがたい行為ですが、核保有国であるインドへの原子力協力など、
とうてい受け入れられるものではありません。
この事態を食い止めるため、ぜひとも皆様のご賛同をお願いいたします。
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日印原子力協定を放棄せよ!
安倍晋三首相とナレンドラ・モディ首相への国際アピール
インドのナレンドラ・モディ首相が、8月末に来日します。そして9月1日に行われる安倍首相との会談では、懸案となっている日本とインドの原子力協定締結に向けた交渉が一気に進む可能性があります。この問題を懸念する日本、インド、そして世界の市民は、両首相が協定に関する交渉を即刻停止することを求めます。
この協定は、人々の反対を無視して暴力的に原発を推進しているインドを舞台として、世界の原子力産業に息を吹き返させるものです。そうなれば、福島原発事故後に積み上げられてきた脱原発の努力は、すべて水泡に帰することになります。さらにこの協定は、インドの核兵器が正当化され、外国から核技術が提供されるという、受け入れがたい前例を作ることにつながります。
福島第一原発事故は、原発で過酷事故が起きるとその被害が広く深く社会といのちを、未来にわたってむしばみ続けるものであることを世界に知らしめました。この事故によって、日本国内では原発新規建設や増設は言うまでもなく、既存の原発の再稼働も非常に難しい状態になっています。
国内のこうした状況の中で、安倍首相は斜陽となった日本の原子力産業を延命させるために、諸外国と次々に原子力協定を結び、原発を輸出していこうとしています。すでに多くの原発輸出計画があります。国内では今も福島原発事故によって多くの人々が苦しんでいるというのに、原発事故とその悲惨な結果を経験した日本が、積極的に原発を輸出しようとするなど、非常に恥ずべきことです。
とりわけ、インドとの原子力協定は多くの受け入れがたい問題をはらんでいます。インドは核兵器を保有しています。そして核不拡散条約に加盟せず2度の核実験を行いました。日印原子力協定が締結されれば、それは事実上インドの核兵器を正当化することになります。さらには、インドが輸入された原子炉や核燃料を民生用原子炉に使い、国内で生産されるウランをすべて自由に核兵器製造につぎ込むとしたら、日本から提供された核技術がインドの核兵器拡大を後押しすることにつながります。この協定が締結されれば、日本がインドの核兵器製造に関与してしまうことになります。
そのようなことを容認するなら、それは広島と長崎で被爆した人々への冒涜であるだけではなく、世界の核廃絶へ向けた動きの中で日本が果たしてきた役割は地に落ちるでしょう。
安倍首相、あなたはまるで原子力産業の大使であるかのように、各国を歴訪しています。あなたの世界観では、原発や核技術の輸出が日本経済復活のカギなのでしょう。世界中で「福島原発事故の経験と教訓」「安全な原発の提供が我が国の責務」と語っておられるようですが、まともな教訓を得ていれば、安全な原子力などというありもしないものに固執し続けるのではなく、詳細で実現可能な避難計画を立てようとするのではないでしょうか。日本の責務は、いかに原発のない社会を実現していくのかの道筋を行動で示すことであって、米仏の圧力に同調して日印原子力協定に狂奔することではないはずです。インドの原発市場がどれほど利益をもたらすものであっても、それらの原則を破ることは許されません。
モディ首相、インド政府はこれまで「福島原発事故が人々に及ぼす影響はそれほど重要なものではない」という見解を示しています。日本滞在中に福島へ行って、今も終わっていない原発事故が人々の暮らしをどのように脅かしているのかを、ご自分の目で見てきてください。あなたがもし被害者の立場に立って考えるなら、原発を推進するという考えはそこで断念されるはずです。被害者の側に立たないならば、福島を語らないでください。
両首相に強く求めます。日印原子力協定の締結に向けたすべての話し合いを放棄し、締結を断念してください。そして、核も原発もない未来を共に目指すと確認してください。福島事故後の世界においては、核も原発もない未来をいかに実現するかについて話し合う英知こそが求められているのです。
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