孫崎享氏のツイート「集団的自衛権、中国脅威、前原大臣、武器輸出、ミサイル防衛、医務官派遣・・・」
- 2010年 11月 21日
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- ミサイル防衛中国脅威孫崎享武器輸出集団的自衛権
集団的自衛権
『日本の論点2011』:私の「集団的自衛権は米国が日本を戦闘に巻き込むのが狙いー国益に反する」掲載。過激なタイトル恐縮。日米安全保障関係の最大の問題点は極めて重要な案件について、しばしば目的、内容を国民に正確に伝えることなくとり進めてきたこと。集団的自衛権もまた、この範疇。 日本の多くの人、小泉元首相の「日本を守るため一緒に戦う米軍が攻撃された時、集団的自衛権を行使できないのはおかしい。日本が攻撃された場合には米国と一緒に行動できるような形にすべきだ」発言を基礎に考察。この論理間違い。安保五条「日本国の施政下の領域で、いずれか一方に武力攻撃があった時、自国の憲法に従い共通の危険に対処と規定。、「日本を守るために一緒に戦っている米軍が攻撃された時には日本は行動をとること」は条約上の義務。集団的自衛権は何を狙っているのか。安保条約の実質的改定。一つは範囲。安保条約では、領域を「日本国の施政下の領域」。今一つは場合。安保条約では「一方に対する武力攻撃」という場合に限定。有識者会議は集団的自衛権行使に関する四の個別事例研究:①弾道ミサイル防衛②公海上③イラクなど復興支援で一緒に活動④PKO活動時。これらは小泉発言と全く無関係。この流れ2005年の「日米同盟 未来のための変革と再編」と同じ流れ。自衛隊を国際舞台で米国戦略と一体に使う動き。サミュエルズMIT教授の「在日米軍基地と日米同盟を世界的な安全保障戦略の道具として利用するのは米国の明確な意思」の一環。かつ今日の米国戦略は世界の平和と安定に貢献?、否。提言の一つ米国に向かうミサイルを打ち落とせるか。北朝鮮のミサイル、アメリカへ行くのに日本上空を飛ばない。ロシアの上。残念ながら日米安全保障関係論議に詭弁横行。集団的自衛権論議の根幹は、60年安保で国益擁護に「軍事協力を極東、攻撃される時に限定」枠組。その撤廃を意図
(21日、『日本の論点2011』・集団的自衛権2~6」)
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尖閣
講演等で「前原大臣が尖閣は安保条約の対象を引き出した」ことの評価を問われる。整理:a:1996年以降米国は尖閣につき、領有権で日中のどちら側にもつかない、但し尖閣は日本の管轄地で有り安保条約の対象と繰り返し発言。今回目新しいものでない、b:尖閣が安保条約の対象であることと米国が軍事的介入をする保障と異なる点を指摘したのは96年モンデール大使(同人は直後大使退く)、b歴史的には1952年の安保条約について、当事者の責任者ダレスは「日本の安全と独立を保障する如何なる条約上の義務を負っていない」と述べた経緯有り。地位協定等60年安保52年踏襲。安保保条約第五条は「自国の憲法上の規定及び手続に従つて行動する」と言っている。米国では戦争宣言を行う権利は議会。従って米国が条約上負う義務は議会に諮るもで。これをNATOの第五条と比較すれば違い明確。NATO:「武力攻撃が行われた時には個別的又は集団的自衛権を行使し北太平洋地域の安全を回復・、維持に必要と認める行動(兵力の使用を含む)を個別的に及び共同して直ちにとることにより、攻撃を受けた締約国を援助する」違い歴然。2005年『日米同盟未来のための変革と再編」の役割分担で島嶼防衛は日本と明記。自衛隊守れなければ管轄は中国。安保対象外
(19日、尖閣1~4)
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中国脅威
11月4日付wt紙uscc関連で更に「中国のミサイルは米軍基地を破壊できる」で「80の中・短弾道弾、350のクルーズ・ミサイルで在日米軍基地を破壊できる」と報道。この記事では対象米軍基地であるが日本のどこでも対象。現在中国は非核兵器でもこれだけ対日攻撃可能。日本に反撃兵器なし。我々米軍、中国に圧勝と思うも、米軍基地は中国攻撃にここまで脆弱。今後中国ミサイル増強し脆弱性強化される。核に関し過去記載。一部再録。ターナー元CIA長官の読売新聞インタビュー{八六年)「日本の防衛に核ミサイルを米国本土から発射することはありえない」「我々はワシントンを犠牲にしてまで同盟国を守る考えはない」「米国が外国と結んだ如何なる防衛条約も,核使用に言及した者はない」,日本に「核の傘」有りは幻想。日本の自衛隊に中国脅威に対抗出来る能力全くない。米国核分野で助けることない。非核で米軍基地脆弱なら、日本のため中国との参戦当然躊躇。日本に軍事的対抗手段、米国を考えてもほとんどない。ならどうするか。紛争回避のシステム構築以外ない。独仏のように密なる経済等関係構築もモデル。この中、尖閣で「棚上げ」「日中漁業協定」の枠組み壊す前原大臣の責任は重い。これを考えないマスコミの責任重い。オピニオン・リーダー?
(17日、11月4日付wt紙、中国脅威2~3、中国脅威)
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武器輸出
朝日16日「武器輸出、民主が”解禁”案。完成品の海外移転は平和構築や人道目的に限定」と報道。自民党時代でも武器輸出の原則は維持。民主党は『自民党でも行わなかった解禁を今何故実施する必要があるか、説明責任が或る。何故か。「我々は自民党よりも世界政治で武力を行使する必要を認める」と明言したらどうか。基準の「平和構築や人道目的に限定」は茶番。人道目的に限定される武器輸出とは何か。言葉の遊びは止めて貰いたい。世界ではイラク戦争批判が中心、他方防衛白書は自衛隊イラク派遣を正当化。アフガンもオバマ大統領を始め、各国撤退を模索。この中、日本は平和構築努力を増すとの認識、何を見ているのか。民主党の心ある人々へ。フランシス・フクヤマは近年の米国動きを予防戦争と見、「予防戦争は何ヵ月何年先の脅威除去、国家主権尊重、既存の政府と協力をするというウェストファリア条約以来の(西欧安全保障の根幹の)概念を捨てた」との言を学んで欲しい。「平和構築のための武力使用」は武力使用を抑制し国家主権を尊重し、外交、法で平和を構築する流れと違う。民主党の理念と違うはず。民主党が今何故自民より右の理念の支配下なのか不思議。多くの民主党議員、今、真剣に考える時。本当にこれでいい?無知は弁明にならず
(17日、武器輸出1~4)
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前原大臣・北方領土問題
新聞記者の私への話:自民党総裁選出馬クラスの人が自分(記者)に「今の民主党政権は自民党タカ派の右をいく政策を実施している」と内話した。然るべき公的地位にある人の私への話:前原大臣は自分の行っている事が周恩来時代(注日本側田中首相)、平和友好条約(トウ小平と園田外相)の枠組み(棚上げ)と反するものであることを充分承知している、かつそれを壊すものであることを解った上で実施している。(孫崎注;「棚上げ」は中国が日本の管轄を認め、中国側より武力使用をしないことを認めたもの。これを外せば紛争阻止の機能消滅。日中危機をバネに日本の対米依存強化。しかし長期的に尖閣発端の紛争時,米軍出動の保障無し。将来日本当然ながら一人で対中脅威に向かわざるをえない事態。これに何故気付かぬ)
対ロシア極めて重大な局面。コメルサント紙15日、ロシアは、歯舞・色丹の2島引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言に基づいた交渉はもう行わない、と報じた(朝日)。共同宣言は「日本国の要望にこたえ日本国の利益を考慮歯舞群島・色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。諸島は平和条約締結後に引き渡される」ロシア合意違反。菅内閣重大局面。日本が尖閣で「国内法で粛々」と述べたのを利用され大統領の北方領土訪問、これに適切対応出来ず今約束も反故。ここまで”なめられる”状況。厳しく抗議すべき時。はたして今の菅ー前原ラインで対応出来るか。
spa,[日中対立を仕組んだのはアメリカだった!」で森田実と私のインタビューが雑誌の中核に。こうした論調無いだけに他ジャーナリズムどう見ているか。一石投じれば良い。このツイッターでの関心も高く、spa5のリツイットは99。で私のケースの最高。根本は前原氏への疑念。
(16・17日、新聞記者の私への話、前原大臣1・2、北方領土問題1・2、spa)
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ミサイル防衛
米国が日本に最も強く求めるものにミサイル防衛。私はその意義全く認めてなかった。秒速二キロの速度、それも日本のどこを攻撃するのか,東京か,横浜か,名古屋、大阪、福岡?更には国会、銀座、大手町、新宿、防衛など出来ないことは少しでも理科系の思考あるなら即解ること。しかし『日米同盟の正体』で・「ミサイル防衛システムが巡航ミサイル、爆撃機による攻撃に対しても実質的に無力であることを認識すべき。向かってくる爆撃機ですら撃墜できる可能性は三~三〇%」というペリー元国防長官の言引用(p236)。しかし「日米同盟未来のための変革と再編」で役割分担で日本の行うべきこと、トップにミサイル防衛。その理由がどうしても分からなかった。しかし次の文献を見て疑念解消。capaccio著「中国ミサイル攻撃は米軍基地を閉鎖出来る(Chinese missiles could close US bases in attack で理解。米国は日本を守るために求めていたのでない。米軍基地を守るため。記事「米国公的機関USCCは17日に報告書発表予定。内容:中国のミサイル(非核)は在日米軍基地を攻撃し閉鎖する能力あり。嘉手納、三沢、横田破壊可能。中国クルーズミサイルは昨年より30%増大。米空母も脅かされる。ミサイル防衛、早期警戒システム開発すべき。軍需産業に+」。理解した。日本を守るなら広すぎ,目標多すぎ意味なし。しかし米軍基地に絞れば意味発生。ここまで従属しているのか。改めて驚愕。ミサイル防衛支持者よ。東京を守るのでない。
(15日、ミサイル防衛1~5)
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日米首脳会談・医務官派遣
成功の雰囲気。但し二つ重大な問題。一つ沖縄。一つ同盟深化。管総理「知事選後改めて私なりに最大の努力」、「知事選挙前と異なる動きをしますよ」という台詞。選挙選以降、政府対大衆の激しい戦いの構図か。より深刻は「同盟深化」,同盟は軍事中心。軍事協力深化、これを今後追求 管総理の「自衛隊員医官等10人規模で派遣」の意味深刻。述べてきたように医官派遣→警護の自衛隊派遣→警備のため戦闘参加→戦闘部隊派遣の流れ米国は当然意図。米国の戦略は『予防戦争」、未来の脅威の排除。これは国連憲章など日側の伝統的考えー武力使用の抑止、主権尊重ーと異なる思想考察の参考紹介。アフガン活動してきた日本国際ボランティアセンターの懸念。1. 現在のアフガンでは軍事的アクターによる解決は困難、2アフガン国民は、非軍事の平和的なアプローチによる日本政府の支援に感謝。、自衛隊の医官は外国軍の一員と理解され、反政府勢力のターゲット 代替性と費用対効果の問題(、NGO、JICAや日本赤十字社は医療専門家派遣による医療支援、アフガニスタン人医療従事者への教育を継続し、高い評価。 文民で高い効果の活動をなぜ派遣経費のかさむ自衛隊の医官、看護官でなければいけないのか。今回の派遣検討が何故まったく国会内で議論をされないのか。孫崎:医務官派遣は一見人道的。真の狙いは軍事。日米首脳会議で発言される位の重要性保持。管政権次々となし崩し。国民発言必要。
(14日、日米首脳会談、日米2、医務官派遣1~3)
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SPA
spa取材に来る。最新号受領。表紙「絶対バレない!完全浮気マニュアル」、冒頭私から:何故取材?、私は尖閣諸島棚上げ論。船長逮捕すべきでないと言う論。国民の8割以上逮捕当然の考え。私の論紹介しても売り上げに貢献せず。何故?中国脅威煽ったら売れるでしょう」,spa答え:私はジャーナリスト。現在の大手マスコミ中国悪者を煽り逮捕当然。異常。煽ってどうする。報ずべきことある。だから報ずる。ジャーナリストとして当然」,びっくりした。こんな啖呵聞くの久しぶり。で取材対象者を聞く。私と森田実。一見共通項は「はぐれ者」。私は森田実氏に実は感謝。昨年『日米同盟の正体』出版時、自分のブログで3度も「日本人必読の書」と紹介。これで読まれる契機に。今回の報道タイトル「日中両国は損をしてアメリカだけが得をする」「感情的な嫌中、反中が加速し、行き着く先は軍事的な衝突になる危険性を孕んでる状況は、“国益”があることなのか? 「日中対立の黒幕は前原、そしてアメリカ」「大マスコミの論調は揃って強硬姿勢支持、歴史を学べば係争地の公権力行使は危険、軍事衝突の可能性を内蔵、普天間問題で、日本国内では日米安保見直し論。そんな中で尖閣問題、こうした論調が全て吹き飛んだ。日米安保の意義を再評価する流れ。棚上げ”路線を破棄、敢えてこの時期領土問題という寝た子を起こした前原誠司外相前原を操るは、アーミテージやマイケル・グリーンのジャパン・ハンドラーズ、彼が海上保安庁に指揮権を持っている国交大臣時に尖閣問題が起きたというのは偶然ではない。spa発売16日。女性購入難が残念
(以上は13日、spa1~5)
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孫崎享氏のツイートhttp://twitter.com/magosaki_ukeru
を許可を得て転載。孫崎享氏は元外交官・防衛大学校教授。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1094:101121〕
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