輸出低迷、少子高齢化など、「アベノミクス」に暗雲
- 2014年 8月 26日
- 時代をみる
- 池田龍夫
アベノミクスの先行きに〝黄信号〟が灯り、「7~9月期」から景気が浮揚するだろうか。財務省が8月初めに発表した2014年上半期(1~6月)の経常収支は、前年同期の3兆3131億円の黒字から5075億円の赤字に転落した。上半期の赤字転落は初めてだ。円安や消費税増税前の駆け込み需要で輸入が増えた一方で、輸出が伸び悩み、貿易赤字が1996年以降で過去最大になってしまった。
財務省が8月20日発表した7月の貿易収支によっても、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は9640億円の赤字。赤字幅は前年同月より6・6%縮小したものの、25カ月連続の貿易赤字に変わりはない。厳しい経済状況が心配されるが、渡米中の黒田東彦日銀総裁は22日、「7~9月期から景気は回復していく。経済見通しの変更は必要ない」との考えを、内外記者団に表明している。
毎日新聞19日付夕刊が「アベノミクスに暗雲」との見出しを掲げ、「輸出低迷の原因は、日本企業の海外生産が進んだこと。国内市場の長期縮小、突き詰めれば少子高齢化が要因です」と、エコノミストの分析を報じていた。池尾和人慶応大学教授が「高度成長期は内需が経済を引っ張ったが、この『勝利の方程式』が通用しなくなった時代状況を認識して、国内で全てを賄おうとせずに、国際分業を目指すべきでしょう」と指摘していた通りであろう。
安倍首相の信任厚い黒田日銀総裁のカジ取りがうまくいくかどうか。日本経済は楽観できない状況に追い込まれている点を深刻に受け止めなければならない。
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