菌交代症が世上を漂う日本
- 2014年 9月 25日
- 交流の広場
- 熊王信之
世上は、朝日新聞の誤報(と云うか虚報)を巡って騒がしいそうです。 伝聞調なのは、私は、日本の新聞や週刊誌等とは縁を切っているからですが、要は、15年戦争時の従軍慰安婦制度を巡って、当時の植民地であった韓国や中国等から慰安婦として多数の女性が軍に依る強制徴集等の直接的関与で慰安婦になることを強いられた事実があったかどうかなのでしょう。
翻って、当時の日本では、女性は人権が軽んじられ、人身売買は通常一般的に行われていた訳ですから、日本人の慰安婦も何らかの「強制」で性の奴隷として売買の対象になっていたことは事実ですし、そうした女性の人権事情がある国に植民地にされた国ならば、日本軍の軍人が直接的に慰安婦の徴発や管理に携わっていなくても、何等かの「関与」があるに決まっています。 言わば、そうした事情があったことを推察するには不自然は無いものと思われます。
安倍政権を筆頭に、こうした醜態を当時の日本とその軍隊が体質として保有していた事実を否定したいのが本音でしょうから、否定するのは自然の成り行きです。 神国日本の神聖な軍の兵士が女性の肉体を弄ぶ唯の下種野郎の集団であった事実には眼を背けたいのでしょう。 それに否定したい事実は、日本軍の性奴隷のみでは無いでしょう。
根本的には、15年戦争が侵略戦争であった事実を否定し、大東亜共栄の神聖なる本願成就を願い理不尽為る米英等の不逞の輩を成敗するための聖戦であった、としたいのでしょうから、その不逞の輩の頭目であった米国に膺懲の一鉄を加えるのが真の狙いかも知れません。 否、そうでなければ論理が貫徹しないでしょう。
此処で、突然、私自身が本夏に罹患しました耳鼻咽喉科領域の疾病の話に移ります。
有る日、突然に左耳が耳詰まりになり不快で堪らずに耳鼻咽喉科の女性医師の診察を受けましたところ、外耳道炎の診断で、抗生物質入内服薬や点耳薬等の処方を受けて数日後には快方に向かったものの、再度の耳詰まりに困惑して医師に訴えたところ、今度は、外耳道真菌症の診断結果となり、またもや連日の通院となった次第です。
その原因は、菌交代であったのです。 詰まり、炎症の原因である細菌を退治したところ、それまで潜んでいた真菌(カビ)が蔓延り、耳詰まりになったのです。 菌培養に依り真菌の正体を突きとめて対応した措置をして貰った結果は、数日で快方に向かったのですが、耳鼻咽喉科医師の適宜の診療方針の転換には感心しました。
日本の世上は、この菌交代です。 これまでは、護憲・民主が売れ筋であったものが、戦前回帰現象が強まると護憲・民主から菌交代です。 戦前回帰の流れは、絶えてしまったことは無く、伏流として潜んでいただけで、要するに主役交代期が訪れただけです。 旧社会主義諸国の転覆した時期が転換期であったのでしょう。 それまでは、論壇でもマルクス主義が大手を振って歩いていましたし、革新政党も倍増していました。
菌交代が起こる原因は、日本人が農耕民族だからでしょう。 日本人のDNAには、農耕民族固有の集団主義的要素が濃厚なのでしょう。 一村挙げて田圃の苗付の時期に、俺は、一緒にせず野菜を作る等と云い出す村人が居ると農耕社会が崩壊しますから。
そうした観点から観ますと、日本の歴史は菌交代に満ちています。 尊王攘夷が何時の間にか消えてしまい髷を切って牛鍋をつつくようになった時代もありました。 そう思えば、今度の菌交代の時期にはどうなるのかと今から楽しみです。
蛇足ですが、朝日新聞自体が、菌交代の時期にあるのでしょうね。 今度の事件を境に。
朝日新聞も戦前のことを思えば被害者面は出来ないでしょう。 時勢の赴くまま適宜に仮面をすり替えるのがお上手ですから。 新聞は売れないといけませんものね。
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