米議会「辺野古移設」を巡る知事選を厳しく分析
- 2014年 10月 12日
- 時代をみる
- 池田龍夫
沖縄県知事選挙(11月16日)まであと40日。現職の仲井真弘多氏(75)と那覇市長の翁長雄志氏(63)、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)らが立候補を表明し、選挙戦の行方は混沌としている。特に仲井真氏を推す自民党も党本部と県議会との調整に苦慮しており、辺野古移設反対を掲げている翁長氏の動向が注目される。
「県内移設は断念しかみちはない」
米国議会は、このような状況を察知してか、厳しい現状分析をまとめた報告書を提出した。琉球新報10月4日付社説で「米議会報告書、県内移設断念しか道はない」との見出しを掲げて詳報していた。米側の分析に頷ける点があるので、その概略を紹介する。
「米議会調査局が公表した報告書では、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画に関する沖縄県内の状況について『仲井真知事の決断(埋め立て承認)にもかかわらず、ほとんどの県民が政治、環境、生活の質など複合的な理由から新基地に反対している』と分析した。8月末の県内世論調査では辺野古移設に向けた海底ボーリング調査について80・22%が移設作業は中止すべきだと回答。普天間問題の解決策を県外・国外移設や無条件閉鎖・撤去を求める意見の合計が79・7%に達した。もはや辺野古移設が現実的でないことを日米両政府は直視すべきだ。
安倍政権と県民との対立を懸念
さらに報告書はこう記した。『安倍政権は仲井真知事の承認を得るために重大な時間と金を投じてきたが、重大な遅れなく、また県民との対立をこれ以上深刻化させることなく基地建設を進めるため、さらなる政治的資源を投じ続けなくてはならないだろう』。米側が政府と県民との対立が深刻化していることに強い懸念を示していることが分かる。知事が政府の意向に沿うよう埋め立てを承認するまで『時間と金を投じてきた』」ように、基地建設を進めるためには県民に対しても政治的資源を投じるよう指南している。しかしこの部分の指摘には同意できない。県民の頬を札束でたたけば基地建設を受け入れると思っているのならば間違いだ。米政府内で普天間交渉にも長年携わった知日派重鎮の日米外交筋は、11月の県知事選で移設反対派が勝利した場合、日米政府が移設作業を強行し沖縄と『全面対決』になれば『ディザスター(大惨事)になる』と警告している。県民を懐柔して辺野古移設を継続することは不可能だと認識すべきだ。議会報告書の指摘する県民との対立の深刻化を回避する道は一つしかない。県内移設を断念することだ」――。
米報告書にあるように、県民の意向を正確に把握し、日米両政府は県外・国外移設に向けた作業にかじを切るべきだと考える。
(2014.10.6)
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