川内原発の再稼働早まるか -脱原発団体に危機感-
- 2014年 10月 20日
- 時代をみる
- 原発岩垂 弘
九州電力の川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機の再稼働が早まるのではないか、という見方が脱原発運動関係者の間で強まっている。原発の再稼働には地元の自治体の同意が必要だが、川内原発をかかえる地元自治体が同意を急ぐ動きを見せ始めたからだ。これに対し、「これまで1年余にわたり全国のすべての原発が稼働していないのは脱原発運動の成果」と自負する脱原発団体の間に危機感が広がっており、急きょ再稼働反対行動を強化する構えだ。
東京電力福島第1原発の事故から3年半になるが、全国で48基ある原発は、いずれも稼働していない。原子力規制委は電力会社から運転再開に向けて審査の申請があった20基の原発について、東京電力福島第1原発の事故を教訓につくられた、新しい原発事故対策の基準(新規制基準)に合格するかどうか審査している。安倍政権は新規制基準に合格した原発は順次、稼働させる方針で、原子力規制委は9月10日、川内原発1、2号機について安全対策が新規制基準を満たしているとの審査書を決定。再稼働に向けた安全審査の合格第1号となった。
原発の再稼働には原発から30キロ圏内の自治体の議会と首長、それに県議会と県知事の同意が必要なので、これに向けた県と原子力規制委による地元住民への説明会が10月9日に薩摩川内市で開かれたのを皮切りに、これまで、日置市、阿久根市、さつま町で同様の説明会が開かれてきた。20日に、いちき串木野市で同様の説明会が予定されており、これで地元住民への説明会は一応終了することになる。この後は、県レベルでの合意是非が焦点となる。
脱原発運動関係者によると、こうした段階を迎えて、再稼働へ向けた新たな動きが出てきたという。
それによると、20日に薩摩川内市議会の原発特別委員会が予定されているが、その場で原発に関する14件の陳情が処理され、原発再稼働を求める陳情を採択し、再稼働反対陳情を不採択とする可能性が濃厚という。特別委では、原発再稼働に賛同する議員が多いからだ。それを受けて、同市議会は今月28日に臨時議会を開催して原発再稼働を求める陳情を採択、時を置かずして市長が「再稼働同意」を表明するのでは、とその脱原発運動関係者はみる。
その脱原発運動関係者は、さらに続ける。「鹿児島県議会と県当局も薩摩川内市の議会と市長の動きに呼応した動きをみせており、このままゆくと、県は今月27日~28日に原子力規制庁と経済産業省の担当者を参考人として招いて審査し、11月上旬にも臨時県議会を招集、原発再稼働を求める陳情を採択する。それを受けて伊藤祐一郎県知事が再稼働同意を表明するのではないか。その場合、第一の地元である薩摩川内市が再稼働に同意したのだからと理由づけられるだろう」
脱原発運動関係者によれば、運動関係者の間では、もし川内原発の再稼働があるとすれば来年の2月だろう、との見方がこれまで強かったという。鹿児島県知事の再稼働同意宣言は12月上旬になるのではとの見通しが有力だったからだ。それだけに、運動関係者は「再稼働へ向けた地元自治体の手続的作業が、いわば1カ月前倒しとなったようにみえる。となると、来年1月にも再稼働があるかもしれない」と危機感を募らせる。
これに対し、鹿児島県内の93団体が加わる「ストップ再稼働!3・11鹿児島県実行委員会」は16日、拡大会議を開いた結果、「説明会は住民の理解がすすむ運営となっていない」として、公開討論会の開催を求めて行くことになった。そして、20日に薩摩川内市議会に対し抗議行動を行う、26日には川内原発近くの海岸で集会とデモを行う、28日には薩摩川内市議会臨時議会に抗議行動を行う、などのスケジュールを決めた。実行委は、川内原発再稼働反対の全国集会を再び鹿児島市で開くことを検討している。
東京では、再稼働阻止全国ネットワークが、「九州電力は川内原発の再稼働を断念せよ」のスローガンを掲げて26日午後2時から、有楽町で九州電力東京支社への抗議行動を行う。
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