韓国初 住民投票で拒否された原発誘致(石坂浩一 『世界 2014.12』より)=日本の原発立地自治体も韓国の三陟市に続こう 他
- 2014年 11月 14日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
最初に若干の情報です。
1.吉田調書報道「公正で正確な姿勢欠けた」 報道と人権委:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASGCD4WQJGCDUEHF00F.html
2.特集ワイド川内原発の再稼働、鹿児島県知事が同意 地方への差別じゃないか – 毎日新聞
http://mainichi.jp/shimen/news/20141110dde012040002000c.html
3.イスラエル・パレスチナ関連
(1)イスラエル国家の廃止を呼びかけるP・コーヘン提案をどう読むか 板垣雄三
http://www.huffingtonpost.jp/yuzo-itagaki/peter-cohen_b_6139436.html?1415719
(2)終わることのないパレスチナ紛争の根因:それをどう正すか Peter Cohen
4.遺伝子組換え食品
(1)有機農業ニュースクリップ:■ポテトチップ用GMジャガイモ 米国で栽培規制撤廃
http://organic-newsclip.info/log/2014/14110640-1.html
(2)有機農業ニュースクリップ:■厚労省:モンサントのGMスイートコーン2品種を承認
http://organic-newsclip.info/log/2014/14110640-2.html
(参考)有機農業ニュースクリップ
5.郊外住宅地の見えない空き家
http://www3.nhk.or.jp/news/akiya/
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◆ 韓国初 住民投票で拒否された原発誘致(石坂浩一 『世界 2014.12』より)=日本の原発立地自治体も韓国の三陟市に続こう
今月号(2014年12月(の岩波月刊誌『世界』に掲載された「韓国初 住民投票で拒否された原発誘致(石坂浩一(立教大学
教員)著)」という小レポートです。日本と同様に、原子力ムラ代理店政府による強引な原発推進に対して、新たな原発立地にされそうになっている江原道・三陟市(サムチョク)の住民らが、2014年6月の統一地方選挙で、故郷を原子力ムラに売り渡す前市長をすげ替え、新市長の下で実施されようとした住民投票に対する政府による妨害をもろともせず、民間主導の住民投票で、圧倒的多数による「原発いらない」の民意を明らかにしました。
原子力ムラとその代理店政府がやることは、日本も韓国も同じのようです。原発・核燃料施設は、必ず過酷事故を起こし、それが立地する地域全部を放射能の汚染地帯に変え、立地地域を事実上不毛の地と化し、滅亡させてしまいます。日本のように、大地震・大津波・大火山噴火の列島のようなところであれば、韓国以上になおさらのことです。
この日本でも、来年春には統一地方選挙が予定されていますし、昨今のマスコミ報道では、衆議院総選挙も近そうです。原発立地の自治体の住民のみなさまは、来る選挙で、是非とも「原発NO!」の「民意」をはっきりと示していきましょう。安倍晋三・自民党政権は、民意を全くと言っていいほど無視して暴走を続けています。今度こそ、この暴走政権を地域住民の手で葬り去り、自民党の暴走にストップをかけましょう。
それが、これからの日本の行く末、原発立地地域の未来を救う「救国」「愛郷」の道です。
● 韓国初 住民投票で拒否された原発誘致(石坂浩一 『世界 2014.12』)
(一部抜粋)
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(前略)、原発の新規立地を求められている地域住民は、自主的住民投票で明確なNOの意思表示をした。韓国東北部の江原道にある三陟市(サムチョク)の住民たちである。
三捗はかつて1982年に原発建設候補地に指定されたが、住民がたゆみない反対運動を展開し、16年後の98年に指定を撤回させた。ところが、原発の新規立地を模索していた韓水原は2010年11月26日、三陟など四地域に対し原発建設誘致申請を行なうよう要請し、12月16日に三陟市は韓水原に誘致申請書を提出した。
かくして申請を受けた韓水原は、翌2011年の12月23日、原発新規建設候補地に三陟と慶尚北道盈徳(ヨンドク)を選定したことを発表したのである。政府としても知識経済部(省)が12年9月、三陟を原発建設予定地として公式告示した。ちなみに、三陟と隣接する慶尚北道の郡部では、蔚珍郡ですでに原発が6基稼働しており、その南側が盈徳郡になる。さらに南に下ると月城原発、そして釜山に近づくと古里原発がある。政府の計画では、これから建設する予定の原発八基のうち、四基を2024年までに三陟に建設するという。
(中略)そこで、地域の人びとは選挙に地域の命運をかけることにした。6月4日投票の統一地方選挙において三陟市長候補として出馬、明確な「反核」を掲げ原発建設反対を表明した無所属候補が、原発建設反対運動に関わってきたキム・ヤンホ氏であった。キム・ヤンホ候補は原発に代わる政策として、太陽光発電テーマパーク建設などを掲げ、2万5948票、62.4%を得票して見事当選を果たした。また、三陟市のある江原道知事選挙でも新政治民主連合のチェ・ムンスン候補が再選、脱原発の実現に希望をつないだ。
(中略)キム・ヤンホ市長は、住民の真の意向を確認するため、当初から住民投票を行なうことを計画していた。韓国でこれまで、原発建設について地域住民の意向を問う住民投票が行なわれた例はなかったが、8月19日に市議会に原発誘致撤回のための住民投票同意案を提出、同意案は26日に通過した。市は住民投票法に基づく住民投票を実施するため、三陟市選挙管理委員会に住民投票実施を求めたが、政府はとれに対し9月1目、原発誘致申請の撤回は国家の事務であり、住民投票の対象にはならないとして、法による住民投票を認めないことを表明した。
このため、三陟原発誘致住民投票管理委員会が設置され、民間主導の住民投票として10月9日、投票が実施されることになったのだった。民間主導の投票のため、個人情報公開同意書に署名、この地域の有権者であることを示したうえで投票する手続きが取られた。住民投票には、有権者4万2488人のうち2万8873人(67.9%)が投票、原発誘致については84.9%が反対との明確な結果が示された。有権者の57.6%が反対を表明したことになる。
(中略)一方、産業部をはじめ政府の関係省庁は、住民投票は法的に無効であり、考慮の対象としないとの立場を繰り返している。だが、民意を無視した拙速な原発誘致には批判的な雰囲気が強く、盈徳でも同様の住民投票を試みようとする動きが始まっている。江原道の周辺自治体でも住民投票の結果を受け入れる雰囲気が広まっており、チェ・ムンスン知事もこの結果が葛藤に終止符を打つきっかけになればよいとの立場を明らかにした。
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5047:141114〕
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