日本が向かうべき道は非武装永世中立国 -世界平和アピール七人委が憲法問題で訴え-
- 2014年 12月 6日
- 時代をみる
- 世界平和アピール七人委員会岩垂 弘憲法
世界平和アピール七人委員会は12月5日、「日本の岐路と日本国憲法の重み」と題するアピールを発表した。同委員会は、日本国憲法が危機に瀕しているとの判断から、今回の衆院総選挙にあたっては憲法問題が重視されるべきだとして、このアピールを急きょ発表したものだ。アピールは首相官邸、各政党にも発送した。
世界平和アピール七人委員会は、1955年11月、世界連邦建設同盟理事長で平凡社社長の下中弥三郎の提唱で、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の有志の集まりとして結成され、国際間の紛争は絶対に武力で解決しないことを原則に、日本国憲法の擁護、核兵器禁止、世界平和などについて内外へのアピールを発表してきた。今回のアピールは、発足から114番目のアピール。
七人委員会の発足時のメンバーは、下中のほか、茅誠司(東京大学総長、日本学術会議会長)、平塚らいてう(日本婦人団体連合会会長)、湯川秀樹(ノーベル賞受賞者、京都大学教授)らだったが、現在のメンバーは武者小路公秀(国際政治学者、元国連大学副学長)、土山秀夫(病理学者、長崎大学名誉教授)、大石芳野(写真家)、小沼通二(物理学者、慶応大学名誉教授)、池内了(宇宙論・宇宙物理学者、総合研究大学院大学名誉教授)、池辺晋一郎(作曲家、東京音大客員教授)、髙村薫(作家)の各氏。
アピールの全文は以下の通りだが、自民党の憲法改正草案を「大日本帝国憲法の復活を画している」とし、さらに、「安倍首相が……国会を軽視し、選挙期間を除き国民を無視するのは、国務大臣として、国会議員として、尊重し擁護しなければならない現行の日本国憲法に明らかに違反している」と述べ、「日本が向かうべき道は安倍政権と与党が進もうとしている道でなく、全世界の諸国と友好関係を維持する非武装永世中立国だということになる」としている。
日本の岐路と日本国憲法の重み
世界平和アピール七人委員会
今年の日本は、安倍政権が、集団自衛権の行使容認、特定秘密保護法、原発再稼働への動きなど国民の批判が強い問題につき、説明を尽くして国民の支持を得ようとするのでなく、強権的に既成事実作りに走り続けるという、前例のない年であった。しかも政府与党は、年末の衆議院選挙によって、小選挙区制の下での多数の野党の存在という状況の中で、相対多数を占めることができればすべての政策に白紙委任状を手に入れたとすり替えて新年を迎えることが予想される。
ひるがえって日本国憲法を見れば、前文の最初の文章は、「日本国民は、・・・主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」となっている。第11条は、「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。」とされ、第99条に、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」と書かれている。
これは、この憲法が施行される前の大日本帝国憲法が、明治天皇(朕)によって現在及び将来の臣民に対し「不磨ノ大典」として宣布され、「現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ」と書かれていることと全く逆である。
ここで自由民主党の日本国憲法改正草案(2012年4月27日)を見ると、最初の文章が「日本国は・・・」から始まり、「国民主権」と言いながら、「国は・・・」を繰り返し、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」(第102条)としている。これは、世界の民主主義国家の憲法と違い「国」が国民に与える憲法の草案になっており、大日本帝国憲法の復活を画していると言えよう。
安倍首相が、最高責任者の自分が日本の理想や国の在り方、未来への針路を決めると高言して、国会を軽視し、選挙期間を除き国民を無視するのは、国務大臣として、国会議員として、尊重し擁護しなければならない現行の日本国憲法に明らかに違反している。
日本は、現在重大な岐路に立っている。日本国憲法の前文と第9条を素直に読めば、日本が向かうべき道は安倍政権と与党が進もうとしている道でなく、全世界の諸国と友好関係を維持する非武装永世中立国だということになる。抵抗があり、回り道があってもこれは国連の基本精神とも合致する方向である。世界中の人々が戦争の惨禍を避け安心して安全に生きていくために、実現を目指して共に一歩一歩進むべき道であると確信する。
連絡先:世界平和アピール七人委員会事務局長 小沼通二
メール: mkonuma254@m4.dion.ne.jp
ファクス: 045-891-8386
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2833:141206〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。