IPPNWドイツ支部からの情報:UN原子力機関はフクシマについての真相を否定
- 2014年 12月 9日
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- グローガー理恵
原文(独語)へのリンク:
IPPNWプレスリリース (2014年12月1日付)
UN原子力機関はフクシマについての真相を否定
ドイツ連邦国会・科学研究調査局がIPPNWの論評批判を取り上げる
2014年12月1日
(和訳:グローガー理恵)
ドイツ連邦国会の科学研究調査局 (der Wissenschaftliche Dienst des Deutschen Bundestages)は、国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)のフクシマ報告書を評価する上で、IPPNW医師団による論評批判を取り上げている。
科学研究調査局発行の情報文書には、IPPNWによる幾つかの重要な批判点が引用されている。引用されているのは、例えば、①UNSCEAR委員会の委員構成に、いかに原子力国家(複数)が強い影響力を及ぼしているのか、②透明性に欠けるデータベース、③経営会社-東電による不正問題、④破損された原子炉(複数)から絶え間なく放出される放射性物質などについてである。また、情報文書は、現在すでに、被災地域の子供たちの間で、予期されなかったほどに多数の甲状腺異常が発見されたことにも言及している。
科学研究調査局は、フクシマに関しての存在するデータに基づき最終的リスク評価を出すことは不可能であり、長期的研究調査が必要であるとの結論に達している。
10月末には既に、9ヶ国から40以上のNGO(非政府組織)が、IPPNWによる論評に基づき、国連総会の担当委員会にUNSCEAR報告書の改訂を要求した*。更に、彼らは、UNSCEARを原子力産業の影響/勢力から脱させてUNSCEARの本来の役割を果たすことができるようにすべきであるとして、UNSCEARの改革を要求している: UNSCEARの本来の役割とは、すなわち、電離放射線によってもたらされる健康影響について中立的な科学研究調査を行うことである。
「我々は、UNSCEAR委員会の委員たちがフクシマ原子力災害による広範で複雑なデータを評価する上で、かなりの努力を費やしたことを知っている。しかし、現在においても今後将来においても”識別可能な健康影響なし”という彼らの結論は、常識では受け入れられないものであり、UNSCEARの信頼性を蝕み破壊するものである」と、UN宛の公開書簡*には述べられてある。
その間、明らかになったことは、UNSCEARが今年、日本の外務省から7100万円(約48万3千ユーロ)の金を受け取り、福島の住民に産業や政府にとって都合のよい情報を提供し「放射線によってもたらされる影響に関しての余計な心配を取り除くようにすること」を頼まれていたことである。
「そのような虚偽の約束で福島の人々は救われません。彼らが待ち望んでいることは、公正な現実に即した情報であり、医療支援であり、何よりも、健康への、そして健康な環境で生活することへの侵すべからざる人権が認められることです。このことが、フクシマにおける健康影響を評価する上での指針となるべきでです。;経済や政治の権益ではなく…」
と、IPPNWドイツ支部理事会メンバー、そしてIPPNWによるUNSCEAR報告書の論評の共著者であるアレックス・ローゼン医師は述べる。
以上
(注)
*NGOが出した「UNSCEAR報告書を改訂せよと要求する」共同声明書の和訳:
http://hrn.or.jp/activity/topic/-4unscear/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2835:141209〕
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