マンション生活で知り得た社会問題を考える (4) -マンション管理の会計問題―Ⅱ-
- 2015年 1月 17日
- 評論・紹介・意見
- マンション住宅問題住民自治羽田真一
簡易裁判所調停申立ては、結果はどうであれ考えようによっては、理事会が全く無視してきた「会計の公開」問題を表に引きずり出す成果はあったと思っている。しかし、その後の経過は未だに閲覧が実現できていない。現実が示すように、管理規約第78条[理事会は会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿およびその他の帳票類を作成・保管し、組合員の請求があったときには、これを閲覧させなければならない] があるにもかかわらず、理事会の巧妙な策略対応で実行できないでいる。それをどこに訴えれば良いと言うのか。
2013年10月4日の3度目の調停終了後、当方から申し入れて2度ばかり理事長との閲覧実現の話合いの場を持ったが、調停後に掲示された管理組合ニュースのウソに対する、要領を得ぬ言い訳ばかりであった。1回目話合いで理事長が話題を出さなかった閲覧に関する制度試案をいきなり理事会に提出審議した(当方は傍聴者で発言禁止になっている)。その内容は、①閲覧できるリストは2冊まで、②閲覧で知り得た情報は内外に漏らすな、③申し込みは前日正午まで、閲覧は平日午後6時から7時の1時間、④閲覧には管理人か理事が立ち会う、⑤閲覧ごとに誓約書を出せ、⑥上記に違反したものは6か月閲覧停止 とほぼ同内容の理事会傍聴制度運用細則(ペンデイング審議せず)であり、明らかに当方の文書配布と絡め、それを止めさせる脅しに使ってきた。そもそも細則制定は総会承認事項であって即実施は不可であり、明らかに閲覧を阻止するための時間稼ぎに過ぎず、その約2週間後の夕方、管理人を通して閲覧時間の緩和と罰則を和らげただけの修正案と誓約書をファクスしてきた。これを認めるなら閲覧を理事長が許可すると伝えてきた。住民の権利である組合会計の閲覧に文書配布禁止を絡めて、なぜ罰則が付けられるのか説明もなく納得ができないので当然拒否した。
1. 要望書制度の導入と凍結
私は先立つ5月の総会で「これまで理事会はいくら要望を出しても採り上げない。住民が要望を提案し理事会が審議する仕組みを作れ」と訴えたところ、6月の新理事長で初めての理事会で管理人が別の子会社で使っている要望書式例を提示してきた。その理事会で採用するかどうかの決議は曖昧のまま、運用方法もきちんと議論しなかった。それで理事会後改めて当方の要望主張を管理事務所に提出した。内容は、①氏名は要望者として記名(匿名不要)、②要望には理由を明記する、③理事会と要望者は双方向で議論の後、収斂した回答を公表する を申し入れた。以前から認めていた要望を提示された書式で提出した。数か月たって当方が数件要望し、他の一名の要望者を含めて10件ばかりとなったところで理事長が対処しきれずたまる一方となった。すると三役の一人が一度その要望者と話し合うかと切り出した。即ち、要望内容が理事会に不都合な即答できないものが増え、要望制度が煩わしくなり、その要望者を封じ込めようとの意図が見えた。理事会の言う「話し合い」は相手を沈黙させる手段であり、それは過去に実績があり、当方に内部告発があったことで裏付けられていた。(当方)提案者には相談せず、その住民一人とだけ話し合って、①全て匿名とする、②回答は理事会のみで審議し回覧すると決めた。理事会支配の典型的事例である。当方の要望が組合の会計システムの公開に言及するようになり危ないと見たのであろう、何と1年足らずで理事会で勝手にこの制度の一時凍結を決めてしまった。この理事会は自分たちに都合の悪いことになると、いつも勝手な理由を付けて独断でシャットアウトする。理事会記録のICレコーダー貸出し禁止(初めは推奨していた)、理事会資料の配布ストップなど、理事会のキャッチフレーズ「安心安全のためにオープン化を心掛け」に堂々と逆行して平気な集団に開いた口が塞がらない。理事会の、匿名で一方的な回答の要望制度は、悪用すれば理事会に都合の良い要望のでっち上げができると考えられ、反対意見を提出したがいつものごとく無視された。凍結を決めておきながら、なんとその恐れが最近現実のものとなった。7月に一住民の要望として当方の文書配布差止めの要望が出され、その日のうちに審議決議されていることの異状さが議事録から読み取れる。
2. さらに会計閲覧拒否の巧妙な作戦
当方の最後の要望書は、前管理人時代の会計システムを明らかにせよ、具体的には管理組合に[管理費*]収納の3つの決済用銀行口座以外にいくつ普通預金口座通帳があるのかというものであった。これは理事会の会計不正疑惑の本丸の問題と思っている。新管理人(2012年5月赴任)はファクスで組合の現金振込用銀行口座通帳は1つしかないと答えてきた。しかし、当方の質問の2012年度以前の通帳に関しては言及してこない。自分はいなかったから知らないとの態度である。理事会に誠意があれば調査して答えることができるはずである。善意の管理(積極的に自ら事を進める管理)を絶対にやらないのが当マンション管理組合中枢の特徴である。
2014年5月定期総会の資料原稿を見て驚いたことに、表紙に「今回より、1か月の間、管理事務所において、平成25年度の会計帳簿(複製本)の自由閲覧を行う」と記してあった。
「誠意をもって見せる」と調停では約束しながら、罰則付きの閲覧細則、次にその修正で閲覧実行不可能な条件を提示して時間稼ぎをした挙句、当方の要求を対象年度を代え、実物資料でなくコピー(偽造を恐れる)・言葉だけの自由閲覧(これまでどれだけ制限条件を付けてきたことか)と見事にはぐらかし、「閲覧させている」証拠に記録として残し世間を欺くためであろうと。こんな手に乗ると「実行したのに来なかった」との言質を取られるのが落ちである。逆にどこまでも見せたくないほどの不正会計実績なのだと確信してしまう。残念ながら、他用で3か月間理事会の傍聴に行けなかったが、理事長や管理人が口頭や掲示板を使って「会計の公開と閲覧日を設けるから」と閲覧の誘い水をかけてきたが、今日に至るまで、当方の閲覧対象を明確に記述した文書で示してこない。後で追及されることを考えた究極の回避方法である。当方には過去の経験があるから[ 上宅騒音トラブル時の音源隠し、前管理人の履歴書提出逃れ、理事長報酬の遅延工作など] 騙される恐れがあり、これに応じてはならないと考える。
さすれば、見せろ-見せない のイタチごっこで会計不正疑惑を解明するという目的は達成されず遠のくばかり。彼らは時効も視野に入れているのではと思ってしまう。住民には当方の手紙文書で繰り返し知り得た情報を伝えてあるが全く動く気配はない。とうとう理事会は最近「文書配布差止請求書」を内容証明付き郵便で送り付けてきた。それに応じないでいると、区分所有者の共同の利益に反するもの(区分所有法)として「会計問題」ではなく「文書配布」を議題として臨時総会を開き(12月6日)、刑事告発するぞと脅してきた。明らかに本末転倒である。何故なら管理規約があるのに会計帳簿類の公開閲覧を3年近く阻止しているからから、内外にどちらが正しいかを判断してもらいたく文書配布をしているのだ。そこまでして見せられないものなのかと思ってしまう。不正がなければ堂々と示して見てください、で済む話なのだ。勿論、不正が見つかれば、公共機関を使って次の段階に進めるつもりである。
3. 真に会計不正を未然に防ぎたい
真に公平な公の場で信頼できるアンパイヤの前で議論を戦わしたいと願っている。彼らの言う公の場は理事会などで、アンパイヤから参加者まで全てが彼らの仲間であり、とっちめ・吊し上げの場なのだ。すでに何度も経験したが、力と数でねじ伏せに来る。今度の臨時総会も、まず意見交換会と称してお前に10分以内で「弁明」の機会を与えてやる、本会では30分の「弁明」を設定したから出てこいと。しかし、どう見ても組合員住民と理事会とは人間として対等であるべきで、彼らの一方的な支配命令に従わなければならない根拠はないと考える。私は公共機関の前で30分だけの説明を許されて満足に相手に理解させたことはない(最近、ある公共機関で前以て全貌をまとめた資料を渡して読んでもらった上で、議論したが1時間半かかった経験がある)。
会計はオープンであることと客観性ある正確さを確保することが基本である。管理組合の信頼は厳格な会計によると肝に銘じることである。管理中枢の独占を許さず、信頼のおける住民による会計監査委員会を設けチェック機能を持たせること。会計ルールに精通し、ルール破りを監視し、必要な客観書類(端的には銀行口座通帳の記載)があるかなど。年1度の総会に出される管理費決算・予算表を住民が検算できるよう内容内訳を添付する事(誰かが確認すること) [現実には、組合の銀行預金口座残高証明書さえ添付されてこなかった。集計表数字の内訳検証が不可な場合が多い] 管理費の出資者である組合員住民(管理会社は1銭も出していない)のお金を守る気概を持ってほしい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5126:150117〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。