デジャヴ
- 2015年 1月 19日
- 交流の広場
- 熊王信之
仏風刺週刊誌編集部襲撃事件を境に、言論の自由を新たな大義名分にした「対テロ」軍事行動に更に積極的に関わることになりそうな彼の国ですが、私には、デジャヴのような感覚があり、何を重ねているのだろうと考える間もなく、9.11の一連の情景が浮かびました。
今のフランスは、あの当時のアメリカなのでしょう。 フセイン・イラクの大量破壊兵器保有疑惑に端を発した侵攻作戦にドイツとともに真っ向から反対の論陣を張った彼の国が、何とも脆くも、民族主義的情念に駆られて官制デモに結集され、扇動され、一気に一方向を向いたように対イスラム国軍事行動に傾くのですから、本当に怖い傾向です。
勢い、フランス議会は13日、イラクでの過激組織「イスラム国」に対する仏軍の空爆を継続していくことを決議した、との報道にあるように戦争にものめり込んで行くことになるのでしょう。 「フランスはテロとの戦いに直面している」と訴え、議会に継続承認を求めるバルス首相の顔付は、眉間に皺を寄せて、如何にも決死の覚悟で対テロ軍事行動を決定した何処かの国の大統領にも似ています。 否、そっくりですね。 真似でもしているのでしょうか。
変われば変わるものです。 それほどに、テロを命題にすれば国論を一定方向に誘導し易いのでしょう。 フランスは、原子力航空母艦も派遣するそうです。 これで、イスラム国対策での軍事行動、それも空爆中心の御気らくで無責任な戦争にフランスもドイツも参加することは確定でしょう。 良かったね、オバちゃん。 一緒に戦争ごっこが出来て、空から爆弾をわんさか落とせるので、賞味期限切れになりそうな爆弾は無くなるよね。 感心するほどに良く出来た話です。 また、何処かの陰謀好きの人士が、米帝の陰謀等と意気込むことでしょう。
対「イスラム国」で空母派遣=緊張高まる恐れも-仏 時事ドットコム
因みに、安倍総理は、中東を訪問されるそうですが、何が本題なのでしょうか。 まさか、武器の売り込みではないでしょうね。 その昔には、日本の首相が訪問され会談の際に、トランジスタラジオのセールスマンと揶揄された大物がいたそうですが、売り込める商品は、今や武器なのですから、憲法第9条、と聞いて、何処の国の憲法だ、と聞く日本人の方が多くなりそうな予感がします。
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