有志連合に加わりイスラム世界と戦う日本
- 2015年 1月 23日
- 交流の広場
- 熊王信之
「残念ながら、日本は、一線を超えたようです。」と、私は、前稿の末尾で書きました。
その理由は、戦後の長らく官民ともに営々と築き上げて来たアラブ世界との交流を、自ら断ち、イスラムの民を相手に対テロ戦を戦う米国主導の有志連合を支援するのみならず、その戦いに加わる意思を世界に示し、尚、イスラムの民が怨嗟の対象と目するイスラエルの側に立つ、との決意を内外に対して示される安倍首相を、この眼で見たからです。
邦人二人を人質に、日本政府への非難と要求を迫るIS(イスラム国)に、米国の対テロでの基本方針であるテロリスト相手の要求に応じない、との冷酷な決意を鸚鵡返しに語る安倍首相は、その背にイスラエルの国旗が翻っているのを御承知の上でであったのでしょう。
此れを見て、私は愕然としました。 一体、何時の間に、こうした国家の安全保障上の重大方針が決定されていたのでしょうか。 米国大統領が一般教書演説で、対テロ軍事行動の新たな措置の許可を議会に要求された折も折、符節を合わせるが如く、「人道援助」を御題目に容易に軍事援助資金に転換される巨額の資金提供と対テロ戦争準備ととれる湾岸諸国、中でもイスラエルを含めての諸国への訪問をされた安倍首相は確信犯とも取れる行動をされたことになるのです。
取分け、私には、イスラエルとの関係変化が、劇的に映りました。 と云うよりも、イスラエル国旗が翻る場で、あのような発言をされることを信じることが出来ませんでした。
正直に申し上げて、安倍首相は、気が狂った、としか思えません。 アラブ世界で何を巡って確執があるのかを理解されているのでしょうか。
それとも、安倍政権は、仏風刺週刊誌編集部襲撃事件のように、今回の人質事件を媒介に国内世論を激発する口実を作り、IS相手に終結せざる対テロ戦争に参加し、軍事作戦にも参加出来るように国民を誘導せんとされる企図があるのでしょうか。 それならば、始めから二人の邦人の命は無いのも同然です。 今までの安倍首相と政権要職にある方々の発言を観ていれば、二人の邦人の救出を願ってのものとは思えないものばかりですから。 彼等の心は、「その後」のことで一杯なのでしょう。
今の日本では、こうした私の危惧や恐怖は、極少数意見で、リベラル・左派を自称する方々でも、IS(イスラム国)相手の対テロ戦を語る無邪気な方々も多いのですが、優れたジャーナリストは孤独であっても優れた報道をされています。 現下の日本では、岩上安身氏が主宰されるIWJ Independent Web Journalが日本で秀逸な報道をされておられるだけでしょう。 後は、米国のメディアが客観的で懐疑的な報道をすることがあります。
【続報】イスラム国による邦人人質事件:米国主導の「イスラム国壊滅のための有志連合」に組み込まれる日本 IWJ
(この報道に関しては、私は、安倍政権は、既に組み込まれた、若しくは、自ら参加決定した、とおもっていますが。)
「はめられた」安倍総理の決定的な政治的ミス! 〜イスラエル国旗と日章旗が並ぶ前で、「イスラム国との戦い」を事実上宣言 IWJ
(この報道に関しては、私は、「はめられた」とは思わず、確信犯と受け取っています。)
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