本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(78)
- 2015年 2月 13日
- 評論・紹介・意見
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スイスの金融混乱
1月15日に、スイス中央銀行が「為替のペグ外し」を実施した。具体的には、今まで、「1ユーロ=1.2スイスフラン」という上限を設定していたものの、上昇圧力に耐え切れず、突如として、その上限を撤廃したのである。その結果として、スイスフランがユーロに対して、一日に約30%も上昇するという、極めて異例な事態が起きたのだが、このことは、「スイス発の金融地震」と考えられているようだ。
しかし、今までの推移を考えると、今回の混乱は、まだ序の口の段階とも言えるようである。つまり、過去数年間に実施されてきた「世界的な金融コントロール」を考えると、今回の事件が引き金となり、より大きな混乱に移行するものと思われるが、この時に考えなければいけない点が、やはり、「デリバティブ(金融派生商品)」の存在である。具体的には、「約700兆ドル(約8.3京円)」もの残高が存在し、しかも、約2割が「為替デリバティブ」であり、また、約7割が「金利デリバティブ」のことである。
つまり、今までは、この存在が隠されたような状況下で、「量的緩和(QE)」が実施され、結果として、世界的な「超低金利状態」が発生したのだが、このことは、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」までもが警告を発するほどの異常な事態だったのである。そして、今回、「スイス発の金融混乱」が発生したわけだが、このことは、「為替デリバティブ」の崩壊を意味しているようであり、また、次の展開としては、「金利デリバティブ」の崩壊に繋がることも想定されるのである。
具体的には、「BIS」が想定する「市場の反乱」であり、実際には、世界的な「国債価格の暴落」のことだが、この時に予想されることは、「日米欧の中央銀行が、資金繰りに行き詰る状態」である。あるいは、「先進国の政府が、大きな金利負担に耐え切れず、デフォルト(債務不履行)の危機に瀕する」ということだが、この結果として、「先進各国の中央銀行が、一斉に、紙幣の大増刷を実施する状況」も考えられるのである。
そして、このことが、私が想定する「金融大地震」でもあるが、その後に起きることは、未曽有の規模での「大インフレ」だと考えている。つまり、世界中の人々が、「預金」や「現金」、あるいは、「国債」などの「政府の信用を基に成り立っている金融商品」が信用できず、実物資産へ資金移動を始める状況のことだが、このことが、いわゆる「ギャロッピング・インフレ」であり、また、その後の「ハイパーインフレ」でもあるが、現在では、時間的な余裕は、ほとんど無くなったようである。(2015.1.16)
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フランス新聞社の襲撃事件
1月7日に「フランス新聞社の襲撃事件」が起きたが、この時に感じたことは、「この事件がきっかけとなり、世界的な金融大戦争が終了するのではないか?」ということだった。つまり、この事件は、「2001年の9・11事件」以来の「大都市でのテロ事件」であり、また、実に根深い問題が隠されているようにも思われるのだが、具体的には、「19世紀」に盛んに行われた「フランスやイギリスの帝国主義」に、根本的な問題が存在するようにも感じられたのである。
具体的には、「フランス系アフリカ人」という「かつての植民地からフランスへ移住してきた人々の苦境」が、今回の事件を引き起こした可能性である。あるいは、「行き過ぎた金融資本主義」の帰結として、「フランスのみならず、世界中の人々が、苦しい生活を強いられている状況」も想定されるのだが、これから想定されることは、世界各国で、さまざまな金融混乱が発生し、人々が、より一層、厳しい経済状況に立たされることである。
別の言葉では、今までの「世界的な金融コントロール」が効かなくなり、本当の意味での「金融大混乱」が発生するものと考えられるが、具体的には、「為替」に始まり、最も大きな問題点である「金利」に関して、信じられないような事件が発生する可能性である。つまり、現在、世界の「マネー経済」を考えると、「実体経済」の「約20倍」という、歴史的にも未曾有の規模にまで拡大しているのだが、今までは、「量的緩和(QE)」や「デフレ」などの言葉により、ほとんど、実態が隠されていたのである。
具体的には、「2001年から2007年」までが、「デリバティブの大膨張」の時期であり、実際に、「約2京円」から「約8京円」にまで規模が膨らんだのだが、その後は、「量的緩和」という「国債の買い支え」により、「デリバティブの問題」が隠されてきたのである。しかし、現在では、全ての「先送り政策」が行き詰まりを見せるとともに、本当の意味での「インフレ」が始まったようにも感じられるのである。(2015.1.19)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5182 :150213〕
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