ベルリンで元気なフクシマ事故4周年の脱原発デモ;メルケル首相も訪日を前に「日本も脱原発と再生エネルギーの道を歩むべき。安全が最高の戒律」とメッセージ
- 2015年 3月 8日
- 評論・紹介・意見
- 梶村太一郎
*写真の枚数がかなり大量でしたので、適宜編集部で選択させて頂きました。(編集部)
先日→予告しましたように本日3月7日、ベルリンでは多くの市民団体が連帯してフクシマ事故4周年の脱原発デモが行われました。
また、このデモにまるで併せたかのようなタイミングで本日、メルケル首相は9日からの7年ぶりの日本への公式訪問を前に、首相府でのビデオと政府のプレスリリースで、日本政府との会談では「恐ろしいフクシマ事故で、ドイツは脱原発と再生可能エネルギー政策を大幅に進める決断をし促進している。安全こそが最重要であるからだ。日本もそうすべきであり、また出来る。」との明確なメッセージを公表しました。
というわけで、 今回はデモの写真報告とメルケル首相のメッセージをまとめてお伝えします。
まずは、脱原発デモの写真報告です。
今年の参加人数は昨年より減って約700人ほどとなりましたが、相変わらず元気でバラエティーに富んだ、若者たちの多い元気なデモでした。日独のメディアも多く取材していましたので、報道も多くなると思います。とりあえず写真だけを掲載し、解説は後ほど付けます。
取り急ぎ、末尾にメルケル首相のメッセージを原文から翻訳しておきます。この解説も後ほど付けます。
続いて、本日訪日を前にしたメルケル首相のメッセージの首相府のビデオは→こちらから見ることができます。
その内容をまとめた→プレスリリースはこちらが原文の全文です。
そこから、脱原発と再生エネルギー促進に関する部分のみを取り急ぎ翻訳しておきます。
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Mit Blick auf den Reaktorunfall in Fukushima vor vier Jahren sagt Merkel, Deutschland habe damals sehr mitgefühlt und “weitreichende Entscheidungen getroffen, nämlich schneller aus der Kernenergie auszusteigen”. Deutschland setze jetzt sehr auf erneuerbare Energien, und sie glaube, “Japan sollte auch diesen Weg gehen – und geht ihn ja auch”. Deutschland und Japan, so die Bundeskanzlerin, sollten diesen Weg auch ein Stück zusammen gehen. Sie werde deshalb bei ihrem Japan-Besuch auch über den Ausbau erneuerbarer Energien sprechen. Vielleicht seien die Wege etwas unterschiedlich, was die Kernenergie anbelange. “Aber ich”, sagt Merkel, “kann nur aus der Erfahrung von Fukushima sagen: Sicherheit ist das oberste Gebot.”
4年前のフクシマ原発事故に関してメルケルは、ドイツは当時大変に震撼した、そして「大きな決断をしました。すなわちより早急に原子力エネルギーから撤退するということです」と述べた。現在ドイツは非常に再生可能エネルギーを促進している。そして彼女は「日本もまたこの道を歩むべきだし、それは可能だ」と信じている。だから連邦首相として、ドイツと日本は、この道の一部を共に歩むべきであると考える。したがって彼女の日本訪問でも、再生可能エネルギーの促進について話すことになる。核エネルギーに関しては、道程があるいは少し異なるかもしれない。「しかし私は」とメルケルは続けて「フクシマの経験から言えることはただひとつ:安全が最高の戒律であるということです」と述べた。
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なお、 ここには触れられていませんが、メルケル首相は、ビデオでは、上記の前に、「日独の長い自然科学の交流と協力に関しては、これからも老化する両国の生活水準を維持するためにも必要である」と強調したうえで、「自然科学だけでなく、これからは少し哲学も加えるべきだ」と、意味深長なことを付言していることを指摘しておきます。
なお、NHKは、これについて本日→夜のニュースで以下のように伝えていますので、全文を引用させていただきます。
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独首相 日本にエネルギー政策転換促す考え
ドイツのメルケル首相は日本を訪問するのを前に、ドイツが進めている脱原発政策について、「日本も同じ道を進むべきだ」と述べ、エネルギー政策の転換を呼びかける考えを示しました。
メルケル首相が9日から7年ぶりに日本を訪問するのを前に、ドイツ政府は7日、メルケル首相と福島出身でベルリンで化学の研究をしている日本人研究者との対話の映像をインターネット上で公開しました。
この中で、メルケル首相は4年前の東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「ドイツは、このぞっとするような原発事故を連帯感を持って受け止め、より早く原子力から撤退する道を選んだ」と述べました。
そのうえで、「ドイツは今、再生可能エネルギーへの転換を進めている。日本もドイツと協力して同じ道を進むべきだ」と述べ、今回の日本訪問中、エネルギー政策の転換を呼びかけていく考えを示しました。
メ ルケル首相は日本は島国で資源にも乏しいとして、ドイツと完全に同じような政策を進めるのは難しいという認識も示しましたが、「福島の事故の経験から言え ることは、安全性が最も重要だということだ」と述べ、ドイツとしては今後も脱原発政策を着実に進める姿勢を強調しました。
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ひとつだけ解説しておきます。ここででは首相の言葉が「安全性が最も重要だということだ」と紹介されてており、報道としては間違いではないのですが、厳密には「安全が最高の戒律であるということです」と翻訳すべきです。
というのも、das Gebotという言葉は、宗教的倫理的な戒律のことです。これはユダヤ・キリスト教ではモーゼの十戒、仏教では不殺生戒に始まる五戒と同じくする言葉です。
「哲学も」と述べるメルケル首相の思考を理解する上で、極めて重要な点ですのでこれも付言しておきます。
NHKも含め、安倍政権との危機認識の差を示唆する言葉ではないでしょうか?
このことを認識しないでメルケル首相の訪日では、日本政府はもちろん、9日の→朝日新聞主催の講演でも、理解の本質的なすれ違いが起きます。このことをわたしは危惧するものです。
初出:梶村太一郎さんの「明日うらしま」2015.03.08より許可を得て転載
http://tkajimura.blogspot.jp/2015/03/blog-post.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5219:150308〕
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