本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(81)
- 2015年 3月 12日
- 評論・紹介・意見
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歴史的な大天井
1月20日の「日本10年国債の0.195%」という金利は、人類史上における「最も低い記録」だった可能性が高まっている。そして、このことは、「国債バブルの大天井」を意味しており、現在では、すでに、バブルの崩壊が始まっているものと思われる。また、1月30日に記録した「ドイツ10年国債金利」の「0.304%」も、同様の状況だった可能性が高まっているが、今までの推移を振り返ると、実に、異常な事態が発生したことが理解できるのである。
具体的には、今から30年以上前の「1981年」において、「アメリカの10年国債金利」は、「約15%」という状況だった。そして、その後、世界的な金利低下が起き、現在では、多くの国々で、「ゼロ金利」や「マイナス金利」という状況になっているのである。つまり、人類史上、前代未聞とも言える事態が発生しているのだが、どのような「バブル」においても、「崩壊しない限り、その存在に気付かず、また、現状を当たり前と考えがちになる状況」が発生するのである。
別の言葉では、「30年以上も継続した金利低下」を実際に経験すると、多くの人が、新たな「常識」を作り出す傾向のことだが、実際に、現在では、ほとんどの人が、「デフレだから、低金利状態は当たり前だ」と考えているのである。そして、「お金が有り余っているために、金利は上昇しない」という認識を持っているようだが、「バブル」の恐ろしい点は、「ほとんどの人が、同じ考えを持つようになった時に、大転換が起きる」ということである。
つまり、「上昇エネルギー」が使い果たされた結果として、きわめて短い時間に、大転換が起きやすくなるのだが、今回も、同様の状況になっているようだ。しかも、今回のように、「世界的な超低金利状態」となったのは、歴史上からも、稀に見るほどの事態だと考えているが、このことは、世界中の人々が、「お金の魔力」に支配されたことを意味しているようである。
具体的には、「信用」が形になったものが「お金」であり、現在は、世界中の人々の「欲望」や「信用」が、「過剰な金融資産」を生み出し、その結果として、「超低金利状態」が発生したのである。しかし、これから想定されることは、「エネルギーの逆回転」であり、実際には、「現在のお金」に対する不信感の増幅とも考えられるが、これほどまでの異常事態に対する反動は、やはり、人類史上、最大規模のものになるようだ。(2015.2.16)
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中央銀行のレバレッジ
最近、海外では、「中央銀行のレバレッジ」を危惧する意見が増え始めたが、具体的には、「アメリカの中央銀行」である「FRB」に関して、「自己資本」が「約570億ドル(約6.8兆円)」に対して、「総資産」が「約4.4兆ドル(約528兆円)」にまで膨らんでいる点である。つまり、「約77倍ものレバレッジ」が掛けられている計算になるが、この理由としては、ご存じのとおりに、「量的緩和(QE)」の名の下に、「中央銀行の資産を大膨張させて、国債を買い付けた」という事実が挙げられる。
そして、このような「中央銀行の資産大膨張」については、「日本」や「ヨーロッパ」でも同様の状況だが、この時に思い出されるのが、「1998年」に発生した「LTCM事件」である。具体的には、ノーベル経済学賞を受賞した二人の経済学者が、自分たちの投資理論を試すために、ヘッジファンドを設立し、過剰なレバレッジを掛けたのだが、実際には、理論どおりに作用せず、倒産の憂き目にあった事件のことである。
つまり、「約100倍ものレバレッジ」を掛けて「ロシア国債」などへの投資を行ったのだが、実際には、「ロシア危機」などにより、大失敗に終わったのだった。そして、このことから得られる教訓は、「過度のレバレッジ」の恐ろしさであり、実際には、「数パーセントの値下がりにより、自己資本が消滅するほどのリスク」を内蔵しているのである。別の言葉では、「過剰な借金」と「無謀な投資」が重なると、「少しの価格変動で、投資資金が無くなってしまう」という事実のことだが、現在の中央銀行は、まさに、このような投資を実践しているのである。
具体的には、「国債価格」の下落により、「中央銀行」のみならず、「金融システム」までをも危うくするほどの投資が行われているのだが、この時に気にかかる点は、「暦のフラクタル(相似形)」である。具体的には、「2015年2月」が「戊寅(つちのえ とら)」であり、「1998年」と同じ暦になるのだが、今回は、「ギリシャ危機」が、「LTCM事件」に匹敵するような問題だったようである。
別の言葉では、大勢に影響するほどの大事件にならず、その後、「ITバブルの発生と崩壊」へと繋がっていった展開のことだが、「2000年」に相当するのが「4月」であり、この観点からは、本格的な混乱は、「4月」にまで持ち越された可能性もあるようだ。つまり、その時に、「世界各国の中央銀行」が、どれほど無謀な金融政策を実施していたのかが、世界的に理解される可能性のことである。(2015.2.16)
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