明らかとなってきた原発再稼働審査のゴマカシ(1):水素爆発対策をゴマカシ、高浜原発を川内原発より緩い条件で評価(滝谷絋一氏『科学』論文より)
- 2015年 4月 2日
- 交流の広場
- 田中一郎
(最初にいくつかお知らせです)
1.(メール転送です)(イベント情報)原子力災害対策指針の改定に関する政府交渉とパブコメ・セミナー(4/2)~SPEEDIをなぜ使わない? プルーム対策はどうなった?~(FoEジャパン)
http://www.foejapan.org/energy/evt/150402.html
●ポイントをまとめました(FoEジャパン)
http://www.foejapan.org/energy/action/150327.html
●パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198252321&Mode=0
みなさま(重複失礼・拡散歓迎)
FoE Japanの満田です。
原子力災害対策指針の改定案がパブコメにかけられています。現在の改定案は、以下のように放射性物質の影響を過小評価し、被ばくを前提としたものとなっています。
(1)SPEEDIなどの放射性物質の拡散予測の活用について削除された
(2)PPA(プルーム通過じの防護措置を実施する地域)の概念は削除された
(3)30km以遠の防護措置として、安定ヨウ素剤の配布・服用はしないこととなった
(4)もともとの即時避難の基準(OIL1)は500マイクロシーベルト/時(すなわち、2時間程度で、年間の公衆の被ばく限度に達する)、一時移転の基準(OIL2)は20マイクロシーベルト/時と、非常に高い空間線量率であった。OIL2については、たとえ20マイクロシーベルト/時を観測したとしても、1日経過した時点での空間線量率が依然として20マイクロシーベルト/時を越えているかどうかで避難指示を判断することとした。
★つまり、極端な例かもしれませんが、原発から5km以遠の地点で、490マイクロシーベルト/時を観測しても、避難指示はでず、1日経過して、依然として、20マイクロシーベルト/時であったら、1週間以内に「一時移転」という指示がでることになります。
改定案の問題点について、 事前に提出した質問をもとに政府交渉を行います。また、政府交渉後、問題点を解説・整理し、その場でパブコメを書いてしまうパブコメ・セミナーを行います。ぜひお誘いあわせの上、ご参加ください。
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原子力災害対策指針の改定に関する政府交渉とパブコメ・セミナー(4/2)
~SPEEDIをなぜ使わない? プルーム対策はどうなった?~
http://www.foejapan.org/energy/evt/150402.html
http://www.foejapan.org/energy/evt/150402.html
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◆日時:2015年4月2日(木)
【政府交渉】16:00~17:30 相手方:原子力規制庁(調整中)
【パブコメ・セミナー】18:00~19:45
※15:45からロビーにて入館証を配布します。
◆場所:参議院議員会館B107
(最寄り駅:東京メトロ・永田町駅、国会議事堂前駅)
◆主催:FoE Japan/原子力規制を監視する市民の会
◆問合せ:
FoE Japan (エフ・オー・イー・ジャパン)
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986
(当日連絡先:090-6142-1807)
2.南相馬住民、提訴へ 「避難勧奨地点解除は違法」(朝日 2015.4.1)
http://www.asahi.com/articles/ASH3X6X62H3XUGTB00G.html
(参考1)(原子力ムラ代理店)政府が住民の理解がないままに南相馬市の特定避難勧奨地点指定解除を強行=損害賠償の切り捨て、放射線被曝の押し付けと、偽りの「復興」の演出が狙いだ いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-01ae.html
(参考2)政府の原子力災害現地対策本部による南相馬市の「特定避難勧奨地点」解除に抗議します=損害賠償打ち切りと被害者住民への被ばくの押し付けを許すな いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-340b.html
(参考3)(報告)南相馬市 特定避難勧奨地点 解除! 汚染地への居住の強要に抗議する集会 いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-62e5.html
3.牛肉骨粉で養殖魚エサ 解禁(朝日 2015.3.31)
http://www.asahi.com/articles/ASH3Z4S70H3ZULZU011.html
(一部抜粋)
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欧州の研究者による魚を使った実験で、BSEの病原体が魚を通じて人などに広まるのは「非常に困難」との結果となった論文(2006年)などが根拠だ。米国、カナダ、豪州は養殖魚のエサに牛肉骨粉の使用を認めている。欧州連合(EU)は禁止している。
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4.原発避難訓練34%どまり(東京 2015.4.1)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG31H6J_R30C15A3CC1000/
先月(2015年3月号)と今月(4月号)の岩波書店月刊誌『科学』に掲載されました滝谷絋一氏の2つの論文です。
滝谷絋一氏は元原子力安全委員会事務局の技術参与だった方で、原発・核燃料施設規制実務の「プロ」でいらっしゃいます。その滝谷絋一氏が、このほど設置変更許可申請の認可を得た高浜原発3,4号機の「水素爆発」対策の審査内容について、驚くべき「審査のゴマカシ」を告発されています。以下、その件で簡単にご紹介申し上げます。
(1)検証・高浜審査書(案):水素発生量の評価を川内審査より緩めて爆発防止基準に適合とする判断は認められない(滝谷絋一 『科学2015.3』)
(2)高浜審査書(案).水素発生量評価についての規制委員会の考え方への反論(滝谷紘一『科学 2015.4』)
<岩波書店月刊誌『科学』>
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/
(一部抜粋)「検証・高浜審査書(案):水素発生量の評価を川内審査より緩めて爆発防止基準に適合とする判断は認められない(滝谷絋一 『科学2015.3』)」
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結論
高浜3・4号機の新規制基準適合性の審査書(案)における水素爆発防止対策の有効性評価を検証した結果,以下が明らかになった。
(1)規制委員会は, 容融炉心・コンクリート相互作用(MCCI)による水素発生量の評価について,川内1・2号機の審査書よりも緩めた取り扱いにもとづき水素爆発防止対策は有効であるとする関西電力の評価結果を、保守的であるから妥当と判断している。この評価で依拠した解析コードMAAPによるMCCI解析結果は保守的ではないので,この規制委員会の判断は誤っている。
(2)川内1・2号機と高浜3・4号機の聞でMCCIによる水素発生量の取り扱い方を変更する科学的根拠はないので,高浜審査においても先行の川内審査と同じ取り扱いをして安全性を厳しく評価すべきである。そうした場合には、高浜3・4号機での水素濃度最大値は約14.8%であり,判断基準の13%以下を満足できず,新規制基準に不適合となる
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