「基地の固定化を口にするのは政治の堕落」・・・仲井真前知事もそう語っていた
- 2015年 4月 8日
- 時代をみる
- 醍醐聡
2015年4月7日
4月5日の菅官房長官との会談の中で翁長・沖縄県知事は、<辺野古がだめなら、世界一危険な普天間基地の移設先について代案を示せ、でなければ普天間基地の固定化につながる>と主張する菅官房長官ら政府の言動を指して、意に反して強制接収された基地あるがゆえに辛酸を味わってきた沖縄県に向かって「こういった話がされること自体が日本の国の政治の堕落ではないかと思う」と厳しく批判した。
実はこれと同旨の発言を、今から約2年半前に前任の仲井真知事がしていたことを記しておきたい。
「知事、普天間固定化は『堕落』 政府姿勢を批判」
(『琉球新報』2013年11月2日)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-214699-storytopic-53.html
この記事のなかで仲井真・前沖縄県知事が2013年11月1日に行われた定例記者会見の中で次のような発言をしたことが伝えられている。
「仲井真弘多知事は1日の定例記者会見で、米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古沿岸部の埋め立てを知事が承認しなければ、普天間が固定化するとの考えが政府内にあることについて『固定化という発想、言葉が出てくるのは一種の堕落だ』と強く批判した。県外移設を求めている知事として、辺野古移設か固定化の二者択一を迫る政府の姿勢をけん制した形だ。・・・・・ 『(役人が)固定化と軽々言うのは自分が無能だと表現することだ。・・・・』と厳しく指摘した。」
このような発言を原資料で確かめようと沖縄県のホームページを検索すると知事公室名で、仲井真知事(当時)の定例記者会見録全文が公表されていた。該当する質疑の個所を引用しておきたい。
沖縄県知事公室 マスコミ発表(定例記者会見:平成25年11月1日)
「記者 普天間に関して、知事が先ほどから実現可能性と言うことをおっしゃいましたが、知事が東京に行かれた際等々に政府に取材をしますと、辺野古が駄目なら固定化しかないといったような声も取材する中では聞こえてきます。・・・・
知事は今後、この問題が固定化するのではないのかという懸念について、どのように思っていらっしゃるのかということと、今後、辺野古の承認申請を判断されていく際に知事が最も重視されること、固定化を防ぐということなのか、それとも名護市の地元の民意を重視されるということなのか、いろいろ判断する基準というのがたくさんあると思いますが、知事としては何を最も重視して判断していかれるお考えなのか、お願いします。」
「知事 政府のどの筋の方の見解か知りませんが、固定化ということの意味を、軽々にお使いになるのは、自分が無能だという意外の表現なのです。そういうものを、もし、重要なポストにある方がおっしゃるとすれば、なにをかいわんやで、県民国民の上から同盟国の機材が落ちてくる、場合によってはもの凄い惨事になりかねないという、東京で言えば銀座4丁目のようなものです。よく日比谷公園を例に出すのは、あれは結構広いから。もっとクローズに、民家がぎっしりなっているでしょう。青梅街道のどこかの真ん中でやるような状況です。皆さんご覧になればすぐ分かるはずなので。そういうものを固定化するという発想、言葉が出てくるということ自身が、一種の堕落だと思います、政治家として。もし政治家がおっしゃったとすれば、とんでもない話で、国民の生命財産、特に、フィージブルかどうかというのを頭に置いて、きちんと決めていくべきもので、その原点みたいなところに疑問を持たれたのでは、信頼できる政治でも政治家でもないでしょう。それを避けるというのはまず原点ではありませんか。ですから、それをイージーに口にされる人がいたとすれば、その人は、その任に置いちゃ駄目だと思うくらい問題がある発言だと思います。・・・・」
【醍醐コメント】
この仲井真前知事の発言からすれば、菅氏は官房長官の任に置いてはダメな、無能な人となる。
また、こう言ってから1ヶ月半後に、「普天間基地の危険性除去が最優先と称して、辺野古移設を容認した仲井真氏もまた政治家の堕落の極みと言わなければならない。
白梅学徒看護隊自決之壕(糸満市国吉)
2014年11月13日 撮影
初出:醍醐聰のブログから許可を得て転載
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2952:150408〕
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