5月27日(水)九電福岡本店行動 /公開質問状: 社長は川内再稼働に当たって説明責任を果たせ
- 2015年 5月 9日
- 評論・紹介・意見
- ストップ再稼働!3.11鹿児島集会実行委員会
鹿児島3・11実からの、 5月27日の行動とリレーデモの案内を転送します。
★5月27日(水)午後3:00より九電福岡本店に、乗り込みます。2:00九電前集合。
1.10万人以上の署名手渡し(署名用紙添付)
2.公開質問状に対する回答を得る(公開質問状添付)
この2点です。道理なき再稼働、一切の責任なき再稼働は許さない、という強い決意で臨みます。
これまでは、時間切れ、再交渉の約束という形で引きさがりましたが、今回はそうはいきません。
徹底して深夜に及ぶ交渉も辞さず、きちんとした回答を引き出します。
★5月16日、鹿児島をスタートして、12日間311キロデモを敢行し、27日九電福岡本店に乗り込みます。本日記者会見しました。
「ストップ川内原発再稼働! 311キロ リレーデモ」です。
5月16日(土)AM9:00 照国神社前集会後10:00スタート。3号線を北上します。(デモコース<スケジュール>を添付)
途中参加大歓迎。ぜひ、ご参加、呼びかけてください。
この件の問い合わせ先は 岩下090-4759-2927
★311キロリレーデモの報道5/8
KTS http://news.ktstv.net/e56515.html
【動画】再稼働阻止を求めて311キロリレーデモへ
川内原発の再稼働を阻止しようと、県内の市民団体が、鹿児島市から福岡市の九州電力本店まで300キロ余りをデモ行進すると発表しました。
市民団体は、今月16日に鹿児島市の照国神社前を出発し、12日間かけて福岡市の九電本店までおよそ311キロを歩いてリレーしながら、川内原発の再稼働反対を訴えるということです。
九電は川内原発1号機の再稼働を7月中旬に計画していますが、市民団体は「九電は、説明責任を果たしていない」と反発していて
デモ行進の後、これまでに集めたおよそ10万人分の再稼働反対署名を九電に提出することにしています。
KKB http://www.kkb.co.jp/news_move/jchan_move_detail.php?news_flg=2¶m1=20150508¶m2=184401¶m3=1
再稼働阻止求め311㎞リレーデモへ
九州電力・川内原発の再稼働に反対する市民団体が、鹿児島ー福岡間の長距離デモを予定しています。5月16日に鹿児島市の照国神社を出発し、デモをしながら福岡の九州電力本店を目指します。1日20人ほどが参加して12日間でおよそ311㎞を歩く計画で、最終日は九電に住民説明会の開催などを要請する予定です。
——————————–
ストップ再稼働! 3.11鹿児島集会実行委員会
事務局 向原祥隆
〒892-0873鹿児島市下田町292-1
TEL099-248-5455
FAX099-248-5457
info@nanpou.com
——————————–
九州電力株式会社
社長 瓜生道明様
公開質問状
社長は川内再稼働に当たって説明責任を果たせ
2015年4月21日
ストップ再稼働!3.11鹿児島集会実行委員会
共同代表 橋爪健郎、荒川譲、井上従昭、井上森雄、
税所孝樹、宍道紀代美、下馬場学、鳥原良子、
橋口孝久、松薗孝夫
事務局 向原祥隆 〒892-0873 鹿児島市下田町292-1
TEL 099-248-5455 FAX 099-248-5457
九州電力は2013年7月8日、川内原発1・2号機の再稼働へ向けた「適合性審査」を原子力規制委員会に申請し、2014年9月10日、原子力規制委員会は審査書を取りまとめました。これを受けて、同年11月7日、鹿児島県議会は再稼働推進陳情を採択し、同日、伊藤祐一郎鹿児島県知事は再稼働受け入れを表明しました。
しかし、福島では未だ12万人の人々が故郷を奪われたままであり、放射能は放出され続けています。これだけの被害を出しながら、原因の究明も中途半端なままで再稼働につき進む電力業界に対して、国民の同意が得られているとは到底言えません。川内原発についても、安全上の問題が数多く指摘されています。鹿児島県、全九州の住民はもとより、大多数の国民は同意していません。
今一度、安全上の課題に関する公開質問状を提出します。5月末に予定されている公開の場で、回答及び説明を求めます。合わせて私たちは、再稼働の前に、福井地裁の認めた250km圏内自治体での公開説明会を強く求めます。
住民への十分な説明がないままに、再稼働に踏み切ることは、公的責任を負う電力事業者として断じて許されないものであるということをご認識のうえ、私たちの要請にお応えいただくようお願いいたします。
1.地震問題について
【その1】
① 2013年2月、政府・地震調査委員会は、九電がこれまで国に報告していた原発周辺の活断層評価を大幅に見直す報告書を公表した。例えば甑海峡中央断層などは、16km→38km、マグニチュードも6.8→7.5に評価し直した。委員会の議事録を見ると「委員:(九電の)解釈はとにかくひどいものである」と酷評している(西日本新聞2013.6.21)。
ところが、九電は2013年7月、川内原発1・2号機の再稼働へ向けた「適合性審査」を原子力規制委員会に申請した際、地震調査委員会の報告を無視し、従来の九電評価のまま提出した。規制庁の職員からも「ふざけるな、ですよね」と発言があった。安全の側に立つべき事業者としてあり得ない対応だと考える。この対応に対する社内での反省、社内処分等の体制の変革があったか明らかにしていただきたい。
②また、地震調査委員会2013.2報告書は「今回の評価対象に含まれていない断層が活断層である可能性も否定できない」と、さらなる追加調査を求めている。どう対応したのか、外部識者を含めた調査・検討が行われたのかを含めて明らかにしていただきたい。
③地震調査委員会議事録では、今回評価した断層(甑断層FA及び甑海峡中央断層FC)が、川内原発に一層近づく可能性も示された。「それは膨大な作業になり保安院(現・規制委員会)のやるべきことである」と記されている。この件についてどう対応したのか、外部識者を含めた調査・検討が行われたのかを含めて明らかにしていただきたい。
④川内原発北側1kmの川内川河口推定断層は橋本他論文(1972)によって広く知られている。最近になって、川内川河口の両岸に20~30メートルのMIS5e(12.5万年前の海成段丘面)があり、下山論文(1999)には河口-36.1メートルにMIS5eの記載があることが注目されている。これは河口が50~60メートル陥没構造にある、つまり活断層であることを示すものである。この件についてどう対応したのか、外部識者を含めた調査・検討が行われたのかを含めて明らかにしていただきたい。
⑤石橋克彦氏(神戸大学名誉教授、原子力安全委員会耐震指針検討分科会委員を歴任)は、『耐震設計の基準とする揺れ=「基準地震動」を策定する手続きが規則で決められているのに、それを飛ばしている』と指摘している。原発の安全上重要な施設は、基準地震動に対して無事であることが求められており、そのために「内陸地殻内地震」「プレート間地震」「海洋プレート内地震」について地震動を検討することになっているが、九州電力は内陸地殻内地震しか検討しておらず、これは「法令違反」の可能性もあると指摘している。「プレート間地震」「海洋プレート内地震」について検討していないのは事実か。
⑥石橋克彦氏は、プレート間地震については、内閣府の中央防災会議が駿河湾~日向灘にマグニチュード(M)9クラスの南海トラフ巨大地震を想定している。そこでは、川内付近の予想最大震度は5弱に達している。しかも、「震源のモデルを安全側に想定すれば、川内では震度6になるかもしれません」とも指摘している。この件についてどう対応したのか、外部識者を含めた調査・検討が行われたのかを含めて明らかにしていただきたい。
⑦石橋克彦氏は、海洋プレート内地震については、九州内陸のやや深いところで発生する「スラブ内地震」が重要だと指摘している。「スラブ」というのは、地下深部に沈み込んだ海洋プレートのこと。1909年に宮崎県西部の深さ約150kmで推定M7.6のスラブ内地震が起こり、宮崎、鹿児島、大分、佐賀で震度5を記録して各地に被害が生じた。スラブは鹿児島県の地下にも存在するから、「川内原発に関しては、鹿児島県北部あたりの深さ100km前後にM7.6より大きいスラブ内地震を設定するようなことが必要」と提起されている。この件についてどう対応したのか、外部識者を含めた調査・検討が行われたのかを含めて明らかにしていただきたい。
⑧620ガルと定めた基準地震動も過小との専門家の指摘もある。原子力安全基盤機構は1340ガルの揺れが襲う可能性を示している。この件についてどう対応したのか、外部識者を含めた調査・検討が行われたのかを含めて明らかにしていただきたい。
【その2】
福島原発では、「3・11の地震の揺れが始まった瞬間、配管や電気ケーブルがバラバラと落下した」という1号機建屋内にいた労働者の証言がある(『神戸新聞』13年9月11日および13日)。東京電力は、地震後の津波で電源が失われたことが過酷事故への発展の原因としている。しかし仮に電源が確保されたとしても、配管、電気ケーブルが破損していれば、原子炉の冷却や制御は不可能である。九電は外部からの放水等を過酷事故対策としているが、同様な措置が行われた福島原発も、結局、爆発等にいたり、大量の放射能を拡散させた。
①九電は、建屋、配管等の耐震性向上対策を行ったと言うが、その前提となる耐震シミュレーション結果を公表するべきではないか。見解を伺う。
②電気ケーブルの全長は1つの原発で2000km、配管も100kmを超えると言われる。配管、機器類は450カ所を補強したとのことだが、それで万全か。補強後のシミュレーション結果を公表するべきではないか。見解を伺う。
③電気ケーブルや配管は、建屋のコンクリート天井、または壁面にボルト、アングルで保持されていると考えられる。コンクリートやボルト、アングル類も経時劣化を加味して評価したのか、確認する。
2.火山問題について
2014年11月2日、日本火山学会原子力問題対応委員会は原子力規制委員会に対し、火山影響評価のガイドラインを見直すよう提言した。これは、ガイドラインがカルデラ噴火を含む巨大噴火の前兆把握が可能とする前提に立って作られているためで、「現在の知見では予知は困難」という火山学会の立場と矛盾するためである。この問題について質問する。
①川内原発には、3万年前の姶良カルデラによる入戸火砕流、10万5千年前の阿多カルデラからの阿多火砕流、33万年前の加久藤カルデラの加久藤火砕流が到達している。それは事実と認識しているか、確認する。
②九州電力はカルデラ噴火について、「南九州で平均的なカルデラ噴火の間隔は約9万年だが、直近の噴火は約3万年前で6万年の余裕がある」との見解を示しているが、カルデラ噴火の間隔が約9万年とするその根拠は何か、見解を伺う。
③九電は、フランスの火山学者ティモシー・ドゥルイット氏の論文(ギリシャのサントリーニ火山で3500年前に起きたカルデラ噴火について岩石学的に研究したもの)を「予知は可能」との根拠にしている。すなわち、サントリーニ火山の噴火では、噴火の10~100年前から地下のマグマの量が徐々に増えた、という研究結果をもとに、地面の隆起を観測すれば「予知できる」としている。
しかし、火山はそれぞれ個性がある。サントリーニ火山と、姶良カルデラと同一視はできない。2014年2月の規制委員会の会合で、島崎邦彦委員は九電に対して日本の火山での噴出物の分析(岩石学的調査)を要求している。同様な分析結果が示せなければ「川内原発は廃炉」とまで言及し、九電は新たな調査・分析を約束した。しかし、九電の調査・分析結果については何ら明らかになっていない。この件についてどう対応したのか。外部識者を含めた調査・検討が行われたのかを含めて明らかにしていただきたい。
④火山噴火予知連会長の藤井敏嗣東京大学名誉教授は、直接ドゥルイット氏に日本の火山にサントリーニ火山の事例が適用できるか確認したが、答えは「ノー」であった。巨大噴火の前兆把握にどう対処するのか具体的に答えてほしい。
⑤藤井氏は、仮に10~100年の間に急激にマグマがたまったとしても、マグマの重さで沈み込んでいき、山体膨張などの兆候は現れない可能性もあると述べている。この知見をどうとらえるか、見解を伺う。
⑥稼働中の原子炉から取り出した核燃料は崩壊熱が収まるまで3~5年はプールで冷却しなければならず、すぐに搬出できない。また、川内原発には、使用済み燃料を含めて1090トンの核燃料が置かれている。これだけの燃料を移動させるには、これまた何年もかかる。
昨年9月の鹿児島県議会「特別委員会」での九州電力の回答を踏まえて、搬出判断の基準、搬出方法、移送手段、移送にかかる期間、移送先の保管場所について詳細にかつ具体的に示していただきたい。
⑦九電は原発敷地内に15cmの火山灰が積もることを想定したシビアアクシデント対策を行っているとしている。重要施設は何センチの降灰まで耐えられるのか。見解を伺う。
⑧1.3万年前の薩摩桜島噴火が15cm級の降灰、3万年前の姶良カルデラは火砕流が到達した。その中間の薩摩桜島噴火より規模の大きい噴火は想定しているのか。見解を伺う。
3.過酷事故対策について
九電は、最も厳しい重大事故が発生した場合でも格納容器は破損せず、放射性物質(セシウム137)の放出量は7日間で5.6テラベクレル、この放出量は、新規制基準の制限値100テラベクレルの約18分の1(福島第一事故の約1800分の1)の水準としているが、様々な疑念が出され、格納容器の破壊が懸念されている。
①原子炉容器から溶け出た核燃料に対し、欧米ではコアキャッチャーが装備されていると聞くが、九電は安易に水をためて冷やすとしている。これについては水蒸気爆発の危険性が指摘されているが、水蒸気爆発は起こらないと断言できるか、見解を伺う。
②事故時に格納容器内に水素が発生した場合でも、水素の濃度を低減することのできる静的触媒式水素再結合装置と、電気式水素燃焼装置を設置したとするが、触媒式は水素結合量がきわめて少なく、電気の着火装置は何らかの原因で着火しなければ水素濃度が上がり、水素爆発の起爆装置となるといわれているが、この件についてどう考えるか、見解を伺う。
③意図的な航空機の激突、ミサイルの攻撃も想定されることだが、その際にも格納容器が損傷することはないと考えるのか、確認する。
また、集団的自衛権行使による安全保障上の危険性をどうとらえているのか、明らかにせよ。
4.使用済み燃料について
日本学術会議は2014年9月25日、原発から出る「核のごみ」の最終処分に関し、新たに生じる高レベル放射性廃棄物の対策があいまいなまま、原発を再稼働するのは「将来世代に対し無責任」とする報告書を正式に公表した。
①「使用済み核燃料を保管する施設の確保は、原発の再稼働の前提条件とすべきだ」と指摘。「そのような条件の明確化をしないままの、既存原発の再稼働や原発建設・増設は、『現在世代の責任の原則』に反して無責任であり、容認出来るものではない」としている。
こうした、日本学術会議の提言についてどう考えるのか、見解を伺う。
②川内原発が再稼働したとしても、やがて使用済み燃料保管プールが満杯になり運転できない状態に陥る。九州電力は、使用済み核燃料は青森県六ケ所再処理工場に搬出するとしているが、六ケ所再処理工場の貯蔵プールもすでに満杯に近く、なにより青森県自身が使用済み核燃料の返却を示唆している。九州電力もまさに行き場のない「核のゴミ」問題に直面している。この問題について、どう考えるのか、どう解決できるのか、見解を伺う。
5.避難計画について
避難計画は、30km圏内の自治体に策定が義務付けられており、それぞれの自治体は、大変苦労しながら、策定を進めてきた。しかしながら、下記のような問題点が残されており、このような現状の中で、再稼働をすることは、県民を危険にさらすことになる。
一旦、過酷事故が起きれば、甚大な被害を及ぼす原因者となる電力事業者として、住民の避難の問題について、どのような認識を持っているのか、九州電力として、住民の安全な避難について、どのような対策を講じるのか、具体的な方策と見解を伺う。また、このような避難計画の現状の中で、川内原発の再稼働が許されると考えるのか、見解を伺う。
①避難計画が策定されていても、実際に風向きや地形によって放射性物質の拡散状況は大きく異なる。県は、新しいシステムによって、風向きに応じた避難をすすめるとしているが、現実に、住民にどのように周知・徹底できるのか、確実に安全な避難が可能であるのか、疑問である。
②また受入自治体の住民の避難も必要とされる場合も予想される。現在の避難計画ではこのような想定はされていない。
③住民の避難は、自家用車又は自治体が用意したバスで行うよう計画されているが、避難経路が限られ海沿いや山中の狭い道もある。悪天候や高波、あるいは地震などで、道路の水没や土砂災害で通行不能な状況も予測される。マスコミの取材によると、原発30km圏内の9市町は、県が作成した複合災害の項目を抜き書きしただけで、実質的な検討はされてないという。
④寝たきりや心身に障がいを持ち、自力では避難できない要援護者の避難計画はほとんど策定されておらず、病院や福祉施設などの入院患者や入所者などの避難計画は、各施設の管理者に丸投げされている。また現段階で策定されている10km圏内の避難計画は公開されておらず、どの程度実効性のあるものか検証できない状況である。さらに、避難先の自治体も関係施設の空き状況を掌握しておらず要援護者を受け入れることができるか把握してない。加えて10km圏外の病院や福祉施設については避難計画は策定すらされてない。また先般、原子力規制委員会は、「要援護者は無理に避難せず、屋内退避で安定ヨウ素剤を服用するのが合理的」と発言したが、避難が必要な期間が不明なままでは物資、食料、燃料、医療用品など途絶える可能性もあり、実質的な要援護者の切り捨てとなってしまう。
⑤学校や幼稚園・保育園の避難計画は、保護者が迎えにきて引渡すこととなっているが、果たして保護者が迎えに来られる状況にあるのか、また引き渡しができない場合はどうするのか、職員自身の避難はどうなるか定かではなく、関係者は苦慮している。
⑥鹿児島県が発表した避難時間のシミュレーションは、13のシナリオを想定して原発から30km圏内の住民の9割が圏外に出るまでの時間を最長で28時間45分とした。しかし、シミュレーションは住民が一斉に避難し始めるなどの最悪の事態を想定したものはなく、また避難先までの時間や市町別の時間なども示されてない。
⑦現在の計画では、まず5km圏内の住民が避難し、次いで30km圏内の住民が避難する二段階計画になっているが、現実に放射能漏れ事故が発生した際には、われ先に避難することになりはしないか。
⑧現在の避難計画は、長期にわたる避難を想定したものではなく、受入自治体が準備した避難所は、階段なども含めて一人当たりの床面積は2㎡で、非常に狭い状況となっている。
⑨避難者の被曝防止や、放射性物質の拡散を防ぐためには、避難する住民や車両をスクリーニングして、汚染が高ければ除染を行うことは大変重要だが、スクリーニング及び除染の場所については、現在ほとんど決まっていない状況である。
6. 九州電力の責任問題について
ここでは九電の会社としての倫理的、法的、社会的責任について質問する。
①原発の再稼働にあたっては、数千億円単位の費用が発生すると思われるが、今回の川内原発の再稼働のために費やされる費用の総額を具体的に明らかにしていただきたい。
②来年4月から開始される「電力自由化」への対応も、電力会社としては当然考えなければならない重要な問題と思われる。こうした状況のもとで、今回の川内原発再稼働に費やされる巨額の費用の回収についてはどうするのか明らかにしていただきたい。
③川内原発は、稼働から30年が経過していると聞いている。したがって、今後稼働できる期限は10年足らずでしかない。このように、残りわずかの原発を再稼働させるために巨額の費用を費やすことは、経営効率の面からみても妥当性を欠いている。九電は如何なる経営判断で再稼働を決定したのか明らかにしていただきたい。
④原子力発電所は、もともと原子爆弾製造のためのプラントである。米ソの核戦略のもとへ囲い込むため、各国に技術供与された。核分裂という反応が急激かつ巨大なエネルギーをもち、巨大プラントであるがゆえに管理・制御が困難性をかかえる。
そのような原発の歴史的背景とその技術についての認識を伺う。
⑤巨大かつ多方面に影響の大きい新技術の採用に関しては、ELSI(倫理的、法的、社会的側面の考慮)を含む「テクノロジー・アセスメント」を、公開かつ専門家の参画をえて行うことが必須とされてきた。しかし原発設置時の「公開ヒアリング」などは、まったく形式的かつ一方的なもので、満足な説明責任を果たしていなかった。
川内原発の再稼働に当たり、福島原発事故の教訓もふまえ、改めてあらゆる利害関係者が参画するなか、「テクノロジー・アセスメント」をやり直す必要があるのではないか。見解を伺う。
⑥原発事故に対し電力事業者は過失の有無にかかわらず、実質的に「無限賠償責任」を負うことが法的に定められている。実際、福島原発事故を起こした東京電力は、実際の支払い状況はともかく、補償・賠償の責任を広く認めている。
九電は、事故時の補償・賠償の総額をいくらと見積もっているのか。また、その原資の確保、または保険契約を行っているのか、明らかにしていただきたい。
⑦川内原発の危険性は事故がなくても、国、自治体や地域社会は、物資の備蓄、避難計画の策定、避難訓練の実施などの費用の負担、役務の提供、時間の浪費を強いられている。それは一義的に事故責任を持つ九電の負担であるべきところ、税金その他で賄われ、いわゆる費用の「外部化」、「社会化」となっている。
九州電力はそれら費用を累積いくらと見積もっているのか。また、これら「外部化」された費用を補償するつもりはあるか、明らかにしていただきたい。
⑧九州電力は、これまで住民の理解と協力、コミュニケーションが重要だと市民団体にも答えてきた。しかし、これまで、自ら主催して、広く住民への説明を行うことはなかった。PR館来訪者や、原発推進派が握る自治会への働きかけ、推進派の有力者への「訪問活動」と3月2日の交渉でもそう明言した。これは原発推進のための宣伝、推進派の組織固めでしかなく、コンプライアンスを果たす事業体の責務を放棄したものであり、公益企業を名乗る倫理性がないと言わざるをえない。
改めて少なくとも30km圏内の全自治体とその住民に対し、原発の安全性、および倫理的、法的、社会的な全範囲で、再稼動の正当性を説明する場を主催する責任があるのではないか。なおその際、⑤項で述べた「テクニカル・アセスメント」の要件を満たすことは当然である。これについてどう考えるのか、見解を伺う。
⑨鹿児島県内では、2015年3月議会において、出水市、伊佐市、肝付町、屋久島町の4議会が「九電に住民説明会を行うように要求する」陳情書を採択し、南種子町は、同趣旨の決議をしている。自治体の正式な態度表明を九電はどうとらえているのか、上記5自治体で再稼働前に住民説明会を開催せず無視するつもりか、見解を伺う。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5332:150509〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。