本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(88)
- 2015年 5月 23日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
中国の陽動作戦
最近、中国は、巧妙な「陽動作戦」を遂行しているようにも思われるが、具体的には、表面上、「軍事力の脅威」を見せつけながら、その裏側で、「金融支配の強化」を目論んでいる可能性のことである。つまり、「孫子の兵法」のとおりに、「戦わずして勝つ」という作戦を実行しているようにも感じられるが、究極の目的としては、「米国」の次に、「世界の覇権国家」になることでもあるようだ。
別の言葉では、今までの、「国債」と「金」とを巡る「金融大戦争」が、いよいよ、正体を現してきたようにも感じられるが、今回の「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」については、現在、「中国」の思惑通りの展開となっているようである。つまり、「戦い」に勝つ方法としては、「敵の分断作戦」が考えられるが、この点については、「アメリカ」と「イギリス」との間に、大きな「隔たり」ができてようである。
その結果として、現在、「アメリカ」には、より一層、「日本への接近」が必要とされており、実際に、今回の「安倍首相の訪米」が実現した可能性も存在するようである。つまり、「事実上の国賓待遇」や、「米国議会での演説」などについては、「アメリカの焦り」が現れているようにも感じられるが、「安倍首相」としては、「得意満面」で、いろいろな行事に参加したようである。
別の言葉では、きわめて複雑な状態にある「世界情勢」などは鑑みずに、単に、「自分の功績」だけを考慮した可能性のことだが、実際には、「TPP問題」や「日米安保問題」など、これからの「日本の運命」を決定づけるような問題が、数多く存在するものと考えている。つまり、現在の「日米関係」を考えると、どちらの国々も、きわめて難しい問題に直面しているようだが、実際には、「国家債務」と「金融システム」のことである。
具体的には、「アメリカが、いつ、利上げを実行するのか?」、そして、「利上げのペースは、本当に、イエレン議長の予想通りに、ゆっくりと実施されるのか?」という点である。そして、この点に、大きな「見誤り」があった時には、世界情勢が、一挙に、混乱状態に陥ることも予想されるのである。つまり、「アメリカの没落」であり、また、「日本」も、同様に、「金利の急騰」や「国家債務問題の悪化」などに悩まされる状況のことだが、このことが、現時点の「中国の思惑」のようにも感じられるのである。そして、今後は、世界的な「金利上昇」が始まった時に、全てが明らかになるものと考えているが、現時点では、すでに、「ドイツ国債」が危機的な段階に入ったようである。(2015.4.27)
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人格と運格
東洋学には、「人格」と「運格」という区別があるそうだが、このことは、自分の「人格」を高めるために、現在の「運格」、すなわち、「人生のプログラム」が存在するという「考え方」である。つまり、「人生の目的」は、本来、「人格」を高めることにあると考えられているようだが、この方法としては、「与えられた境遇において、自分の仕事に集中する」という点が指摘されているのである。
別の言葉では、「星」という言葉が意味するように、「生まれた日により、人生の9割は、すでにプログラムされている」という考え方のことだが、この点については、現在のような科学万能の現代においては、「非科学的である」と感じる人も、数多く存在するようである。また、「人生のプログラム」というのは、基本的に、「その人が、人間的に最も成長できる道筋」が選択されているようであり、この「道筋」から離れた時に、「病気」や「事件」などにより、「天からのメッセージ」が到来するとも考えられているようである。
また、このような考え方は、「仏教の教え」に通じるものがあるようだが、具体的には、「成仏」という言葉のとおりに、本来、「全ての人が、努力により、お釈迦様のような存在になれる」とも言われている。つまり、「人生の目的」は、「人間性を高めて、仏陀のレベルに近づく」ということだが、「現代人」にとっては、「全く、信じられないような話」とも言えるようである。
このように、「科学万能主義」となり、また、「お金が全て」と考える人々が多くなった現在では、「人格」を高めることなどは、ほとんど、忘れ去られてしまったようである。つまり、「お金」のみならず、自分の「地位」や「名誉」に固執する人が多くなり、「他人の為」、あるいは、「社会の為」と考える人が少なくなったようだ。別の言葉では、人々の「価値観」が、「目に見えるもの」と「自分」とに向いており、このことが、「信用」を形にした、現代の「マネー」を大膨張させたものと考えている。
しかし、これから想定されることは、「マネーの逆襲」であり、実際には、「現代の通貨が、絵に描いた餅にすぎない」という事実を実感させられることである。そして、その時になって初めて、多くの人が、「あの世まで、お金を持っていくことはできない」という事実を認識するものと思われるが、同時に、「自分の人生とは、いったい、何だったのか?」を考え始めることになるようだ。具体的には、冒頭の「人格」と「運格」の違いであり、また、「輪廻転生」などのことである。(2015.4.27)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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