テント日誌8月7日…集団的自衛権について(孫崎享)/8月12日『太陽と月と』私たちの憲法の人々の情熱」の上映とお話会
- 2015年 8月 8日
- 交流の広場
- 経産省前テントひろば
経産省前テントひろば1427日商業用原発停止690日
この暑さの中でも抗議行動に来る人は絶えない
昨日スイスの国営放送の方が取材をしたいとお話があったので2時過ぎテントに行く。3時ごろカメラマンと特派員そして通訳の3人がやって来てテントの写真を撮り、正清さんに長時間インタビューをした後、双葉町のKさんと私にも話を聞いていった。
彼女は事故後どういう思いをしたか一生懸命伝えていた。
私には川内原発再稼動をどう思うか?再稼動を進める政府にどうして欲しいか?などと聞くので福島の事故も終息していないのにとんでもない。
政府は再生エネルギーのことを考えるべきだとお答えした。
丁度希望の牧場の吉沢さんも牛のオブジェを連れて来て、テント前に色々なパネルを並べていたので彼にも取材していた。
スイスでどんな風に放送されるのだろうか?
今日はあまり風もなく耐えられない暑さだった。
5時ごろテーブルを出し給水をしたが、いつもより水を欲する人が多く、
氷を追加するほどだった。
5時半頃たんぽぽ舎の柳田さんが、テント前で九電・東電前行動の報告と川内原
発のことなど話して官邸前へ向かって行った。
この暑さの中、抗議行動に来る人が絶えないのはすごいことだと思う。
明日からは少し涼しくなるだろうと言う予報に希望を抱いて帰路につく。(I・K)
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川内原発現地に呼応し東京での抗議行動を! 8月11日(火)
★緊急のお知らせ!!九電東京支社抗議行動は8月11日(火)に変更します!!
九電は地元住民の反対の声を押しつぶして、川内原発再起動のスイッチを押そうとしています。ニュースでも流れましたが地元川内では抗議行動が始まっています。阻止ネットも大挙して現地に馳せ参じ、共に連帯して闘います。現地に行けなくとも有楽町電気ビル内にある九電東京支社にも抗議をしましょう!!当初8月10日となっていましたが11日に変更します。ご注意ください、また多くの人に拡散をお願いします。
8月11日(火)18:00~19:30
九州電力東京支社(有楽町駅日比谷口、電気ビル前集合)
(尚、この日以外にも様々な団体が連日反対行動を行っています、ご参加ください!)
孫崎さんの集団的自衛権についてのコメントです。(これは8月6の集会で配布した資料です。参考資料として転載させていただきます)。-
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集団的自衛権について 孫崎享
始めに
安倍政権の「不支持」が「支持」を上回る。
今後、一段と「支持」下げることが、重要。
集団的自衛権の枠組みが出来ても、政権を揺るがす問題であるとの認識が出れば実行は出来ない。
今後の数週間の動き重要。
女性と学生の新たな動き、貴重な戦力。
1:集団的自衛権の本質は、自衛隊を米国戦略のために使う制度である。
この点、極めて明確な説明をしているのが宮崎礼壹元内閣法制局長官である。彼は雑誌『世界』の昨年八月号で、「集団的自衛権の本質は「他国防衛」である、集団的自衛権も「自衛権」というから、各国の持つ自己防衛権の一種ではないか、と考えてしまう人が多い。違う。自衛権と名前はついているけれども、「自己防衛の権利」である「個別的自衛権」とは定義からしても、実態からみても、異質である」と述べられている。
2:集団的自衛権で行うことは。「他国防衛」、つまりは、自衛隊を米国戦略に使うということである。
それは、米国の戦闘行為に参加することと同じである。
「後方支援であって戦闘行為でない」との説明がなされているが、武器弾薬、兵員の輸送は戦闘時の重要な部分であり、当然敵対勢力はこれを攻撃する。後方支援を請け負った以上、攻撃されることは当然で、「攻撃されたら帰る」選択は、米国との関係であり得ない。
アフガニスタン戦争の例をみていただければいいが、戦場で死ぬより、道路脇に設置の爆弾など、後方支援で死亡するケースが大きい。
3:現在米国においては、「イスラム国」への対応を含め、米国の軍事介入の動きがさらに強まっている。
この中、(大統領候補が想定されるブッシュ氏(弟)は「次の大統領の外交上の最大課題は、同盟国の国際関与を強めさせることだ」と述べているように)、2016年大統領選挙後、米国が同盟国に対する軍事関与の要請は現在よりはるかに強まる。
4:米国の軍事戦略の特色は相手の軍事攻撃が発生していない段階で、「国際的安全保障環境の改善のため」を理由として行動される(注、「積極的平和外交」と同意語)
国連憲章は、「第二条 1 全ての加盟国の主権平等の原則を基礎。すべての加盟国は、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、慎まなければならない、第五十一条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」として、軍事行動は相手の攻撃がある時に限定している。しかし、米国は「脅威の除去」を口実に行動を行っている。
イラク戦争、アフガニスタン戦争、リビアへの武力行使、シリアへの武力行使をみても、いずれも当該地域の不安定を拡大している。
日本が集団的自衛権で軍事介入していくことは、決して当該地域の安定につながらず、結果として世界の不安定を促進する行動である。
5:しばしば、米国が要請しても断ればよいという発言がなされるが、米国との関係はそんな生易しい問題ではない。
朝日新聞2015年4月19日付星浩著「日米関係の将来像 元外交官の洞察」で栗山氏(元駐米大使、元次官)の言葉として、「“国でも個人の関係でもそうだが、相手が自分と比べてあらゆる面で一段と上だと、とても付き合いにくい。米国の忠実な同盟国としてやってきた日本には、不幸にして欧州のような枠組みがない。裸で米国と1対1で付き合わなければならない。そこで恐怖心に駆られる」と記載している。
また私はかつてマケイン上院議員が、欧州諸国要人たちに「貴方たちが支援しないならそれはそれでいい。しかし、この政策は米国が今一番重要な安全保障政策と考えている。これに協力しないなら、貴方たちが一番重要だと思う政策に対する米国の協力は今日にでもやめてみせる(旧ユーゴに対する軍事介入)と脅し、欧州諸国が震え上がり、米国支持表明を行ったのを目撃している。
6:「他国防衛」という性格を持つ集団的自衛権の本質を知られた際には、国民の支持が得られない。したがって無理な説明を行っている。
(1) 海外における日本の国民を避難させる米軍が攻撃されるのを防御できない
(2) 日本にとって重要な石油ルートに機雷が敷設された時に除去しなければならない
(3) 中国の脅威に対処しなければならない
(1)「海外における日本の国民を避難させる米軍が攻撃されるのを防御できない」にかんして
・1949年のジュネーブ条約では「中立国の国民の安全な移動に関しての規定
攻撃は戦争犯罪
・米国国務省領事部は避難に関するサイト「ヘリコプターや米軍運搬手段や軍事エスコートがついた米国雇用輸送手段は現実と言うよりハリウッドの脚本」
(2)「日本にとって重要な石油ルートに機雷が敷設された時に除去しなければならない」にかんして
この機雷封鎖は平時での除去ではない。戦闘時の機雷封鎖である。相手国はタンカー等の通行を止める一環として行っている。この時には、当然戦闘地域の指定がなされており、タンカーが航行すれば、攻撃対象となり、事実上航行は出来ない状況にある。こうした際の機雷除去は戦闘行為の一環とみなされ攻撃を受ける。
7:中国の脅威について
ここでは、自衛隊による防衛、日米安保条約に基づく米国の関与、そして集団的自衛権を意図的に一緒にしている。
この中で政府は中国の脅威を意図的に利用している。
安倍首相は、集団的自衛権で、「日本の抑止力が高まった」と言っている。
多くの国民は、念頭にあるのは中国の軍事力に対する対抗力を想定する。
では米国は、日本が集団的自衛権に参加したら、中国に対する態度は変わるであろうか。
日米安保条約第5条は「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」としており、尖閣諸島は日本の施政下であるから、対象となっており、集団的自衛権で米国が新たな動きを見せることはない。「日本国施政下への武力攻撃に自国の憲法に従い行動」としている。
問題は、軍事紛争になった時に米国は出てくるかという問題である。出てこないと想定すべきである。
日米防衛協力のための指針(2015年4月27日)では次の規定がある。
まず、「自衛隊は、島嶼に対するものを含む陸上攻撃を阻止し、排除するための作戦を主体的に実施する」「米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する。」とし、米軍が戦闘に参加しなくてもいいようになっている。
そのことは、「日本が自ら守らなければ(日本の施政下でなくなり)我々も尖閣守ることは出来なくなるのですよ」(『日米同盟vs中国・北朝鮮』)という事態になる。
米国と中国は核超大国である。核超大国同士は、いったん戦闘が始まれば容易に核戦争にまで発展し、各々が消滅してしまう事態にエスカレートする危険性を持つ。したがって、核超大国同士の規範はたとえ、小さいものであっても、軍事衝突を避けることにある。核超大国同士の米中関係においては、軍事紛争を極力避けることへの合意がある。この中、たとえ同盟国支援とはいえ、軍事エスカレートの可能性のある尖閣諸島での軍事介入は極力避けるのが米国方針である。
尖閣諸島の「棚上げ合意」を尊重すれば、紛争は一挙に解決する
緊張を煽る、中間線の中国側で採掘。石油の鉱区、つながっているからけしからんという話はない。
中国の基本政策(米国務省、『中国の軍事力』
・中国の戦略は、中国共産党の支配体制の恒常化への配慮
・支配恒常化のためには国民の支持
・国民の支持は経済の向上
・そのためには中国製品の輸出。原材料の確保必要、そのために安定した国際関係
・軍事的冒険主義とれず
・ただし国境はナショナリズムがあからむ、これの適切な処理で安定
中国は経済的に米国に匹敵
軍事的に日本は中国に勝つシナリオはない、空軍力、ミサイル、核、外交的処理しかない。枠組みがある。
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『太陽と月と』私たちの憲法の人々の情熱」の上映とお話会
8月12日(水)18時30分 第二テントにて(無料)
子供のころに納涼映画が小学校の校庭などであって楽しかった記憶があります。それを思い出してというわけではないのですが、テントで映画会をやります。この映画の監督である福原さんは以前から知り合いですし、この映画できたころの上映会で一緒したこともあります。憲法が話題になると日本国憲法はアメリカによる押し付けであるという議論がすぐ出されます。この一面はあるのですが、その制定に関与したものはもっと別の要素がるわけで、その大事な面はあまり語られません。ここはあまり語られません。日本国憲法の制定についての憲法理念(憲法についての考えや構成内容)の面から言及されているのがこの映画です。その意味で日本国憲法の源流となった五日市憲法(草案)や鈴木安蔵の憲法研究会のことなどとても興味深いところが取り上げられています。当日はこの作品の監督の福原進さんに来ていただいてお話をしていただきます。尚、8月16日(日)には増村保造監督で若尾文子主演の『赤い天使』を上映し、戦争についての座談をやりたいとおもいます。この映画は戦後の戦争映画では出色のものだと思っています。(M)
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